古書店『入速堂』　第十四話　夏模様

612 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:29:49 ID:Gi6fzf4g0: 1/47
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│8月.│
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三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
─────────── ,-r_'Zヽ1Yヾ_ｭ-､ ────‐ ,-r_'Zヽ1Yヾ
:::::::::: ,,|;;;;ｉ|,|:フi::::::::::::::::::::::::::r'`7ヽ,イ_ｽＴゝ‐zﾍjヽ.::::::::::::::::::r'`7ヽ,イ_ｽＴゝ
:::::::f----イ／ :::::::::::::::::::: l`スZ_Y_い_,-ﾍｌイ_j､T,ゝ7:,::::::::l`スZ_Y_い_,-ﾍｌ
::::::::ー─‐":::::::::::::::::::::::::_,ト'Ｔヽ_ﾉ､ﾒ､7イ-rヘいＫス._ _,ト'Ｔヽ_ﾉ､｀ﾒ､7イ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽﾚｖｰﾄ､/7-､ｆ`ﾅＶ-､ﾊノ､lヽｨ､ヽﾚｖ'ｰﾄ､/7-､ｆ`ﾅ
　　　　　　　　 "'"" 　 ,ﾚ'Ｔｰ!７´ト､_Ｋ´Ｙヽﾉ､j-ｲﾞＹ、　,ﾚ'Ｔｰ!７´ト､_Ｋ´
　　　'"`"　　 ,､,.､　　 ,ゝiくヽﾚくY_ノｖヽい'ｰくメゝト!、　ゝiくヽﾚくY_ノｖヽ

　　　　　　　　　　　　ｰ━ｰ-
　　　　　　　　　　 ′　　　　　＼
　　　　　　　　 /　　　　　　　　ヽ　　　……そういうわけで、俺はパスだ
　　　　　　 /　　_　　　　　　　|
　　　　　　　　/ 　／∧　　　　　 !　　　悪いが他を当たれだろ
　　　　　　 ,､f　　<V//∧　　　　 / 　　　　　 _　_
　　　　 /　ヽ　　＼V/∧　_ﾑi ｆ　　　　 iヽ.　 ////　,-
　　　_.／ヽ　＼　　入V/Y　i (　　　　ﾉ j._ノ {//／, ク
　，´　　　　＼　＼ﾊ_ V/ｊ　｀＼　　 f　 ´　　　｀,:´／
／　　　　　　　ゝ.　　>､i　´　　　　i 　　 i　　　　／
　　　　　≧＝､　 N/､/ ｀∨　　　 j　　 /　　　　.／
　　 ,ｲ´　　　　ヽ､ i　{ﾉ､. f　　　/　　 /　　／´
　 /　　　　　ハヽ!　ﾍｊ　　:ﾞ　／i　　./
　/　　　　　　　　　｀，i　 /_　　.!／　 !　./
､j　　　　　　　　　　　ﾊ /´⌒｀ﾊ　　　 ! /
　＼　　　　　　　 i__　　　i　　　ﾚi
　　＼　　　　　　　 .人｀ヽ　　|

613 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:30:04 ID:Gi6fzf4g0: 2/47
　　　　　　　　　　　　 . .-､
　　　　　　　　　　　／: : : :.|
　　　　　　　　／: : : : : : |
　　　　　　　　　　　|: : : : : : : :.|
.　　　　　　　　 |: /　）: : : :|
　　　　　　　　　　　|/　/: :＿_:|　　ピッ
.　　　　　　　　　 /　/／　　￣）
　　　　　　　　　 ,　 /　　∠二 ´、
　　　　　　　　 | ./　　/　, --‐く
　　　　　　　　 |/　　/　/　 , ーﾍ.
.　　　　　　　　 ,　　　　 /: : : : :＼
　　　　　　　　　　 ,　　　　ｉ: : : : : :.ヽ＼
　　　　　　　　　 ,　　　　　|: : : : : : : :ヽ>
　　　　　　　　、　　　ﾄ､ : : : : 彡'
　　　　　　　　 __,}　　　 !.　｀￣´
　　　　　　　／ﾚ'　　　　 ,'
　　　　　　 /　 ‘，　　　 /
.　　　　　 /　　 ‘，　　∧
　　　　　 /　　　 ‘，　,': :}

┼─
│携帯を切ったやらない夫は悪態をつき、 │
│忌々しげな様子で縁側に腰掛けた　　　...│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　..　..　　─┼
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼　　　やる夫め……俺が浪人生だと知っているだろうに、
　　　　　　　　 |　　　（ ●）（●）
　　　　　　　　 |　　　（＿人__）　　　なにが「彼女に振られて、一緒に花火観に行く相手がいないお」だ
　　　　　　　　 | 　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　 | 　　　　　 i　　　常識的に考えて、非常識だろ……
　　　　　　　 > 　　　　ノ
　　　　　　　　/´⌒｀￣￣¨ ｀＜
　　　　　　　 | 　　　＿ﾞ＿.､　＼
　　　　　　　　ヽ, イ´￣ /　　ヽて　〉
　　　　　　　 l　　　 / 　ｒ　ヽ彡'
　　　　　　　ヽ　　/　　ヽ　　ヽ　　　　ｊ ⌒l
　　　　　　　　 ,ィヽ　　　　 / Ｙ　　ゝ-､ ──´　 │
　　　　　　r_-ィ__ﾉ_ヽ､＿＿ﾉ__「＿＿＿ﾉ__＿_＿＿」
614 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:30:19 ID:Gi6fzf4g0: 3/47
┼─
│猫の額程の小さな庭で、洗濯物を干していたさくらが振り返る │
│夏本番の日差しは今日も暑く、絶好の洗濯日和である　　　　..│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.へ､
　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::＼ミゝ= ､　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ヾ.イ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;;;´¨;;＜彡'⌒!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ';;;;;;;;;;;;;;――;;､＿ ,;;-;;､;;;;＼:::::{_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;∨（
　　　　　　　　　　　　 r―彡ｲ;;;;;/;;;;;;;;;;;/;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ}'´
　　　　　　　　　　　　　ソ'´:::,';;;;;/;;;;;;;;;,.ｲ;;;;ノ!;;;;;|!;;;;;;;;;､;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
　　　　　　　　　 r'´:::::::::::|;;;;;i;;;;;;;;;/-リ、 |!Ⅵ!Ⅵ;;;;;;;}、;;;;;;;;;;;;;;;}　　　花火のお誘いだったのですか？
.　　　　　　　　　ヽ:::::::::::八;ソ-r､{!ｨｫｯﾐヽヾ! ヾⅥjﾑ;;;;;;;;};;;;};;|!
　　　　　　　　　　　ノ:::::::/::::/ 'l;;;;!　弋rリ.}　　　'´,.ｨｫｯ､,j;;;;,ﾉ /} }、　行ってくれば宜しかったのに
　　　　　　　　　　＼:::/ヾ'∧ l;;;;l､　｀¨¨　　　　弋rリ゛ｲｲﾉ//ノ
　　　　　　　　　　　　ヾ　 j;;;;｀l;;;;| ｀ー　　　 ! 　｀ ¨´/;;;;l:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;|;;;;ﾄ､　　、　 '　　　　/_|;;;;ﾄ､::::
　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;|;;;;|;;;| 、　　￣　　ノ;;;;;!;;;;!､∨
　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;l;;;|　丶　＿　 r;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;|;;;＼
　　　　　　　　　　　 i;;;;;;;;;;;;;/l;;;;lヾ、　　　　　|)}!＼;;;;;;|;;;;|;;;;;;;;;＼
　　　　　　　　　　　 |;;;;;;;／ :|;;;;l ヽ＼　　　　//　　ヾ┤;;j- ミ､;;;;;＼
　　　　　　　　　 , -┴'　＼}|;;;;;l 　＼＼　／/　　　　}!;;;;|　　　＼;;;;＼
　　　　　　　　　　／　　　 {.　｀|;;小､　　＼У,/ 　　 ,/ |;;小、　　＼;;;;＼

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）　　いやいや、そこまで遊ぶわけには……
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　　 }
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣
615 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:30:32 ID:Gi6fzf4g0: 4/47
　　　　　　　　　　　　 ,へ、
　　　　　　　　　　／　　　ヽ＿ｧ‐‐==＝､、
　　　　　　　　　厶-‐v‐─- ､`ｰ､　　　　:》
　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::`::.::＼　　ﾉ
　　 .　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::＼ｲ}
　　　　　 /:::l::::::::l: l:::il :l::: ::l　ｌ:::::::::::ﾊ彡ﾄ､j
　　　　 /::::|:::::::::!:|::::iｌ::ｌ!::::|::::::l:::::::::ﾏﾊ:::ﾊ　＼
　　　　　ﾚﾍj::::::斗ﾍ､ﾊ;:x‐L_/+､:::::::ﾔ」:::::}ﾍ:、》　　そうでしょうか？　私は構わないと思いますよ
　　　　　　　.`≧i}yrfﾄ　　ィfミvj::::ﾚ1彡人　Y
　　　　　　　　ﾊﾋ,ﾘ　　　ｌｰ':ﾘ l|:::f)ル'′}　 }}　　浪人生だからといって何でも我慢する必要はありません
　　　　　　　　从￣　 '　　￣｀ |::::ﾚ’::L__レ'′
　　　　　　　　 i::::ﾄ.、 `ｰ "　　ｲ|::::|::::::::::::|
　　　　　　　　 !:::::|! ＞r-　＜ .|j::::ﾊ:::::::::::!
　　　　　　　　 |::::ﾉ ,ィ{{ 　　,ｲ7¨|::::ﾄ、:::::::::|
　　　　　　　　／,ｲ: : |ﾄ､.／:: ｲ .|::::| 》、::::::|
　　　　　　　/　'" |: : j／: : :,ｲ' .,ﾊ::j".　＼::!

┼─
│彼女の言葉も一理あると、やらない夫は関心して頷く　　　　　..　..　..　　│
│「浪人生だから」という言葉に捕らわれ過ぎている一面は確かにある　 │
│結局の所自制さえできれば、一日勉強を休むだけに過ぎないのだ　......│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─┼
　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ー）（ー）
.　|　　　　（__人__）　　ふむぅ……
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
.　ヽ　　　　　 |　　ﾉ
　　ヽ　　　　ヽ　く
　　　/　　　　　ヽ　＼
616 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:30:43 ID:Gi6fzf4g0: 5/47
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│やらない夫の隣に腰掛けている燕が話題に入ってきた　　　　　　..　..　..　　　│
│彼女はさくらの話し相手として、今ではやらない夫の話し相手としてもだが、 │
│仕事の無い日でも、こうして遊びに来る事が多々ある　　　　　　　　　　　　　..│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..─┼
　　　　　　　　　,.　.,z=-
　　　　　＞　　 ⌒　ィﾆミ　＜
.　　　／　　　／⌒ ´　　　`　　ヽ
　　 /　　　　´　　　　　　　　　　 `,
　　,　　　/　　　　ｲハ　　　　　　　,
　　l　　/　　　ﾉ /lﾉ￣!ﾄ、i　`,　　ﾄ、
　　l　 ,'　　　/| /ノ・)　 l　＼ i　l　　ヽ、
　ｲ　,l ,l　　,' /　　(　ノノ　 lヽ,l　　 l＼　　花火ですか
.　 l　 { l　 |il　　　ｨ`刀ﾌ )　　从l l　',
.　 l　　ゝゝ　　　´ ´´ ´イ＿＿,ﾘ l　l＼　　懐かしいものです
.　ゝl l i　 L`＿,.　 '' ￣i　　　　ﾑﾉl l
.　　ﾉ仆l　　 >　　　　._　z　　 /／ｿ'ﾘ
.　　　!| ゝ、l l　.`　.　　　　　ｲ/ /ノ
.　　　　　　)ﾉ从_l　　＞　.<l (|/
　　　　　　　ｲﾏl　　　　　ﾚｲy、
　　　　　／ﾆli　',　　　　　Y //=＼
　　　／ﾆﾆニl',　',　　　,../ //ニﾆﾆ＼
　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆlﾑ　i,ヽ ´/ .//ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼
イﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl　',　i,　/ .//ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼,

　　　　　　／￣￣＼
　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　|　　　（ ●）（●）　　　
.　　　　　|　　　　（__人__）　　懐かしい、というと？
　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　_.／:l ヽ　　　　　　 }
‐''"´:/::::::|_　ヽ＿　 _＿ノ::、
::::::::: !::::::::l′　　　　＼　,ｲ＼
::::::::::l::::::::::l 　　　　 /:｀:::ｌ:::::＼
::::::::::|:::::::::::＼　　　 /:::::::::::l:::::::::＼
::::::::::|::::::／＼ヽ　　 l::ヘ::::::::l::::::::::::ﾊ
::::::::::l／:::::::::::o:ト　.｣::-:::::＼::!::::::/::::l
:::::::::::::::::::::::::::::: l`ｰ'l:::::::::::::::::`::/::::::::l
617 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:30:56 ID:Gi6fzf4g0: 6/47
　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　　　　　　,ｲ　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　／/　　 /　　　　　／／__| !　　　　　　　　　　　　　 ;
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／_　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ '´・）　 !　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {　〃　　／　、　　ヽ　　　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从小{ 　　（　　ノ　_ノ　 } ﾄ､　　ｌ　　ｌ　　　ト
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ{　　　ﾉ　　￣￣ヽ　　ﾉ'　ヽ　} 　　 }　　从　　ああ、やらない夫様にはお話ししていませんでしたね
　　　　　　　　　／イ/　　/　ヽ　　　ﾉ　ﾉﾉ　）　　　　　} /　　从　ﾊ{
　　　　　　　　　ノ |　ノ__　　　　　　　／　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/　　　　私も元々は人間なのですよ
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从￣⌒ー -‐r‐-- ..__　　　　　ﾉ　　人{　 ′
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　　　　　　　　　　￣＼／　／　　 /　　　　　生前の記憶が僅かにあるのです
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　ャ‐- 　 .._　　 _／／}/ 　　 /
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　 ` ‐-‐ ´　　ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼
　　　　　　　／.:::::::::::::::.＼　　＼＼　　　/　{　| !::::::::..＼
　　　　／.:::::::::::::::::::::::::. ＼　　＼＼　 {　 |　| |:::::::::::::::.＼

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（ ●）（●）
　　|　　　　（__人__）　　ふぅん、興味深いな
　　|　　　　　　　　　ﾉ
　　|　　　 ∩ノ ⊃ }　　それが、どうしてまた今の状態に？
　 /ヽ　　／＿ノ }
　(　ヽ　 /　　/　ノ
　　ヽ　“　　/＿|　 |
　　　＼＿_/＿＿ /
618 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:31:09 ID:Gi6fzf4g0: 7/47
┼─
│燕は顎に人差し指を当て、何かを思い出すように返事をする │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　　 _,,, .,-￢ｰ-----,,,,,、　　　　　　　　　　　　
　　　　　　 ,,-''''''″ﾞ"￢-．｀ﾞ''-,、　 `ﾞ'ヽ,、　　　　　　　　　
　　　　　 ,/｀　　　　　　　ﾞ'i､　｀'i､　　　ﾞ''､、　　　　　　　　
　　　　 ,/｀　　　　.,ﾍ　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　
　　　 ./｀ /　　／　＼.、　＼　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　
　　／　//　／─^ 　ヽヽ,　　ヽ＼　　　　　　　　 i､　　　　　
　.,/,,イ_ﾉlﾞ、/,．）　　　　 } ﾄ`'--ヽ､ヽ,　＼　　l　　ﾞl　　　　　
　'"゛.iﾔ| .|│　/ .ﾉﾉ　　ﾉ' 　　　ヽ　　ｌ　.|　　 |　　　|
　　 l |　从lﾞ　.|＿＿　　　　　ヽ　}　 .|　　　|　　 {　　　
　　｛, |　　 l　ﾉﾉﾉﾉ｀,! 　　　　　ﾉｲ　 |　　ｌ　　　ト　　何をしたのかは覚えていませんが、生前に徳を積んだそうで、
　　 jﾉl ,　 |　　　　 '"　　　　　　　　 |　　|　　从　　从
　　　　ﾞ|、 |　 .,,-r-,,,,,,,,,,,＿,,,,,,,,,,,,,,,,, |　 / 　　人{　ﾊ{　　　死後、記憶を洗い流され、
　　　　,| ト !イ゛ l丶　　　　　　　　　,ﾉ.,,/　　／　　 /
　　　 " l　 | 　｀　　　　　　 r!"'|　　}/ 　　 /　　　　神の小間使いとして新たな生を受けたのです
　　　　　 l r,l l、　r―‐ -. 　　　　　　|　　　　　ﾊ{　　　　
　　　　ノ|ﾉ} l‘i､　｀￣ ´　　　　　　　ﾉ ,ｨ / }/　　　　　
　　　　　　 j/］ i ヽ　　　　　　 .,,-'"　イ{ / |/ /　　　
　　　　　　　　 l |　ヽ　　 .,,,-‐'"　　　 .l/ヽ八{.＿　　　　
　　　　　　　　 `' l,ヽ `,!'''" ヽ　　　　　. |/{ /´,)￣/　＼　　　
　　　　　　　　　　’ ｀'ﾞl l　 y　l,　　　　　 .,,i´／ /　　　ヽ　　
　　　　　　　　　　　　 |,l |/　,i´|　　　　,/ .,i´　丿　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　″ ,r,| ,l　　　　丿 ,lﾞ　 ,/｀　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　／/ /　　　 ,/｀,/′丿　　　　　　　　

　　　　　　　　　,.　.,z=-
　　　　　＞　　 ⌒　ィﾆミ　＜
.　　　／　　　／⌒ ´　　　`　　ヽ
　　 /　　　　´　　　　　　　　　　 `,
　　,　　　/　　　　ｲハ　　　　　　　,
　　l　　/　　　ﾉ /lﾉ￣!ﾄ、i　`,　　ﾄ、
　　l　 ,'　　　/| /ノ・)　 l　＼ i　l　　ヽ、
　ｲ　,l ,l　　,' /　　(　ノノ　 lヽ,l　　 l＼　　……とはいえ、長く人の世で働いていると、
.　 l　 { l　 |il　　　ｨ`刀ﾌ )　　从l l　',
.　 l　　ゝゝ　　　´ ´´ ´イ＿＿,ﾘ l　l＼　　断片的ですが、生前の記憶も戻ってきまして、
.　ゝl l i　 L`＿,.　 '' ￣i　　　　ﾑﾉl l
.　　ﾉ仆l　　 >　　　　._　z　　 /／ｿ'ﾘ　　　私の故郷でも夏には花火が打ち上がった事を思い出したのです
.　　　!| ゝ、l l　.`　.　　　　　ｲ/ /ノ
.　　　　　　)ﾉ从_l　　＞　.<l (|/
　　　　　　　ｲﾏl　　　　　ﾚｲy、
　　　　　／ﾆli　',　　　　　Y //=＼
　　　／ﾆﾆニl',　',　　　,../ //ニﾆﾆ＼
　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆlﾑ　i,ヽ ´/ .//ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼
イﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl　',　i,　/ .//ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼,
619 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:31:21 ID:Gi6fzf4g0: 8/47
┼─
│洗濯物を干し終えたさくらが、　　　　...│
│小さく伸びをしながら二人に近寄った │
　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　　　　　　_,.. -‐ ､､,.-― ::..､、T ￣ﾞi
　　　　　　　　 ,.-''"::::::::::;;;:'';:;;ヽ::::::::::::､:｀ヽ..'' {
　　　　　　　／::::::::::::::::::::::;::::::::::::::::､::::::ヽ:::::ﾞ!;ハ
　　　　　 .,:'/::::::::;:::;::::::/::;ｲ:|:::::､::::::::ヽ::::::::ヾ::ﾞ!ド､
　　　　　/ｲ:;':::::/::ｲ::::/ｲ| |:!|:::::ﾞ!:::::::::::ヽ､::::::ﾞ!::!:. .ヽ、
　　　　　　i::!::::;'::::|!:::;'|! |! |l !:::::ﾞﾄ､:::::::::､::､::::;ｿ!｀ヽ ./
　　　　　　ﾞ!|:!::|!::::L::! i! ! ヾヾ_;:ヾヽ:::::::ヾ!;ﾝ/!:.. .、ヽ、
　　　　　　　｀` ヾﾞ!'´|ﾟ:;!　　　イ!ﾟ;:;iヽヾr''､'ﾞ:::::!:.　:.:.　ﾞ!　　燕さんの故郷って、どんな所だったのですか？
　　　　　　　　　ﾞ!ﾞ ‐''　　　　ｰ''　,'::|6 !:::;.'::::l .　,.-'ﾞ､
　　　　　　　　　　 |:!　　' 　　　　　|:::!,ノ,:''::.:,ｨ- '::､::ヽ:ヽ
　　　　　　　　　　 |::ヽ、ー　　　　,ｲ:::|'" !r''"::::ﾞ､::::ﾞ､::::ヾ:＼
　　　　　　　　　　 !:::|_ ヽ､、_,,..-　 !|::::|_　!::::ﾞ､:::､::､::::ﾞ､::ヽ::ヾ､
　　　　　　　　　 r,!::/!｀i　 _,!　 ,.-''|i|::::|:.｀ヾ、:::::::ヾ::;､:::::::::ﾞ!'::::;'
　　　　　　　　 r' .i:;'ﾆﾞ､|‐'' ,!／　　! ﾞi::|__;.:i ヽ､::::::::ヽ､::::::､::ﾞ!/
　　　　　　　　,.!　|:!.r ハ／　　.::. .,.-l:|::. ..ヽ　｀ヽ､::::::､::::::ﾞ､!'
　　　　　　　/.∧ |i ﾞY　.i 　　 .;.. '　 :|i　　　＼　ﾞヽ:::ﾞ::::ﾞ!::ヽ
　　　　　　./ ,'　〉.|!　　/　　／　　　/'　　　　　ヽ　ﾞ!::|!::::::iﾞ､ﾞ!
　　　　　_,.}　!_/　　　/　／　　　　　!:.　 ,!　　　:. i　 |::i:::::::!' ﾞ|i
　　　 r'´ __/,7　　　/ ,／　　　　　;'　　　　　　　:.:.ﾞ! /:'::::/^!　|!
　　 ,ｨﾞ'´_,.:' ,'　　　/,.ｲ　　　　　　 ;　　 .:.　.:.　　 !::.:ﾞ､::／
　 / ,.;. :.'　 i|　　 /|'::.|::. ..　　　　 .:!　 .::.::!　:;. 　ﾍ:::i::.ﾞi
　 ! '　　　　i|　 ,/ i|:::!:::::::::::.:. .. .. ::ﾞi　::.::;'-'":::!　　ﾞi ./
　ﾞ､::. .　　　ヽ/　/-ﾞ､::::::::::::::::::::.:..:ﾞ::.::::;　　.:. ..　　'/

　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　　　　　　,ｲ　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　／/　　 /　　　　　／／__| !　　　　　　　　　　　　　 ;
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／_　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ '´・）　 !　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {　〃　　／　、　　ヽ　　　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从小{ 　　（　　ノ　_ノ　 } ﾄ､　　ｌ　　ｌ　　　ト
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ{　　　ﾉ　　￣￣ヽ　　ﾉ'　ヽ　} 　　 }　　从　　太宰府からずっと南、盆地にある八ツ原という町です
　　　　　　　　　／イ/　　/　ヽ　　　ﾉ　ﾉﾉ　）　　　　　} /　　从　ﾊ{
　　　　　　　　　ノ |　ノ__　　　　　　　／　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/　　　　花火大会では出店も多く並んで賑やかなのですよ！
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从￣⌒ー -‐r‐-- ..__　　　　　ﾉ　　人{　 ′
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　　　　　　　　　　￣＼／　／　　 /　　　　　もちろん、肝心の花火も綺麗で……あ……
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　ャ‐- 　 .._　　 _／／}/ 　　 /
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　 ` ‐-‐ ´　　ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼
　　　　　　　／.:::::::::::::::.＼　　＼＼　　　/　{　| !::::::::..＼
　　　　／.:::::::::::::::::::::::::. ＼　　＼＼　 {　 |　| |:::::::::::::::.＼
620 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:31:32 ID:Gi6fzf4g0: 9/47
┼─
│やや興奮した様子で捲し立てたが、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│その途中でハッと我に返ると、赤面しながら苦笑する　　　　　　　　　.│
│それから、遠い故郷を思い出すように空を見上げて望郷を口にした │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─┼
　　　　　　　　　,.　.,z=-
　　　　　＞　　 ⌒　ィﾆミ　＜
.　　　／　　　／⌒ ´　　　`　　ヽ
　　 /　　　　´　　　　　　　　　　 `,
　　,　　　/　　　　ｲハ　　　　　　　,
　　l　　/　　　ﾉ /lﾉ￣!ﾄ、i　`,　　ﾄ、
　　l　 ,'　　　/| /ノ・)　 l　＼ i　l　　ヽ、
　ｲ　,l ,l　　,' /　　(　ノノ　 lヽ,l　　 l＼　　覚えているのはそれだけですけれども
.　 l　 { l　 |il　　　ｨ`刀ﾌ )　　从l l　',
.　 l　　ゝゝ　　　´ ´´ ´イ＿＿,ﾘ l　l＼　　……懐かしい……本当に……
.　ゝl l i　 L`＿,.　 '' ￣i　　　　ﾑﾉl l
.　　ﾉ仆l　　 >　　　　._　z　　 /／ｿ'ﾘ
.　　　!| ゝ、l l　.`　.　　　　　ｲ/ /ノ
.　　　　　　)ﾉ从_l　　＞　.<l (|/
　　　　　　　ｲﾏl　　　　　ﾚｲy、
　　　　　／ﾆli　',　　　　　Y //=＼
　　　／ﾆﾆニl',　',　　　,../ //ニﾆﾆ＼
　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆlﾑ　i,ヽ ´/ .//ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼
イﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl　',　i,　/ .//ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼,

　　　　＿_　　　　 ━┓
　　　／　～＼　　┏┛
　　／ノ　　(●)＼　・
.　｜　(.／) 　 ⌒）＼　　　　八ツ原？
.　｜　　（__ノ￣　　＼　　
　　＼　　　　　　　　　 |　　そういえば、やる夫が言っていた夏祭りの会場も……
　　　　＼　　　　　　　/
.　　　　　＼　　⊂ヽ∩
　　　　　　/´　　 (,＿＼.
　　　　 /　　　　　　＼. ＼
　　　 ./ 　 / 　　　 |. ＼ソ
　　　　（　y'　　　　　 .|
621 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:32:14 ID:Gi6fzf4g0: 9/47
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／_　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ '´・）　 !　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {　〃　　／　、　　ヽ　　　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从小{ 　　（　　ノ　_ノ　 } ﾄ､　　ｌ　　ｌ　　　ト
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ{　　　ﾉ　　￣￣ヽ　　ﾉ'　ヽ　} 　　 }　　从
　　　　　　　　　／イ/　　/　ヽ　　　ﾉ　ﾉﾉ　）　　　　　} /　　从　ﾊ{
　　　　　　　　　ノ |　ノ__　　　　　　　／　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/　　　
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从￣⌒ー -‐r‐-- ..__　　　　　ﾉ　　人{　 ′　　　
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　､､､　　　　　　￣＼／　／　　 /　　　　　　えっ？
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　　r－、　　'"　_／／}/ 　　 /
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　l　　_j　　u ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼

┼─
│燕に続いてさくらも驚いたような声を上げるが、どこか芝居がかっていた│
│その表情も燕とは違い、笑んでいるという方が適切である　　　　　　　　..│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　.─┼
　　　　　　　　　　／{¨ヽ
　　　　　　　　　 __､＿＼`┐　,-=＝=―､
　　　　　　／.::::::::｀ゝ⌒'´￣｀ー:.､=-￣ﾉ
　　　　　　,イ.:::::::::::::::::'::!::`::::::::::::::::::､:.＼-くﾞ:!
　　　　　/::.,':::::::::,'.:::;:::;:::;:::::::::::::､:::::::::.ヽ::`〈:::i
　　　／.:::::.:::.:.:/:.::;'::/.::i::::::::i:::､:.ヽ:.:.:.:.:.､:.:.:i‐-､
　　　 {::':::::i::::::::i::::ｲ:ｲ:i:::ﾄ:::::::ﾄ､::::.:.､:.::::::::::V:!､　｀)
　　　 {:i､::::l::::i::i::/ l! {:ﾄ:{ Ⅵ::| ヽ::::､:i::::::::::::iﾉ､＼(　　　　あら、同じ所なのですか。随分奇遇ですね
　　　　` ヾ!ヾﾄﾄ!⌒ヽi! ヽ '´￣｀ヾ::ﾉ!:.i::::ノiﾞヽ　＼
　　　　　　　　 iﾄ⌒ﾞ　　　 ''¨¨¨ヽ ,':iﾍﾞi:::ノ:ｉ　＼メﾉ　　 ……で、やらない夫様、どうされるのですか
　　　　　　　　ﾊ　　ﾉ　　　　　　/.::ﾄノ!´:::::{二(:::::､＼　
　　　　　　 /i:::.､　､__,　　　　,:i::.:ﾚﾍ::::::::::､:::::ヽ:.:.､:.＼
.　　　　　　 /ｲ:::::}丶.　　　 ,　 ,'ｲ::::!　ヽ::::::::.ヽ:::.:.＼ﾄ､:.＼
　　　　　ノ' |:::ノ　　丁ﾟ　,ィl:ﾊ::::!=-､ヽ:::::::::.ヽ:.:.､:.ヽ｀ｰ-＝‐
　　　　　 ´　　!:;'_... -ｫ¨i　／´ |! {:::l　_i′ ＼::::::::.､:::､:::ヽ

　　　　　　　　　　　　 ,へ、
　　　　　　　　　　／　　　ヽ＿ｧ‐‐==＝､、
　　　　　　　　　厶-‐v‐─- ､`ｰ､　　　　:》
　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::`::.::＼　　ﾉ
　　 .　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::＼ｲ}
　　　　　 /:::l::::::::l: l:::il :l::: ::l　ｌ:::::::::::ﾊ彡ﾄ､j
　　　　 /::::|:::::::::!:|::::iｌ::ｌ!::::|::::::l:::::::::ﾏﾊ:::ﾊ　＼
　　　　　ﾚﾍj::::::斗ﾍ､ﾊ;:x‐L_/+､:::::::ﾔ」:::::}ﾍ:、》　　行かれるのでしたら、燕さんも連れて行ってみては？
　　　　　　　.`≧i}yrfﾄ　　ィfミvj::::ﾚ1彡人　Y
　　　　　　　　ﾊﾋ,ﾘ　　　ｌｰ':ﾘ l|:::f)ル'′}　 }}　彼女は、そうしようと思えば、
　　　　　　　　从￣　 '　　￣｀ |::::ﾚ’::L__レ'′
　　　　　　　　 i::::ﾄ.、 `ｰ "　　ｲ|::::|::::::::::::|　　　　入速堂の管理者以外の人にも可視できるようになりますし
　　　　　　　　 !:::::|! ＞r-　＜ .|j::::ﾊ:::::::::::!
　　　　　　　　 |::::ﾉ ,ィ{{ 　　,ｲ7¨|::::ﾄ、:::::::::|
　　　　　　　　／,ｲ: : |ﾄ､.／:: ｲ .|::::| 》、::::::|
622 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:32:25 ID:Gi6fzf4g0: 10/47
┼─
│やらない夫はちらと燕を一瞥する　　　　　　　　　　　　　...│
│彼女もまた、自分の反応を見逃さんと言わんばかりに、 │
│真っ直ぐに視線を向けてきていた　　　　　　　.　.　.　.　.　.│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...─┼
　　　　　　　 _,,, .,-￢ｰ-----,,,,,、　　　　　　　　　　　　
　　　　　　 ,,-''''''″ﾞ"￢-．｀ﾞ''-,、　 `ﾞ'ヽ,、　　　　　　　　　
　　　　　 ,/｀　　　　　　　ﾞ'i､　｀'i､　　　ﾞ''､、　　　　　　　　
　　　　 ,/｀　　　　.,ﾍ　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　
　　　 ./｀ /　　／　＼.、　＼　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　
　　／　//　／─^ 　ヽヽ,　　ヽ＼　　　　　　　　 i､　　　　　
　.,/,,イ_ﾉlﾞ、/,．）　　　　 } ﾄ`'--ヽ､ヽ,　＼　　l　　ﾞl　　　　　
　'"゛.iﾔ| .|│　/ .ﾉﾉ　　ﾉ' 　　　ヽ　　ｌ　.|　　 |　　　|
　　 l |　从lﾞ　.|＿＿　　　　　ヽ　}　 .|　　　|　　 {　　　
　　｛, |　　 l　ﾉﾉﾉﾉ｀,! 　　　　　ﾉｲ　 |　　ｌ　　　ト
　　 jﾉl ,　 |　　　　 '"　　　　　　　　 |　　|　　从　　从
　　　　ﾞ|、 |　 .,,-r-,,,,,,,,,,,＿,,,,,,,,,,,,,,,,, |　 / 　　人{　ﾊ{　　………
　　　　,| ト !イ゛ l丶　　　　　　　　　,ﾉ.,,/　　／　　 /
　　　 " l　 | 　｀　　　　　　 r!"'|　　}/ 　　 /
　　　　　 l r,l l、　r―‐ -. 　　　　　　|　　　　　ﾊ{　　　　
　　　　ノ|ﾉ} l‘i､　｀￣ ´　　　　　　　ﾉ ,ｨ / }/　　　　　
　　　　　　 j/］ i ヽ　　　　　　 .,,-'"　イ{ / |/ /　　　
　　　　　　　　 l |　ヽ　　 .,,,-‐'"　　　 .l/ヽ八{.＿　　　　
　　　　　　　　 `' l,ヽ `,!'''" ヽ　　　　　. |/{ /´,)￣/　＼　　　
　　　　　　　　　　’ ｀'ﾞl l　 y　l,　　　　　 .,,i´／ /　　　ヽ　　
　　　　　　　　　　　　 |,l |/　,i´|　　　　,/ .,i´　丿　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　″ ,r,| ,l　　　　丿 ,lﾞ　 ,/｀　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　／/ /　　　 ,/｀,/′丿　　　　　　　　

┼─
│ふっと視線を逸らして虚空に泳がせる　　　　　　　　　│
│二人から逃れるようにして背を向けると、.　.　.　.　..　..│
│頭を掻きながら二階の自室に向かいつつ、返答した │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...─┼
　　　　　／￣￣￣＼
　　　　／　　　　　　＼
　　　./　　　　　　　　　　ヽ
　　　.l　　　　　　　　　　　l
　　　 l　　　　　　　　　 l
　　　 .l　　　　　　　　　　 l　　あいつに「やっぱり行く」って言うのも癪ですし、もう少し考えます
　　　　ヽ　　　　　　　　　 l
　　　　　ヽ　　　　　　　　 l
　　　　　　.)　　　　 __,,..／
　　　　／＝＝=､_〈
　　　／　　　　　　　＼
　／　　　　　　　　ヽ
　.ｉ　　　　　　　､　　　 . l
　.l ｉ　　　　　 l　　　 l
　l .l　　　　　　 l　　　 l
　l　l　　　　　 . l　　　 l
　l　l　　　　　 . l　　　　l
　l　.l　　　　　　､　　　.ヽ
　ヽ .l　　　　　　ヽ　　　ヽ
　　ヾ､_＿　 _＿＿ヽ＿,　')
　　　l_￣_￣￣__ __　.ヽ_ノ
　　　l　　 l　　 l　　l　　　l
623 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:32:36 ID:Gi6fzf4g0: 10/47
┼─
│まだやらない夫との付き合いが短い燕は、　　　　　　　　...│
│やらない夫の真意が分からず、黙ってその背を見送った │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─┼
　　　　　　　　　,.　.,z=-
　　　　　＞　　 ⌒　ィﾆミ　＜
.　　　／　　　／⌒ ´　　　`　　ヽ
　　 /　　　　´　　　　　　　　　　 `,
　　,　　　/　　　　ｲハ　　　　　　　,
　　l　　/　　　ﾉ /lﾉ￣!ﾄ、i　`,　　ﾄ、
　　l　 ,'　　　/| /ノ・)　 l　＼ i　l　　ヽ、
　ｲ　,l ,l　　,' /　　(　ノノ　 lヽ,l　　 l＼　　
.　 l　 { l　 |il　　　ｨ`刀ﾌ )　　从l l　',
.　 l　　ゝゝ　　　´ ´´ ´イ＿＿,ﾘ l　l＼　　………
.　ゝl l i　 L`＿,.　 '' ￣i　　　　ﾑﾉl l
.　　ﾉ仆l　　 >　　　　._　z　　 /／ｿ'ﾘ
.　　　!| ゝ、l l　.`　.　　　　　ｲ/ /ノ
.　　　　　　)ﾉ从_l　　＞　.<l (|/
　　　　　　　ｲﾏl　　　　　ﾚｲy、
　　　　　／ﾆli　',　　　　　Y //=＼
　　　／ﾆﾆニl',　',　　　,../ //ニﾆﾆ＼
　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆlﾑ　i,ヽ ´/ .//ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼
イﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl　',　i,　/ .//ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼,

┼─
│だが、さくらは苦笑を零し、そんな燕の肩を叩くのであった │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....─┼
　　　　　　　　　　／{¨ヽ
　　　　　　　　　 __､＿＼`┐　,-=＝=―､
　　　　　　／.::::::::｀ゝ⌒'´￣｀ー:.､=-￣ﾉ
　　　　　　,イ.:::::::::::::::::'::!::`::::::::::::::::::､:.＼-くﾞ:!
　　　　　/::.,':::::::::,'.:::;:::;:::;:::::::::::::､:::::::::.ヽ::`〈:::i
　　　／.:::::.:::.:.:/:.::;'::/.::i::::::::i:::､:.ヽ:.:.:.:.:.､:.:.:i‐-､
　　　 {::':::::i::::::::i::::ｲ:ｲ:i:::ﾄ:::::::ﾄ､::::.:.､:.::::::::::V:!､　｀)
　　　 {:i､::::l::::i::i::/ l! {:ﾄ:{ Ⅵ::| ヽ::::､:i::::::::::::iﾉ､＼(　　　　　　大丈夫。ああやって頭を掻く時は照れ隠しなのですよ
　　　　` ヾ!ヾﾄﾄ!⌒ヽi! ヽ '´￣｀ヾ::ﾉ!:.i::::ノiﾞヽ　＼
　　　　　　　　 iﾄ⌒ﾞ　　　 ''¨¨¨ヽ ,':iﾍﾞi:::ノ:ｉ　＼メﾉ　　　　「行く」と言って、燕さんに感謝されるのが恥ずかしいのです
　　　　　　　　ﾊ　　ﾉ　　　　　　/.::ﾄノ!´:::::{二(:::::､＼
　　　　　　 /i:::.､　､__,　　　　,:i::.:ﾚﾍ::::::::::､:::::ヽ:.:.､:.＼　　楽しみにしておきましょう
.　　　　　　 /ｲ:::::}丶.　　　 ,　 ,'ｲ::::!　ヽ::::::::.ヽ:::.:.＼ﾄ､:.＼
　　　　　ノ' |:::ノ　　丁ﾟ　,ィl:ﾊ::::!=-､ヽ:::::::::.ヽ:.:.､:.ヽ｀ｰ-＝‐
　　　　　 ´　　!:;'_... -ｫ¨i　／´ |! {:::l　_i′ ＼::::::::.､:::､:::ヽ
　　　　　　 ,ゝ{::!　／ | ／　　　!,..|:::!￣＼　　｀ヽ:::::ヽ:::､:::i
　　　　 /　ﾘ／　／　　　／　 }:ﾉ.　　　＼　　i::::::::i::::}:::i
.　　　　 /　／ .／　　　／　　ﾉ'　　　　＼ |:::::::j::::;::::ヽ.
624 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:32:49 ID:Gi6fzf4g0: 11/47
　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　r´ ´＼　　　　　　　　　　　＼
　　　 (　　　　＼　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　古書店『入速堂』
　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　＼　　　　　第十四話　夏模様
　　　　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　＼　　　　＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　＼　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼
　　　　　　　　＼　　　r´＝＝＝＝＝＝＝＝＝ｒ´
　　　　　　　　　　＼　《三三三三三三三三三=
　　　　　　　　　　　　　　ヽゝ＝＝＝＝＝＝＝＝＝=ゝ
625 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:33:09 ID:Gi6fzf4g0: 12/47
┼─
│数日後 │
　　　　...─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｆ'厂_/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｆ'厂_/　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｆ'厂_/ ｌ　}
_==_==_==_==_==_=='｢i,　　　　　　　　　　　　　ｆ'厂_/.　!　!
ﾆ7ﾆ7ﾆ7ﾆ7ﾆ7ﾆ7ﾆ7,ﾀ{,　　　　　　　　　　　　ｆ'厂_/�� ｉ　ｌ
_7ﾆ7ﾆ7 ,,､,. 7ﾆ7ﾆ7,ﾀ.[{,　　　　　　　　　　　　 ´￣ |　ｌ　{　ｌ
7ﾆ7 , ,､ゞﾞｿ, ﾆ7ﾆ7,ﾀ＿{_　　　　　　　　　　　 |　I　ｌ　i
.ﾆ7 ､ゞゞ八ｿ'ィ,. 7,ﾀﾆ7ﾆi＼　　　　　　　　　　　　　　|　ｌ　ｌ　}
ゞゞヾﾞゞヾﾉソゞr, ニｲﾆ∧ﾆゝ　_､,､ヾｨッr, ,　　　　　 |　ｉ　ｌ　l
､tゞゞヾﾍﾘソﾞﾉﾂｲ, _l_ｌ_ｌ |冖||rﾞ､ゞｨｿノゞ〃ゞ, 　　　 |　}　ｌ　ｌ　　　　　
‐ー,┬-- ┬ｰ - ┬-　⊥_ || ゞ"ゞ'ﾉ､ゞ乂ゞｿ　　　　 |　ｉ　ｌ　i
‐-　二.__ ￣⊥二 ;ﾆ￢‐-__｀ﾆｰ,ゞ爻ゞ_t､;､ゞ;;､;;､;.、 |　ｌ　ｌ　{　　　　　
_}＿　i　 | ‐ r‐　- {┴'┬ ｭ_ j'ｰ_ｔ´ﾆ´´_￣|､, ─-ﾆ､''|　ｌ　{　ｌ　　　　　　
＿j＿￣｣, 二亡　ｉ二,-t￢'_.. -'_‐r_ﾆ　='|k;'　　 ,.,､;;ト {.._ｌ　I　　　　　　
,｣＿ _}＿ | ‐'‐ ┬ '｝ -' T´ ,!ィ´i ',．‐' ´￣　　　 ;ゞ;";l` ト l `ト
　　I＿ _j_,!　丁二.} ィ　ｨ´ ,k' ／　　　　　　　　ﾞt;';_ｌ　{　l `ト　　　　
￣　　_j_　.}　一ー｛イ　,! 'ﾚ ´　　　　　　　 yk{´ _>､　!　!
'Ｔ´￣i 　 _」　T　⊥j, ｲ／　　　　　　　　　　　从〔｀fヽ jヽ　{　　　　　
_j - 'Ｔ´{　 j ￢－　i／　　　　　　　　　　爻｛_ｽ＾rく´_>､　　　　　　
　　L ィ ´　| ￣￣´　　　　　　　　　　　　 'ゞ〈ゝハ人トy
イ´　 ,ｌィ´ }　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ〔ﾉヽ´i、_T´
│.イ　 i／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ´ゝ‐ﾍ,_｀
'´　,レ ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`r'＾i __厂,
_／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀〈　ヽｨ^

　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__＿＿＿＿_＿＿_＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　／ ───────　/ ,───ヽ-─-─-- -─---ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,／　　　　　　　　　　　　//|　　　　　　|　　　　　　||　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　 ,／　　　　　　　　　　　　　///|　　　　　　 | 　　　　　 ||　　　　ヽ|
　　　　　　　　　_∠_＿　　　　　　　　　_＿ //＿|ニ）__＿＿__|＿＿＿＿||＿＿____|_|
　　　　　　　／　　　　　￣￣￣￣￣_　／　　　|　　　　　　|　　　　　　|　　_＿＿_|
　　　　　　／/＿＿＿＿＿＿＿　／　ﾉ／￣￣|￣￣　⊂⊃|⊂⊃　　 /＿ロ　＼_|
　　　　　/ //＝＝＝＝＝＝／／_ ／_＿______|　　　　　　　_|　　　／/____＿____＿|
　　　　　|￣　└[ESTIMA]┘￣￣　／;;;;;;;ヽ　|￣￣￣￣￣|￣￣￣／;;;;;;ヽ　　　ﾉ　　キィィ……
　　　　　|二|└────┘　|二)__|_|:（∴）:|__|＿＿＿＿＿|__＿_＿|:（∴）:|_＿__ﾉ
　　　　　￣￣ゞゝ;;;;ノ￣￣￣￣￣ゞ_ゝ:＿ノ　　　　　ゞ;;;;;;ノ　　　ゞゝ:＿ノ
626 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:33:34 ID:Gi6fzf4g0: 13/47
┼─
│結局さくらの言葉通り、やらない夫は夏祭りに参加する事にした　　　　..│
│どうせ行くなら大所帯でという事になり、やる夫が紅莉栖も誘った他、　 │
│やらない夫も、店員とその友人を連れていくと事前に説明していた　........│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...　─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　＿＿＿_　　　　　　/ /
　　　　／＼　　／＼　　　／ /
　　　／（ ⌒）　（⌒）＼／　 /
　／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼ /
　 |　　　　　|r┬-| 　　　 |　　やらない夫ー、迎えに来たお！
　＼　　　｀ー'´ 　　／
　　／　　　　　　　　　＼
　/　　　　　　　　　　　　＼
/　　／＼　　　　　　　　　ヽ
　／　　　＼　　　　　　　　ﾉ
U　　　　　　ヽ　　　　　　ノ

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　 |　　　（ ●）（●）
　　　　　　 |　　　　（__人__）　　おう、今日は安全運転で頼むぞ
　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ　　
　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　ヽ　　　　　　　}
　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　＿,---/ﾍﾍ　　　//＼
　/ ´: : : : : : :ﾍ: ﾍﾍ.　 //: /: : ￣ヽ
ノ: : : : : : : : : : ﾍ: ﾍﾍ//: /: : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : ﾍ: ﾍ/: /: : : : : i: : : |
: : : : : i : : : : : : : : ﾍ/.: /: : : : : : :i: : : l
: : : : : i : : : : : : : : /: : /: : : : : : : : |: : : i
: : : : : ﾍ: : : : : : :/: : /: : : : : : : : : : :i : : |
: : : ゝ : : : : : : /: : /: : : : : : : : : : : : l: : : i
: : : : ヽ: : : :/: : : /: : : : : : : : : : : : /: : : : |
627 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:33:45 ID:Gi6fzf4g0: 14/47
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿　　　＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　　＼／　　　　　＼　　　　　　 ‐-､　　　んなこたぁ分かってるお
　　　　　､-‐ 　　／⌒　　 ⌒　　　　　　　⌒　　 ⌒＼　　　__＿,ノ-､
　　　､- !､,＿_／（● ）　（● ）　彡　　（ ●）　（ ●）ヽ　　　 __＿,ノ　それより、可愛い店員さんはどこだお？
　　　!､,＿__　l　　（__人__）　　　　　　　　　（__人__）　　|
　　　　　　　　＼　｀⌒ ´　　　　　彡　　　　　 ⌒´ 　／　　　　　　　　　早く紹介して欲しいお！
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

┼─
│自分らだけ行くのも……という事で、さくらも誘ったやらない夫であったが、 │
│その際にネックとなるのが、この悪友であった　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│変な虫を寄りつかせるわけにはいけない、と決意を新たにする　　　　　　　.│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　　　　─┼
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　_　　（●）（● )　　　|　　　ああ、今準備中だろ
　　　　　　　　 _　/ / 　（__人___）　　　|
　　　　　,.-r／γつ' 　　 '､`ｰー′　　　|　　　そろそろ来るはず……
　　　　ししiン'´ /　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ギィ……　＞
　　　 /　7´　　丿　　　　 !　､　　　　.イ 'y､　　ほら、出てきた
　　　ト　´　ｨ'´　　　　　　`rﾆ=ｰ　7 　/　〉-、_
　　　 }　　　{　　　　　　ィ´ﾄ､　　　／　／　　　`ｰ- 、
　　　 |　　　|　　　　＜ /　ﾉ､_,.-'／　／　　　　　　　　ヽ
　　　　| 　　｜　ノ/　/　/　／　／　　　　　／　　　Λ
　　　 | 　　ﾄr'´ /　　i　ｲ　/　／　　　　　　　　　　　　　}
　　　 |　　　 iﾉ-.､i　　 i　 i/　 / 　　　　　　 /　　　　　 ,'
　　 Λ　　　ﾊ　 i　　 | /　 /　　　　　　　∠　　　　　　 /
　　　| {　　/ ,'　 !　　 i/　 /　　　　 _____イ　￣ヽ、　　ｲ
　　　'; ヾ /　　　_i＿__｣＿'二ﾆ=-ﾔ´　　　｀ヾ'､　　　　|イ
628 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:33:56 ID:Gi6fzf4g0: 15/47
┼─
│店の戸が開く音に振り返ったやらない夫　 │
│視線の先にいたのは、さくら。そして……....│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　, ----,.:::::::::::::::::::::....,iiiiiiiiiiiii{
　　　　 __└ii／:::::::::::::::::::::::::::::::::':..,iiiiiiiiiii）
　　　　 liiii／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽiiii{
　　　　 V::::::::::::::;:::/:::::;:::::::::::;:::::':;::::':;::;:Y
　　　　/::::::::}:::::/:::}::::/:{ヽ:|i:::';::::::i::::::}::i:::|_
　　　　{::::|::::i:::::|::::|l::1::|　ﾘ}:::::}i:::|l::::::}::}::ﾉi ､　　　お待たせ致しました
　　　rii| ::ﾄ､:{:wA--t¨　　 ´二￣`i::r､/､iiiiiiヽ
　　 (iiiii＼､.r､.. _=―　　　 `￣`´|::|ｿiii∧/´　　やる夫様の事は色々伺っております
　　　`.ﾟ/iiiiiiヽ|:,　　　　　，　　　丿:}iiiiiiiiii〉
　　　 ∟iiiiiiii|:::ヽ　　　ー　　　ｨi::::|:し‐´　　　　今日は宜しくお願い致しますね
　　　　　 7-|::::::|{＞､_　　　イ::::}:::|::::|
　　　　　　| ::|::::::|r, L　　¨ 　 :|､_|::::|::::|
　　　　　　| ::|::::::|　＼､　／, ' .j:::::|::::|
　　　　　　l＜::::::|　　　У／　 /|::::| ＞､
　　ｒ ´　　　 |::::|i 　　／　　 ' |:::ﾘ　　　＞､
　 ./　　　　　 ';::| ｌ､ .／　　　　/.}::/　　　　　　 ',
　/　　，　　＼,У　　　 ./ ｲ　　　　　　　　 ,

　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!ⅱ|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{|　　　　　 ‐-‐''Ⅴj ﾊ. !　　　　どうも、初めまして
.　　　　　从N !Ⅵ!=ｰ '　　　　　　　j// l∧
　　　　　乂乂小.　　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　ｰ _.´　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l
629 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:34:14 ID:Gi6fzf4g0: 16/47
┼─
│もう一人出てきた見ず知らず美女に、　　.　.　.　.　.　..│
│やる夫のみならず、やらない夫までが思わず呆ける │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　　　　　、
　　　　　　　　　　|　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　「ヽ,__
　　　　　　　　┌┴─＜　　　　 ,'　j 〉 lヽ.　　（だ、誰この人？）
　　　　　　　,.-┴‐ ｰ--、＞ｭ、 /つ_/∠ノ
　　　　　／　／　　　　／⌒ヽ 7￣ノ
　　　／　／　　　　　　　　　　Y√
　　／　　　　　　　　／　　　　　/∧
　/　　　　　　　　 /　　/　　／ /　`-､
/　　　　　　　　　i　　　／　　　　　　＼

┼─
│後部座席にいた紅莉栖もまた二人の美女に見惚れていたが、 │
│彼女の心境は、男達二人とはまた別物であった　.　.　.　.　.　.　..│
│うぇぇ、と呟くような声が漏れてしまう　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　、　　　 ,r:'''''´:::::::::::::::::::::｀:::...、
　　　　　　　　 lヽ＿／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　/::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:::}
　　　　　　 /::/::::::/::/ {:;::::::::::::::::::::;:::::/}:::l:::::::::}:::}
　　　　　　　　{:::{::::::/|:/　.{:l|:::::;::::::i::::/::/　ヽ|ﾞ|:::::::}:::}
　　　　　　　　{:/|:::/-|-ﾆニ,|::::|:::/|:/|/ニﾆ--{:::::}:/-、
　　　　　　　 /:|ﾞ|:/-=´ﾞ.i::..:::lヽ:|/ .´ ,´i::::..:::l゛,.{::/::|. /　　（ちょ、ちょっと……店員さんはこの前見たけれど、
　　　　　　 ./r-｀{:::|　｀ ,｀¨´　　　　　 .｀¨¨´　.{´::::l/:}
　　　　　　/´: : :|::::|　/ / / /　|　　/ / / /　 .|::::::::::}　　　　何でもう一人も美人なのよ……ライバル増えたじゃない……）
　　　-=ﾆ{;r-==,.|::::|　u　　　　　　　　　　 |::::::::::|
　　　／,r-====..|::::|、　　　, -----、　　 , ../}::::::::::|
　　 /: : : : : : : : :.|::::|: :｀: . .、=----, . . ----;;:}:::::::::::}ヽ、
　　 {: : : : : : : : : :|:|::|: : : : : : : : ¨ : : : : : : : : /ヽ,::::::::|:::::ヽ,
　　＼: : : : : : : : ヽ::|: : : : ; : : : : : : : : : : : :/　　ヽ:::::|::::::::}:＼
　　　　｀￣￣￣￣ﾞ｀￣￣＼: : : : : : : : : :/　　／.}:::::|/|:::} : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ : : : : : / ／´゛　 }::|:|: ヽ}: : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー--.´.¨|　　　　}::}｀======ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__r,,}　　　 /}゛: : : : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｀′, .// .} : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ_/,//,-′: : : : : : : : : }
630 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:34:25 ID:Gi6fzf4g0: 17/47
┼─
│さくらが二人に向けて自己紹介する　　..　..　..　..│
│尤も、実質やらない夫にも向けた紹介であった │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.へ､
　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::＼ミゝ= ､　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ヾ.イ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;;;´¨;;＜彡'⌒!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ';;;;;;;;;;;;;;――;;､＿ ,;;-;;､;;;;＼:::::{_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;∨（
　　　　　　　　　　　　 r―彡ｲ;;;;;/;;;;;;;;;;;/;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ}'´
　　　　　　　　　　　　　ソ'´:::,';;;;;/;;;;;;;;;,.ｲ;;;;ノ!;;;;;|!;;;;;;;;;､;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
　　　　　　　　　 r'´:::::::::::|;;;;;i;;;;;;;;;/-リ、 |!Ⅵ!Ⅵ;;;;;;;}、;;;;;;;;;;;;;;;}
.　　　　　　　　　ヽ:::::::::::八;ソ-r､{!ｨｫｯﾐヽヾ! ヾⅥjﾑ;;;;;;;;};;;;};;|!　　　牧瀬さんとは一度お会いしましたが、
　　　　　　　　　　　ノ:::::::/::::/ 'l;;;;!　弋rリ.}　　　'´,.ｨｫｯ､,j;;;;,ﾉ /} }、
　　　　　　　　　　＼:::/ヾ'∧ l;;;;l､　｀¨¨　　　　弋rリ゛ｲｲﾉ//ノ　　　やらない夫様の店で働いております真宮寺さくらと申します
　　　　　　　　　　　　ヾ　 j;;;;｀l;;;;| ｀ー　　　 ! 　｀ ¨´/;;;;l:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;|;;;;ﾄ､　　、　 '　　　　/_|;;;;ﾄ､::::　　　　……で、こちらの女性は、私の友人の燕さんです
　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;|;;;;|;;;| 、　　￣　　ノ;;;;;!;;;;!､∨
　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;l;;;|　丶　＿　 r;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;|;;;＼
　　　　　　　　　　　 i;;;;;;;;;;;;;/l;;;;lヾ、　　　　　|)}!＼;;;;;;|;;;;|;;;;;;;;;＼
　　　　　　　　　　　 |;;;;;;;／ :|;;;;l ヽ＼　　　　//　　ヾ┤;;j- ミ､;;;;;＼
　　　　　　　　　 , -┴'　＼}|;;;;;l 　＼＼　／/　　　　}!;;;;|　　　＼;;;;＼
　　　　　　　　　　／　　　 {.　｀|;;小､　　＼У,/ 　　 ,/ |;;小、　　＼;;;;＼

┼─
│名前を出されて、やっと合点がいった　　　　　　　 .│
│言われてみれば淡い栗色の髪には見覚えがある │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　..　..　..　　　　　─┼
　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　　　　　　,ｲ　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　／/　　 /　　　　　／／　 !　　　　　　　　　　　　　 ;
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ 　　　　!　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {- /─-: 　　　　　 ──-ミ　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从ィﾃぅヾ　　　　　　　　　ヽヽ　ｌ　　ｌ　　　ト
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ込:少　　　　　 'ィ,ラ=､､ヽ　} 　　 }　　从
　　　　　　　　　／イ/　　ヽ　　　　　　　　　込zノ'ゞ　 } /　　从　ﾊ{
　　　　　　　　　ノ |　　ヽ､､､　　　 /　　　　　　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从　　　　　ヽ　　　　　　､､､　　ﾉ　　人{　 ′
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　　　　　　　　　　　　　／　／　　 /
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　ャ‐- 　 .._　　 _／／}/ 　　 /
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　 ` ‐-‐ ´　　ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼
　　　　　　　／.:::::::::::::::.＼　　＼＼　　　/　{　| !::::::::..＼
　　　　／.:::::::::::::::::::::::::. ＼　　＼＼　 {　 |　| |:::::::::::::::.＼
631 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:34:36 ID:Gi6fzf4g0: 18/47
┼─
│やる夫が二人に軽く会釈する　　..　..　..　..　│
│それから仰々しく後部座席の扉を開いた　 │
│今日は随分と気合が入っているようである │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　..　..　.　　─┼
　　　　　　　　　　　　　 ∩＿
　　　　　　　　　　　　　　〈〈〈　ヽ
　　　　　　＿＿＿_　　　〈⊃　　}
　　　　／⌒　　⌒＼　　 |　　 |　　　二人とも宜しくだお！
　　　／（ ●）　（●）＼　 !　　 !
　／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼|　　 l　　やる夫もさくらさんは遠くから見た事あるお
　 |　　　　　|r┬-| 　　　 | 　／
　＼　　　｀ー'´ 　　／／　　　　その話もおいおい車の中で……出発するお！
　　/　＿＿　　　　　　　/
　　(＿＿＿）　　　　　　/

┼─
│やる夫に催促されて、さくらが最初に後部座席に乗り込む　　　..　..　.　　│
│続いて燕が乗り込む際に、横に立っているやらない夫に顔を向けると、 │
│普段とは違い、はっきりと表情を見せて微笑むのであった　　　..　..　.　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....　─┼
　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!ⅱ|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{|　_ 　　　'´　｀ Ⅴj ﾊ. !　　やらない夫様、今日は本当にありがとうございますね
.　　　　　从N !Ⅵ!='´｀`　　　　　　j// l∧
　　　　　乂乂小.　　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　ｰ _.´　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l
632 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:34:46 ID:Gi6fzf4g0: 19/47
┼─
│名実共に「人」では無かった彼女から、　　.　.　.　.　.　..│
│急に女性らしさを感じ、やらない夫は大いに狼狽する │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.─┼
　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　 |　　　（ ●）（●）
　　　　　　 |　　　　（__人__）　　お、おう……
　　　　　 |　u　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　ヽ　　　　　　　}
　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　＿,---/ﾍﾍ　　　//＼
　/ ´: : : : : : :ﾍ: ﾍﾍ.　 //: /: : ￣ヽ
ノ: : : : : : : : : : ﾍ: ﾍﾍ//: /: : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : ﾍ: ﾍ/: /: : : : : i: : : |
: : : : : i : : : : : : : : ﾍ/.: /: : : : : : :i: : : l
: : : : : i : : : : : : : : /: : /: : : : : : : : |: : : i
: : : : : ﾍ: : : : : : :/: : /: : : : : : : : : : :i : : |
: : : ゝ : : : : : : /: : /: : : : : : : : : : : : l: : : i
: : : : ヽ: : : :/: : : /: : : : : : : : : : : : /: : : : |

┼─
│やらない夫も頭を掻きながら助手席に乗り込む　　..　..　..　　│
│そして、五名を乗せたレンタルカーは走り出すのであった │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__＿＿＿＿_＿＿_＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　／ ───────　/ ,───ヽ-─-─-- -─---ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,／　　　　　　　　　　　　//|　　　　　　|　　　　　　||　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　 ,／　　　　　　　　　　　　　///|　　　　　　 | 　　　　　 ||　　　　ヽ|
　　　　　　　　　_∠_＿　　　　　　　　　_＿ //＿|ニ）__＿＿__|＿＿＿＿||＿＿____|_|
　　　　　　　／　　　　　￣￣￣￣￣_　／　　　|　　　　　　|　　　　　　|　　_＿＿_|
　　　　　　／/＿＿＿＿＿＿＿　／　ﾉ／￣￣|￣￣　⊂⊃|⊂⊃　　 /＿ロ　＼_|
　　　　　/ //＝＝＝＝＝＝／／_ ／_＿______|　　　　　　　_|　　　／/____＿____＿|
　　　　　|￣　└[ESTIMA]┘￣￣　／;;;;;;;ヽ　|￣￣￣￣￣|￣￣￣／;;;;;;ヽ　　　ﾉ　　
　　　　　|二|└────┘　|二)__|_|:（∴）:|__|＿＿＿＿＿|__＿_＿|:（∴）:|_＿__ﾉ
　　　　　￣￣ゞゝ;;;;ノ￣￣￣￣￣ゞ_ゝ:＿ノ　　　　　ゞ;;;;;;ノ　　　ゞゝ:＿ノ
633 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:35:16 ID:Gi6fzf4g0: 20/47
┼─
│道中、高速道路―― │
　　　　　　　　　　　　....─┼
`-､　l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣.|::::/　　／l 　＿＿|_|:;:;:l ｌ;:;:;:;:ゝヽ_:;:;:;':; |￣￣￣￣￣￣￣￣￣:::
l l l `-､　;;;;;;;;;;;;;l,￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|::/　 ,/　　 /::::::::::: | |:;:;:l ｌ:;::::;:＼／____;:;|￣￣￣￣￣￣￣￣￣:::
l l l l l l `-､;;;;_;;;l　　　　　　　　　　　　　　 l/　　減　速！ :::::::| |:;:;:l l:;:;::;:;:;:;:;====:;:|
l l l l l l l l l `-､　_,　　　　　　　　　　　_　　　￣￣￣￣￣￣￣　￣￣￣￣￣￣￣
l l l l l l l l l l l ｌｌ`-､　_ 　　　　　　l l＿__γ ヽ
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌ`-､　_ 　　　　 .l ｢￣　､ _ノｧ .ｒ‐ｧ　　ｨ‐ｧ　　　　　　　　　　　　　　　　　< "ﾞ、　　　< "ﾞ、
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌl`-､　_　　　　l l===lﾆﾆﾆl.　ｌｌ＾　　　.ｌl^ 　　　　　　　　　　　　　　　＾l ｌ,　　　　^l l
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllll`‐､　_　　l l　　　　ｌｌ　　ｌｌ　　　　ｌl　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l l　　　　　l l
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllll`‐､　_.l l　　　　ｌｌ　　ｌｌ　　　　ｌl　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l l　　　　　l l
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllllllllll `‐-｢`''''''ｰ―---- ､､､､､､､､､::..　　　　　　　　　　　　 ..::＿＿＿,,,,,,,,,､､､､､
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllllllllllllllllllｌ|lllllllｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ　ｌ　ｌ::..　　　　　　　　　　　　..:: llllllllllllllllllllllllllｌｌｌｌｌｌｌｌｌ
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllllllllllllllllllｌ|lllllllｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ　ｌ　ｌ::..　　　　　　　　　 ..:::llllllllllllllllllllllllllｌｌｌｌｌｌｌｌｌ
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllllllllllllllllllｌ|lllllllｌｌｌｌｌｌｌｌ＿_,,,,,,,,､､､､､､､､:::..　　　　　　　　　　 ..:::llllllllllllllllllllllllllｌｌｌｌｌｌｌｌｌ
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllllllllllllllllllｌ|- ' ' "　　 / ￣￣￣ﾞ、_ :::..　　::: 　　　　　　　　...:: "'''' － -　､､,,,,_ｌｌｌｌ
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllllllllllllll__,,,,|　　_,､､- /　 .⊂⊃. 　ﾞ、　　　:::::::::　　　　　_　　　　＾"''‐- ､,,,_　　　~
l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌｌｌｌｌ__,,､､ --―'''" 　　|-''" 　　. |　l l l l l l l l　|　　　　 =/'::::: 　　　 -　　　　　　　 _ ''_-_＿
＿,,､､ --―'''' " ￣　　　　　　;;.. 　　　| ; ;_,,､- lTTTTTTTTTTTl　　　=l=　　　　　　-　　　　　　／　￣ﾌ,'''
　　;　;　　　; 　　　;　　　　;　　 ;　　,,､-''" .　　ｌ＿＿＿＿＿＿,l　　　ﾆｌﾆ　　　　　　　　､-､　　,/　　　 /,
　　　　 ; ;　　　;;　　　; 　　;　 .,,､-''"　　　　　　ｌ￣｢‐lﾆﾆl‐ l ￣ｌ　　　ﾆ'l､-　　　　　　　ヽ_ｨ‐'"''‐-,_ . /,
　; 　　;　　 ;;　　;　; 　　 ,,､-''"　　　　　　　　　llllllll　　　　　llllllll　　　　ﾆヽﾆ,　　　　　　　　ｌ:::::::::::::::_ ﾞ'ｉ‐-､,_
　　;　　; 　　　　　,,､-''"　　　　　　　　　　　　　　, ┐　　　　　　　　　　　ﾆヽﾆ　　　　　　　ｋｒふ、:::::::ｌ::::::::::
　;　; 　　　　,,､-''"　　　　　　　　　　　　　　　　　/＿,　　　　　　　　　　　　二ヽ二　　　　　　ｌ　ｌk,__::::l:::::::::::
634 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:35:28 ID:Gi6fzf4g0: 21/47
┼─
│後部座席の女性陣は、すんなりと打ち解けて雑談に興じていた　│
│浮世離れしたさくらと、そもそも人間ではない燕も盛り上がれる ...│
│三人の共通の話題といえば「やらない夫」であった　　　　　　　　 .│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　　　　　　　 ,へ、
　　　　　　　　　　／　　　ヽ＿ｧ‐‐==＝､、
　　　　　　　　　厶-‐v‐─- ､`ｰ､　　　　:》
　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::`::.::＼　　ﾉ
　　 .　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::＼ｲ}
　　　　　 /:::l::::::::l: l:::il :l::: ::l　ｌ:::::::::::ﾊ彡ﾄ､j
　　　　 /::::|:::::::::!:|::::iｌ::ｌ!::::|::::::l:::::::::ﾏﾊ:::ﾊ　＼
　　　　　ﾚﾍj::::::斗ﾍ､ﾊ;:x‐L_/+､:::::::ﾔ」:::::}ﾍ:、》　　では、高校時代のやらない夫様、
　　　　　　　.`≧i}yrfﾄ　　ィfミvj::::ﾚ1彡人　Y
　　　　　　　　ﾊﾋ,ﾘ　　　ｌｰ':ﾘ l|:::f)ル'′}　 }}　　休み時間は寝てばかりだったのですね？
　　　　　　　　从￣　 '　　￣｀ |::::ﾚ’::L__レ'′
　　　　　　　　 i::::ﾄ.、 `ｰ "　　ｲ|::::|::::::::::::|
　　　　　　　　 !:::::|! ＞r-　＜ .|j::::ﾊ:::::::::::!
　　　　　　　　 |::::ﾉ ,ィ{{ 　　,ｲ7¨|::::ﾄ、:::::::::|
　　　　　　　　／,ｲ: : |ﾄ､.／:: ｲ .|::::| 》、::::::|
　　　　　　　/　'" |: : j／: : :,ｲ' .,ﾊ::j".　＼::!

┼─
│”紅莉栖はやらない夫の旧友”とだけ知らされている二人が、　│
│高校時代のやらない夫に関する質問を次々と投げかけ、　　 ...│
│紅莉栖がそれに答える形で話題は形成されていた　　　　　....　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　..─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . : :~⌒´く, . . . : .:｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　／.:／.: : : : : :}⌒ヽ : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　 . : : / : : : : : : : : : : : : . : : : : : : : .
　　　　　　　　　　　　　 / . : ,′: : : : : : : .: : : : : :. : : : : : :　:.
　　　　　　　　　　　　　　　 ′: .:i. . : : : : : : /. : : : : : ; : : : : : :　:i
　　　　　　　　　　　　　　　 :.⌒ﾒ |: : : : : : :j/. : : : : : : | : : : : : : : |　　そうなのよ、もう毎日って言うくらいだったわ
　　　　　　　　　　　　　　　ｉ: :j ､:j : : : :⌒ﾒ、 : : : : : : | : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　 jyif扎}i :,ﾉ.:／　|:＼: : : : ..:| : : : : : : : |　　あの時もうちょっと真面目に勉強していたら、
　　　　　　　　　　　　 |:ｉ.ﾘ　八{／　汝jＫ: : : : : ..:| : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　 |:ｉ:j　′ ｀　 `z勿ハ : : . :ハ : : : : : : |　　今頃は楽しい大学生活だったでしょうにねえ
　　　　　　　　　　　 j:八　　　　　 | : : : ..:/_,ﾉ : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　｝: :i: 、､)　　　　 | : : : :.′′: : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　 }..:ﾉ:个ｰ―=≦{__j : : :/Ｌ/　.:　.: : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　｝′.:| . : 厂f｢⌒7 . :/／′ : : : / . : :|
　　　　　　　　　　　　　ｉ　 . :|. .:/ハ||　 ′:/ . : : : : : : / . : : :|
　　　　　　　　　　　　　 | . : .:|.:/厂刈 /. : : : : : : : : : :/. . :/ : |
　　　　　　　　　　　　　 |. . .:／〈__／{.′: : : : : : : : :,厶: :/|..: :|
　　　　　　　　　　　　　　｝／/ 〃｢　/}/ . : : : ,.　'´ノ⌒Ｖ..;|..: :|
635 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:35:44 ID:Gi6fzf4g0: 22/47
┼─
│やる夫も時折その雑談に加わるが、唯一参加できないのが当人のやらない夫であった　│
│次々暴露される思い出に、やらない夫の顔は常時赤面しており、　　　　　　　　　..　..　..　..│
│その表情を見られないようにと、顔を外の景色に向けていた　　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- ─-　、
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　_ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　___,ノ_弋 `-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　　　 √ 丶丶`v　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　u　 !　}　　　　　j′　　（俺のイメージが……）
　　　　　　　　　　　　　　　 ,/ { 　　　 У　　 / ,:′
　　　　　　　　　　　　　_,／(　 .ヽ　　　{　　　　 /　　　　　
　　　　　　_, ､ -― ''"::Λ 　'､　　ヽ、__∨　　 {ｰ‐-、
　　　　　/　　ヽ　　　　Λ　ヽ､　､　/ﾑ　　　＼　 7、
　　　　ｿ　　　　　　　　　＼　　＼　￣|　ﾄ　　　　＼　 |
　　　r ´　　　　　　　　　　　＼　　＼　,'　 | '.,　　　　＼',
　　 /　　　　　　　!　　　　　　　＼　　y　ﾘ　∧　　　　　}ﾄ､
　 /　　　　　　　　|　　　　　　　　＼/　 /　　∧　　　　ﾉ　}

┼─
│そんなやらない夫に、運転中のやる夫が、　　　　　　　.　.　.　.　.│
│後部座席の面々には聞き取れない位の小さな声を掛けてきた │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.─┼
　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　／￣￣＼　　　　,,====='='=====､､　＿＿＿　＼
/ヽ､_　　　　＼　　 ||　/　//　　（●）||／　　　　＼　＼
/￣￣￣ヽ　　|　　　゛===========/　―/＾ヽ￣￣ヽ　＼　
|　　　　　　| 　|　　　　　　　　　　　 '　（●| 　 |　　　　| 　ヽ　　やらない夫、ちょっとちょっと
|＿＿＿＿|　 |　　　　　　　　　　（l､__）　|＿_|＿＿＿|l . 　 |
＿||＿||＿＿ |　　　　　　　　　　　⌒´＿__||＿＿＿||/_.　　|
＿＿＿　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿__/￣ヽ　　＿＿＿＿　ヽ |
　　　　　　　　|__ 　＿＿＿＿　　|　　|　　　　　　　　　　 |
636 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:35:54 ID:Gi6fzf4g0: 23/47
　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　あん？
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　 _r‐入ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l::::l;;/　　　 __人〉
:::::::::|/|　　　/　 `ヽﾍ､_
:::::::/::::|　　/::〉　　　〉〉::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.:::|　/::::|ヽ　　//:::::::::|:::!
／: :／:|/:::::::|＼ソ /:::::::::::::i::|

┼─
│身体を少し助手席に傾け、更に後部座席に声が漏れないようにして、 │
│やる夫は顎で後部座席を指すような仕草と共に言葉を続ける　　　　　.│
│締りのない、にやけた顔つきだった　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　＿＿＿_
　　　　／⌒　　⌒＼
　　　／-=・=- -=・=-＼
　／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼　　　　　　　　　　・・
　 |　　　　ﾄｪｪｪｲ　　　　　|　　やらない夫、ダレなんだお？
　＼　　　ヽﾆﾆｿ　　　／
637 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:36:05 ID:Gi6fzf4g0: 24/47
┼─
│質問の意味を理解するのに、少し時間が掛かった　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ...─┼
　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　 |　　　（ ●）（●）
　　　　　　 |　　　　（__人__）　　ダレ……？
　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　ヽ　　　　　　　}
　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　＿,---/ﾍﾍ　　　//＼
　/ ´: : : : : : :ﾍ: ﾍﾍ.　 //: /: : ￣ヽ
ノ: : : : : : : : : : ﾍ: ﾍﾍ//: /: : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : ﾍ: ﾍ/: /: : : : : i: : : |
: : : : : i : : : : : : : : ﾍ/.: /: : : : : : :i: : : l
: : : : : i : : : : : : : : /: : /: : : : : : : : |: : : i
: : : : : ﾍ: : : : : : :/: : /: : : : : : : : : : :i : : |
: : : ゝ : : : : : : /: : /: : : : : : : : : : : : l: : : i
: : : : ヽ: : : :/: : : /: : : : : : : : : : : : /: : : : |

　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ　　　……ああ
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　 __,/二`'''‐､　　　　⌒ﾉ　　　 |　　|　　誰って、お前………
　　　　　　／---::::::￣｀-.､ゝ　　　ノ　　　　|　　|
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:⌒ヽ. ´_ノ　　　 |　　 |
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／´:｀ヽ　　　　　 |　　　|
　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.;／.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　　　　 |　　　|
　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.＿ __ヽ-､,､_,∧　　 |
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.|''''''''"".:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾉ/´:.:.:.:`ﾞ､ /
638 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:36:28 ID:Gi6fzf4g0: 25/47
┼─
│浪人だから、と言ってかわす事も出来た　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│だが、立場上封印している感情は、本来解き放ちたいものである　　　　│
│やらない夫は暫しの躊躇の後、戯れに自身の感情を整頓する事にした │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....─┼
　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　　　　　　　　U 　 |ﾍ　　　
　　　　　　　　　　　　 `､　　　　　　　　　　　　　　Λヽ
　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　_　　　　　　　　　 |　　i　＼　　　（別に、だからどうだって事はないけれど……）
　　　　　　　　　　　　　　＞´ ￣｀¨Ｔ¨ヽ　　／　　　i　　:ﾍ_
　　　　　　　　　　　　　／　 __, -‐､、__,ﾉ　／　　i　　i　　ｉ　　＞、 __
　　　　　　　　　　　　　{　'´　　　　`ヽ'‐'"　　　/ 　　i　　ｉ
　　　　　　　　　　　／〈　 -‐ '￣´`､,ﾊ　　　 /　　　i　　ｉ
　　　　　　　　　　／　　j　　-----､ У〉　　/　　　i　　ｉ
　　　　　　　　＜　　　　{　　　＿　∨　}､_,.　- =- i　　ｉ
　　　　r‐ '´　　　　　　 >､　´ゝ__,.ノj　|　　　　￣/　　/
　　　/　　　　　　　　　　 /ヽ　　　　,ﾊﾉ　　　　　/　　/
　　{　　　　　　　　　　　/　　＼　 r'　i　　　　　/　　/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さくらさんは贔屓目差し引いても綺麗だし、日本人男子好みの、落ち着いた人だよな
十分すぎるほど、魅力的だろ。浪人生じゃなかったら………
いや、どうだろうな。その時にならないと分からないだろ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.へ､
　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::＼ミゝ= ､　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ヾ.イ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;;;´¨;;＜彡'⌒!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ';;;;;;;;;;;;;;――;;､＿ ,;;-;;､;;;;＼:::::{_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;∨（
　　　　　　　　　　　　 r―彡ｲ;;;;;/;;;;;;;;;;;/;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ}'´
　　　　　　　　　　　　　ソ'´:::,';;;;;/;;;;;;;;;,.ｲ;;;;ノ!;;;;;|!;;;;;;;;;､;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
　　　　　　　　　 r'´:::::::::::|;;;;;i;;;;;;;;;/-リ、 |!Ⅵ!Ⅵ;;;;;;;}、;;;;;;;;;;;;;;;}
.　　　　　　　　　ヽ:::::::::::八;ソ-r､{!ｨｫｯﾐヽヾ! ヾⅥjﾑ;;;;;;;;};;;;};;|!
　　　　　　　　　　　ノ:::::::/::::/ 'l;;;;!　弋rリ.}　　　'´,.ｨｫｯ､,j;;;;,ﾉ /} }、
　　　　　　　　　　＼:::/ヾ'∧ l;;;;l､　｀¨¨　　　　弋rリ゛ｲｲﾉ//ノ
　　　　　　　　　　　　ヾ　 j;;;;｀l;;;;| ｀ー　　　 ! 　｀ ¨´/;;;;l:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;|;;;;ﾄ､　　、　 '　　　　/_|;;;;ﾄ､::::
　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;|;;;;|;;;| 、　　￣　　ノ;;;;;!;;;;!､∨
　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;l;;;|　丶　＿　 r;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;|;;;＼
　　　　　　　　　　　 i;;;;;;;;;;;;;/l;;;;lヾ、　　　　　|)}!＼;;;;;;|;;;;|;;;;;;;;;＼
　　　　　　　　　　　 |;;;;;;;／ :|;;;;l ヽ＼　　　　//　　ヾ┤;;j- ミ､;;;;;＼
　　　　　　　　　 , -┴'　＼}|;;;;;l 　＼＼　／/　　　　}!;;;;|　　　＼;;;;＼
　　　　　　　　　　／　　　 {.　｀|;;小､　　＼У,/ 　　 ,/ |;;小、　　＼;;;;＼
639 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:36:51 ID:Gi6fzf4g0: 26/47
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
紅莉栖は、すれ違いで別れたけれど、
今も昔も良い女性だし、デレた時は可愛いわな
でも、さくらさんと一緒だろ。大学生の視線なんか今は持てない
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　　　　　　　　　　　　　　 _＿＿___
　　　　　　　　 . 　 ´　. . .:.:.:.:.:.:.:::::::..｀丶、
　　　　　　　　 .　´　　.　. : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:.. ＼
　　　　　 ,　.:　　　.　. : :.:.:.:.:/.:.:::::::::::::::::::.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　 /　″ 　 .　. .:.:.:.:.:./ .:::::ｉ:::::::::::::::::::.:.:.:.:..
　　　　　　.′i　　 .　. ..:.:.:.//.:::::､::|::::::::::::::::::::::.:.:.:.:. . ,
　　　　　 }i 八　　.　.:.:./.:/:ハ.:::,.ﾊ|:::::::::::::;::::::::::.:.:.:.:.. ′
　　　　　 ,小{　ﾄ､ :. .:.:/ /´￣Ｖ/,ﾘ.:.::::::::/.:::::::::::.:.:.:.:.:.
.　　　　 /...:八笊刈V.:/　ｨ笊㍉ｖ' . .:::::/、..:/.:::::.:.:.:.:.:.！
　　　　.:... /. :ﾊ{廴ｿ＼{ 　廴ソﾘ′ ...:/ハＶ.:::::::::.:.:.: . .；
　　　/..: /.. ｨ:i:}　〈. 　　　　 /... .:.:::/__ノハ::::::::.:.:.:.:.. ;ﾟ
　　 , . : ／ﾉ从　 __　　　　 ′..ｰ:个ァ'^ .::}:::::::.:.:.:.. /
　　.′_＿,,.ｲ iい.　}こ）　　 /. ...:／,小: . /.:.′::.:.:.:.:..,
　｛(´￣　 {: し小.　　　　/. :／..:/ ﾊ: V.:/.:::::.:.:.:.. /′
　　＼、　 ,乂｛ ..:〉-‐ｧ /.イ..:/././.: }/.:.′.:::.:.:.. / {
　　　　　　ヽv′...:}／￣｛:.{..:{:.Ｖ巛:::::::/.:.: /..八
　　　　　　　　 }jr―く､　　　乂___,､ .:}}{:: /.:.: /.:/.:.: 〉
　　　　　　　ノ' }　,.ハV／　,. ''⌒く,八. {.:.:./.: ′ /∧
＼　　　　　　 r匕,..イ}｛__／　　　ヾハ} /.:::::::.:.:../.:.:. 、
　 `　 __　　___,ノ｀ｱ´　｀￣　==ミ､　 ,}八、::::::::::.:.″.:.:.:.＼
｀　 ‐-=≦.. __}Y´　　　　　　　　　　＼.{.　＼::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.... ＼
　　　　／　、 ,／　　　　　　ヾ　　＼::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 丶

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燕は……これは違うだろ
まず人間じゃないし、付き合いが浅くて性格も深くは知らない
……今日の燕に見惚れたのは、認めるけれど
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　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!ⅱ|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{|　　　　　 ‐-‐''Ⅴj ﾊ. !
.　　　　　从N !Ⅵ!=ｰ '　　　　　　　j// l∧
　　　　　乂乂小.　　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　ｰ _.´　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l
640 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:37:15 ID:Gi6fzf4g0: 27/47
　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　.-´　　　｀｀ヽ
　　　　　　　　　　／ ⌒　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　／　　　　　　　｀ヽ　ヽ
　　　　（（　　 /　（●）　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　|::⌒（__　　（● ）　　　　　|　　やらない夫、いつまで考え込んでるんだお？
　　　　　　　　ヽ　人__） ⌒::::　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ（__ン　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　人　　　　　　　　　　　/　　| |
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　＿ノ　　ノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／ _ノ　ヽ､_ ＼
　　　　　　　　　　　|　（ ●）（● ）　|　　　ん？　あ、ああ
　　　　　　　　　　　|　　（__人__）　│
.　　　　　　　　　　　| 　　｀⌒ ´　　|　　　……別にそういうの無いだろ
　　　　　　　　　　　 | 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　/　　　　浪人生だしな
　　　　　　　　　　　,._ﾉ,＼_　　　_ﾉrﾞﾄ､ _
　　　　　　　　　／|..|::::::: ! !　　l |:::::::|..|:ヽ
　　　　　　　 ,ｨ":::::::|..|::::::: ｌ l　　| |:::::::|..|::::ﾊ
　　　　　　　|::｀ヽ、::|.|:::::::::| ｌ　| |:::::::.!.!/::::!!
　　　　　　　!:::::::::::ヽ|.l:::::::::| |　//:::::::::||':::::::||
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　　　　　　 i :::::::::::::: l:::::::::::.|//:::::::::::::::|i|:::::::::::.|
641 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:37:25 ID:Gi6fzf4g0: 28/47
┼─
│やる夫にとっては予想の範囲内の回答であった　 │
│更に表情を緩め、やらない夫になおも食い下がる │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.─┼
　　　　　＿＿＿_
　　　　／／　　＼＼　　　　　へぇ、ほう、ふぅん
　　／（ ●）　（●）＼
　／::::::⌒　　､_!　 ⌒::::: ＼　　って事は大学に受かったら、誰かに絞るのかお？
　|　　　　　'ｰ三-'　　　　　|
　＼　　　　　　　　／　　被らないように注意するから、教えてくれお

┼─
│この男が軽口を叩く時は本気ではない、とは知っていた　.│
│だが、三人のうちいずれかがやる夫と親しくなる光景が、 │
│無意識のうちに脳裏に浮かび上がってしまう　　　　　　.......│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.─┼
　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（ ○）（○）
　　|　u　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　 _r‐入ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l::::l;;/　　　 __人〉
:::::::::|/|　　　/　 `ヽﾍ､_
:::::::/::::|　　/::〉　　　〉〉::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.:::|　/::::|ヽ　　//:::::::::|:::!
／: :／:|/:::::::|＼ソ /:::::::::::::i::|
642 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:37:37 ID:Gi6fzf4g0: 29/47
┼─
│そのイメージはすぐに掻き消した　　　　　　　　　　　　　　...│
│「あんたあの娘の何なのさ」と言われても仕方が無いが、 │
│その光景は気分の良いものではなかった　　　　　　　　　..│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　　　　　　─┼
　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼　　　　　　　　　　煩い
　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ　　　誰にせよ、また振られるだけだぞ
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　 __,/二`'''‐､　　　　⌒ﾉ　　　 |　　|　　そんな事より運転に集中してくれだろ
　　　　　　／---::::::￣｀-.､ゝ　　　ノ　　　　|　　|
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:⌒ヽ. ´_ノ　　　 |　　 |
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／´:｀ヽ　　　　　 |　　　|
　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.;／.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　　　　 |　　　|
　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.＿ __ヽ-､,､_,∧　　 |
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.|''''''''"".:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾉ/´:.:.:.:`ﾞ､ /

　　　　　＿＿＿_
　　　　／⌒　　⌒＼
　　　／（＞）　（＜）＼　　　　へいへい
　／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
　 |　　　　/| | | | |　　　　　|　　任せといてくれだお
　＼　 (、`ー―'´,　　　／
　　　　　￣￣￣
643 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:37:49 ID:Gi6fzf4g0: 29/47
┼─
│数時間後、夕刻…… │
　　　　　　　　　　　　....─┼
　　　　　　　　　　i'"='フ　　　　　　　　　　　　　　　　 .|llll|lllllllll:::...
　　　　　　　　　　| |　　　,....___　 ,-,i　　　　　　　　　　 .|llll|lllllllll:::...
　　　　　　　　　　| |　　　i .i:El　i'　 l　 ,,,..........＿_ 　　 .|llll|llllll__:::...
.....................＿＿＿' '_　　　　 ,-──-v---､　　　ﾞｉ　　 |i__|i__|i__|:::...
￣￣'''''ヽ　,.--─‐〒.､　　y'　　　　　.!i　　 i　　　 !、　|i　|i　|i　|:::...
　　　　／ /　　　　.ll. 　＼､ .＿　　　　!i　　 {コ
　　／　 /　　　　 ∥　　｀='＿）￣￣　　　　｀i　　　　　　　　　　　　　　 ,-,.ﾆニ
　／　　　i__,,..-‐─''';""￣￣　｀ヽ.　　　　　　　.｝　　 ∧∧　　　　　　　 /./
~　　　　　:　　　　　　:　　　　　　　}　　　　　　　i　　 (.ﾟДﾟ.)　　　　　{二'' ー----
[｀]　　　 .:　　　　　　 :.　　　　/二ﾞ､　/ﾍ! ,.-'"i!;!　　 (|　　|)　　　　　　./
　 .,.一　 :　　　　　　　:.　　　 | i　　i! :;lilj|'　　 ~~　　～|　　|　　　　　　,'i!　　　 i''"
　/ ,..￣ヽ:　　　　　　　__,.. -‐ヾヽソ　~~　　　　　　　 .し`Ｊ　　　　　 |ii!.　:'^　`''''
. i .:i　　ヽi　　_,,..-一''　　　　　￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|!iヾ ` ー―
. ! .i､　　,.li￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i:!:;ゝ､__:i|￣
　ゞ_____.ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ー'"　`ー

　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　 / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
　　　　　　　　　　 ' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.',
　　　　　　　　　　': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　　　 {: : : : : :|: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : :ヽ: :} : : : 八
　　　　　　　　　 |: : : : : :|: : : : : : : : ｉ : : ;ｲ:|;ﾊ.: : : : :.:.}: ﾊ_ : : : ﾐ＼
　　　　　　　　　 ', : : ｉ : :|: : : : : : : : | : / j:.|_,.}: : : : :.:.j/´｣_:|: :i: :ｉ　ヽ　　やっと着いたわね
　　　　　　　　　　; : :i: :._|; : : : : : : : |:/￣|ﾉ_,,ﾘﾍ: : : :圻ﾘﾉ}:|: :|ﾊ|
　　　　　　　　　　i : j: :{　i: : : : : : : :代圻~ｿヽ　＼/`"　小:.:.|　!　　　　隣県に移動すると、やっぱり時間が掛かるものね
　　　　　　　　　　}: ﾉ:八　i: : : : : : : |　｀¨´　　　　　　 /:ﾉ: : :|
　　　　　　　　　　|/: : ::::ヽi::. : : : : : |　　　　　　　　,　/:::::: : : |
.　　　　　　　　 /: : : .::::::::::::. : : : :.:.ｉ　　　　　　 /: ::::::: :.八
　　　　　　　　　/: : : .::::::::::::::::. : : : : :ｉ､　　　 ´’／ : : |:: : : : :.'，
　　　　　　　　 ,: : : : ::::::::::::::::::::. : : : 八.＞　,_ .ィ:::::::: : : |､: : : : : ::.
　　　　　　　　,: {: : :.:::::::::::::::::::::::. : : : :iﾍﾞ¨7气!}:::::::::: : |.:{ﾊ : : : : : ，
　　　　　　　　{: |: : :::::::::::::::::::ハ::. : : : i. ∨=斗|::::::::::. :.| :i人: : : : : '
　　　　　　 -┴──…''"＼∧:::. : :.ｉ,/｝　 j!ﾄ､:::::::. :.|: :i.　＼ : : :}
　　　　 /　-─-ミ　　　　　＼:,::::. :.i　　ﾉ圦::＼:: 人┴-ミﾍ: : |
　　　　　 j＿＿＿　　　　　　　　 ∧:::. :.!＼,j_j＼）::::＼: :＼　∧‘:.:|
　　　　〃///////｀ヽ　＼　 :. 　 ∧:::. |＼ﾉヽ　　　　＼:: ＼∧ i:|
　　　　 {,////////////＼　 ::　.::: ∧:: |　＼人　　　:..:/＼:: ＼ﾉ′
644 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:37:59 ID:Gi6fzf4g0: 30/47
┼─
│八ツ原は、一言で言い表せば「良くある田舎」であった　　　　　　　　　　　　　　 │
│盆地に形成された集落で、駅周辺はそれなりに発達しているものの、　　　　　.│
│少し町から外れれば、次の家を探すのに数百メートルは走らなくてはならない │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　..　..　.　　　　─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,....;:''''"~￣~`''
　　　　　_,,....;:''''"~￣~`''-､_　　　　　　　　　　_,,....;:''''"~￣~`''-､__,,....;:''''"~
　_,,....;:''''"へ/二| へ＾i　　　￣~`''-､__,,....;:''''"~　　　　　　　　　　　　　`''-､
￣~`''ｰ-|Π|　　||Πi￣!　_,,....;:''''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`''；';.,,;；`;
　　,.;;.;i；';.,,;；`;；i`、､_　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__.;；:｡;:；;:：､;；:`''-､__
_,._,._,.,;:;；`;；i`:;：i;,|i!''",.／|＼|／|＼|／|＼|／|＼|／|＼／|＼|＼|／|＼|／|＼:;；`;；i`:;：;,i
　　　　　_,,...--―.;.;.-'"~￣~`''-､_￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ,r'''''lｲﾄｌi"~~`''-､__
--―''''"~_,,...i''''"~　　　　　　　　　 ~`''-､,''",''"ﾞヽ,_,._,._,._,.._,.,._,._,_,_,,,r''"ﾞヽ,.r'''
_,,...!''''"~　　　　　　　　　_,,....;:''''"~,''"ﾞヽ, '""~""~'　　　　　　　　,''"ﾞヽ　,''",''"ﾞヽ,,._,._,
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　　　　　　　（　　　　　:.:.:.:.:.:.:　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.:　　　　　　　　　　　　　;:''''"~
　　　　　　　　`''-､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`''--､
　　　　　　　　　　　"''-､_　　　:.:.:.:.:.:.:　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.:　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.　`''--､
　　　　　　　　　　　　　　`''-､

┼─
│しかしながら、幾つかの温泉施設と、　　　　　　　　　　　　　　　│
│昔から続けられている花火大会は、それなりに知名度がある │
│観光者に日本の夏を提供してくれる都市であった　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　　　　　　　,--､､､._
　　　　　　　 ,/,i´.'ﾞ"ヽ''ｰ"ヽ;;-､､.,_、
　　　　　　 ,,/i´　　　　.iﾞ_,,､､-‐｀ﾞ''''｀`'ヽ,:､､、　　　　　　　　　　　(　　　)
　　　　　　　 ,rぐ.,..,,...､‐''''`.,､､-'''~ヽ`,｀,｀,丶三:lﾞﾞ`''ﾍ--,,,,、　　　　　　（　）
　　　　　　∠-丶-、!ｰ──'''''~~~'|:il:|＿::､彡'"｀..__.:;:;:..,､,,,｀>
　　　　　　　 | l:|ｹ~~~''───l:l!:i| ll'lYl'""ﾞﾞ~　　　 |:l　　　　　　　（　（　　）
　　　　　　　 | l:|　　　　　　l:l!:i| | l:|　　　　　　|:l　　 r'ﾞ''ヽ,,.,,,,_（　丿..,,,,,,,,,,,,,,_
　　　　　　　 | l:|　　　　　　l:l!:i| | l:|　　　　　　|:l_,,r" ,;;,;;;;;（　　,,,,ﾞ,,＿＿_..　ﾞ~ﾞ″
　　　　　　　 | l:l　　　.,,,,,,,,,,,,,,,,,l,l!:i| | l:|.,,,,_　,,,,　　　 |:.l　丿,,　　 (
　.,'⌒ヽr─､w,.,　| l:|　,ｰ'ﾞ,:;::;;:;:;: :: ;l:l!:i|~;:;: :; :;ヾ /ﾞﾞﾞﾞ'''ヾ,,|.ヾlﾞﾞﾞﾞﾞﾞ''''───　　）─､,,,,,,,,,,
,,llﾞ;;;;_;;www─l',,,/ﾞﾞﾞ:;;;::ﾟ￣ヽ~~~～ l:l!:i|~~~~~ﾟﾟﾟﾟﾟ～ｰ､;;;llﾞl.彡l、　　　　　　（　）
　　　　　　　 .,il゜::;;;::;;:::;:;;:;丿～　　.|llll|,,,,､rｰ-､,　～　　　　　ﾞﾞ'''─､,,,,,,,,_
　　　　　　　　ﾞヽ_;_;_;_r=--'ﾞ,,,''''ノ,','l''ﾞ''''ﾞ′..__,,,,,,ir-､,　　　～　　　　　　｀ﾞﾞﾟﾟ''─､,,,
　　　　　　　　　　　　　　　 llwww,,,､:;;:.,:;;lﾞﾞ:;;;:;:;:;;::;;:;:;ヽ､　　　　　　,　　　～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾟﾞﾞﾞﾞﾞ'─ww','_,,,:;:l:;;:),,,,,,＿~~: 　～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　　　　　:　￣ﾞﾞﾞヽ　～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞﾞ'ヽ、,,,
645 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:38:09 ID:Gi6fzf4g0: 31/47
　　　　　　　　　　　　　　（ ;;;;(
　　　／￣￣＼　　　　　 ) ;;;;)
　　／　　 _ノ　　＼　　　/;;／
　　|　　　（一）（●）　　l;;,´　　　太宰府とは違った意味で落ち着いた町だな
　　|　　　　（__人__）　　. '
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　/〉　　　　　で、これからどうするんだ、やる夫？
　　 |　　　,.<))／´二//⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､二ﾆ`⊃
　 _r‐入ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l::::l;;/　　　 __人〉
:::::::::|/|　　　/　 `ヽﾍ､_
:::::::/::::|　　/::〉　　　〉〉::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.:::|　/::::|ヽ　　//:::::::::|:::!
／: :／:|/:::::::|＼ソ /:::::::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　 (ヽ三/)　））
　　　　　　　　　＿＿　 ( i)))
　　　　　　　／⌒　　⌒＼　＼
　　　　　　／（ ●）　（●）＼）　　会場隣接の駐車場は混んでいて離れた所に止めたから、
　　　　.／:::::: ⌒（__人__）⌒::::＼
　　　　| 　　(⌒)|r┬-|　　　　　|　　会場まではちょっと歩かなくちゃいけないお
　　　 ,┌､-､!.~〈`ー´/　　　＿/
　　　 | |　|　|　 __ヽ、　　　/　　　　さっそく行くお！
　　　ﾚレ'､ﾉ‐´　　￣〉　　|
　　　　｀ｰ---‐一'￣
646 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:38:45 ID:Gi6fzf4g0: 33/47
………
……
…
┼─
│川沿いの土手を五人でぞろぞろと歩く　　　　　　　　　　　　......│
│刺すような日差しは鳴りを潜め、代わりに橙色に輝いている │
│土手から聞こえる鈴虫の音色からは、微かな涼しさを感じた.│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　..─┼
＼_)) ! :|｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ;ゞゞヾ;ゞゞ　|iiiiii;;;;:
　 |　l|　l :|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　　　　　　 |iiiiii;;;;;
　 |　!　 i l|　　　　　　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　´ 　　　　　 |iiiiiii;;;;
　 |　|l　l　ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |iii;;iiiii;;
iwﾉ,,､l,いiへ,wi,､,,､,.､､,､,.,,､,､､iiw.､､,,､,.,,,､,.､､iiw,,､,.､､.､､,,､,.,,,､,.､､iiw,,､,.､､,,,wﾉiiwiiiiｉ;
:;;';';...;..;:..:;,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:　 :;.,;:.;.:,;.:.:.. 　.;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:.,.,;:..;.;..;...;..;:.,.,:;.;.;..;..;:..,:;.:,; .:.::;.:.;.;.;
;.;;.;..;..;:.　...:,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:..:　　.:.:;:.　　.:;.,;:.;.:,;;.:,;.:..;.;..;..;:.,.,:;.:.::;.:.;.;.;..;　..;:.,.,:;.　:,;.:.::;.:. ;,:.
　　;..;..;:..:;.,;:.;.:,;.:　　　　,..::;.:.;.;.;..;..;:.,.,;..;.::;.:.;.;.;..:;.;.;;..;..;:..:　　　　　 ,;:.;.:,;.;.;..;:.,.,:.　　　..:;.
::..:;.,;;.;.;..;..;:.,.,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:..:;.　...:.;..:.　..;..;:;.;..;..;:.,.,::.,.,:;.;　　 .;..;:.:.;.:,;.:.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;.;.:.;.;.;.
..;:.,.,:.;.;.;..;:,;.:.::;.:;.,;:.;.:,;.;..;..;:.,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;.,:;.;.:,;.:.::;.:,;.:.::.;.;.;..;..;:..;.:.;.,:;.;.,;,:;.:;.:,;.:.::;.　　:.;.;.;..;..;:..
;..;..;:.,.,:;.:.::;.:.;.;.;..;　..;:.,.,:;.　:,;.:.:.:,;.:..;.:;.:. ;,:.;.;;.;..;..;:.　 .:,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:..:　　.:.:;:.　　.:;.,;:.;.:,;;
.;..;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:.,.,:;.;.;..;..;:.,.:.　..;..;:..:;.,;;.;.;..;..;:.:..;;..;.. .,.,:;.:,;.:.::.;.;.;.　　 .;..;:.:;.:.;.,:;.:,;.:.::;;:..:;.　...:
;.;..;;:,;.:.::;.:.;.;.;..;　..;:.,.,:;.　:,;.:.::;.:. ;,:;.:..;:.　 .:,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:..:　　.:.:;:.　　.:;.,;:.;.;..;..;:.,.,:;.;.,;.:..;.
:;;';';..;..;:.,.,:;.;.;..;..;:..,:;.:,; .:.::;.:.;.;.;..;..;:..:;,.,:;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:..:;.,;:.;.:,;.:.:..　　.;.:,;.:.::;.:.;.;.;..;..;:.,.,;:..;.;..;..
'""ﾞ'"''"ﾞ'""ﾞ'"ﾞ'""ﾞ'"''"ﾞ'""ﾞ'""ﾞ'""""ﾞ'""ﾞ'""ﾞ""ﾞ'"''"ﾞ'""ﾞ'""""ﾞ'""""ﾞ'""ﾞﾞ'""ﾞ''"''"
─‐＝　―　＿　　　￣￣￣　　＿＿　　- ニ　　 ―― 　＿　　　￣￣　　＿＿

┼─
│やらない夫はふと、幻海の故郷を思い出した　　　　　　　　　　　　 .│
│この町は、幼少の頃に連れて行って貰ったあの故郷に似ている　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　.　.　.─┼
　　　　 {　　　{_ ｨ　 j! !　|　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　/
　　　　 l　　　|　.! ., 'j!{.　!　　　　　　　　　　 /　　　　　　/
　　　　ヽ.　　|　j,'　 j!j　|　　　　　　　　　　/ 　　　　　 /
　　　　　ヽ　l/　　,ハ....l　　　　　　　　　/　　　　　　/
　　　　 . ...::::V'　　 j!　! ｀l　　　　　　　　/　　　　　　/
　　　　:., ィ´　　　 j! ,ｨ　｛　　　　　　 /　　　　　　/
　　　, ｲ/　　　 ,　イノ　　｀　､　　　　　　　　　_. ＜
　　ﾊ,lf,ﾆﾆフ/／　´　, ､　　｀　┬─ ‐ イ´　　｀::.
　　 {ヽt_, -彡'　　　　｀´　　　..../　　　　{l　　　　 ,:
　　｀＝ ´　　　　　　　　　　　　{ヽ　ｨ彡|!　. .::: ::'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　lﾄ､V/ , iﾉj..:: ' ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l{__ﾊ_jﾉ'//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　＝‐ ´
647 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:38:55 ID:Gi6fzf4g0: 34/47
┼─
│中学に入った頃からか、幻海の体調の問題もあって、　 .│
│長い事足を運んでいない、記憶の奥の田舎町　　　　　　 │
│川で泳いで、その後で食べた冷たいスイカは格別だった │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.　.　　　　　─┼
　　　　　＼　　　　　＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　＼　 r'´￣￣￣　　￣￣￣｀､::.　　　＿＿＿
　　l} ､:: 　　　＼ﾍ,___,＿＿＿＿＿＿＿/::.＿＿|　　　　.|＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿
　　|l　＼::　　　 | | 　　　　　　　　　　　｜､:..　　|[],　_ .|:[ニ]:::::
　　|l'-,､イ＼:　　　| |　　　　∧　∧　.　　　｜::..　　ﾍ￣￣,/:::(_＿)::
　　|l　　´ヽ,ノ: 　　| |　　　(´‘ω‘ ｀) 　　　 ,l､:::　　　￣￣::::::::::::::::
　　|l　　　 | :|　　 | |,r'",´￣￣￣￣￣｀ヽ､l:::::
　　|l.,＼＼| :|　　 | ,'　　　　　　　 :::::... 　..::ll::::
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　　|l＿＿,,| :|　　 | |　　　　　　 ::::....　 ..:::|l::::
　　|l￣｀~~| :|　　 | |　　　　　　　　　　　　|l::::
　　|l　　　 | :|　　 | |　　　　　　　　　　　　|l::::
　　|l　　　 | :|　　 | |　　　''"´　　　　　　 |l::::
　　|l ＼＼[]:| 　　| |　　　　　　　　　　　 |l::::　
　　|l　　ｨ'´~ヽ　　| |　　　　　　　｀`' 　 |l::::
　　|l-''´ヽ,／:: 　　| |　　　''"´　　　　　　 |l::::
　　|l 　／:: 　　　 | ＼,'´＿___..:::::::::::::::_`l__,ｲ::::

┼─
│そんな遠く輝かしい思い出が、目の前に再現されたような気がして、.│
│誰に対して言うでもなく、やらない夫は呟いた　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─┼
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　_　　（●）（● )　　　|
　　　　　　　　 _　/ / 　（__人___）　　　|　　……なんだか、夏って感じだな
　　　　　,.-r／γつ' 　　 '､`ｰー′　　　|
　　　　ししiン'´ /　　　 |　　　　　　　 |
　　　 /　7´　　丿　　　　 !　､　　　　.イ 'y､
　　　ト　´　ｨ'´　　　　　　`rﾆ=ｰ　7 　/　〉-、_
　　　 }　　　{　　　　　　ィ´ﾄ､　　　／　／　　　`ｰ- 、
　　　 |　　　|　　　　＜ /　ﾉ､_,.-'／　／　　　　　　　　ヽ
　　　　| 　　｜　ノ/　/　/　／　／　　　　　／　　　Λ
　　　 | 　　ﾄr'´ /　　i　ｲ　/　／　　　　　　　　　　　　　}
　　　 |　　　 iﾉ-.､i　　 i　 i/　 / 　　　　　　 /　　　　　 ,'
648 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:39:05 ID:Gi6fzf4g0: 35/47
　　　　　　　　　 / :..:..:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : .ﾉ : : : : : : : : : .ハ.
　　　　　　　　　　 /..:..:..:..:..:. :.:.: : : : : : ／: : ／:.}. . . . ／: : : .､
　　　　　　　 /:..:..:..:..:.. :.: : : : : : ／: : ／ ,勹. . .／.: : : : }:.:.:
　　　　　　　　　/:..:..:..:.:.: rt ､/: : ／/ｰ ´ ｀メ､:.:.／.:.／: : :/: : i
　　　　　　 /:..:..:.:..／∧ /: ／: /　{　笊ﾐ彡7: :／: : : :/: : :.:|
　　　　　／..:..:..／:..:..レ／: : / 　ヽいソ　／: ,勹´/ :.:.:.:.ﾘ
　　ー─=彡 :.:.:／.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:./ｌ　　　 ¨ 　 ´ ／ﾊぇ/ : :.:／八　　そうね。お祭りや花火も夏の風物詩だけれど、
　　　　／.:.:.:.／.:.:.:.／.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ}　　　　　　､い〃.:／:.:/
　　／.:.:.:.／.:.:.:.／.:.:.:.:.:.:.:.:／ﾍ　　　　　　　　　 ,':／:/,イ　　　　こういう風景も夏よね
　／ :.:.:／.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.入__ 　丶　　　　 t_,　　 /: : :./　 |
.:.:.:.:.:／ー=彡 :.:.:.:.:.:. ／　　　＼.　＼　　　　／: : :./} 　ﾉ
.: :／ｰ─=＝彡─‐´--.､　　　＼　}＞..._ ,.イ:.:.: : :./:.|／
.:".:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　ヽ　　　　７7 彡".:.:.ｌ : : : / l:.|
.:.:.:.:.:.:.:.:./　　　　　　　　ﾍ.　　　ハ／.:.:.／／／|　;ﾘ
.:.:.:.:.:.:.:.ハ　　　　　　　＼　　}　ﾊ‐‐:.／‐〈　乂ｲ
.:.:.:.:.:.ノニﾆゝ、　　　　　　　　＼ハ７ﾊ＼　　＼/ノ
.:.:.イ二二二ﾆﾍ　　　　　　　　　　ﾏニﾍｖﾍﾆﾑ　　　}
.:.:}ﾆ二二二ﾆﾆﾑ　　　　　／　　　∨ 　};/∧　ヽ.　ﾄ.､
イ二二二二二ﾆﾑ　 / ／　　　　　＼　}//∧　 )　　＼
二二二二二ニﾆﾆ}./　　　　　　　ﾞ }//// 　　　　丶

　　　　　　　　　　　　　　 ,　-―　-　、　　　　　　　　　　　　 ,.､
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　 / /
　　　　　　　　　　　　 /　 ⌒　　　　　　　ヽ　　　　　　　/ )/ /
　　　　　　　　　　　 /　（● ）　　 ⌒　　　 .! 　　　　 / /¨.〈
　　　　　　　　　　　 |　　　　　　（● ）　　　|　　　　　 /　{二. ',　　子供の頃は夏の雰囲気なんか味わおうとせずに、
　　　　　　　　 ,..．-ﾞl　（__,､　　　　　　　　/　　　　　 {　ゝ　　}
　　　　　　　 /　　　ゝ　 '､_`ー'　　　　 /　　　　　 } ´　　/　　　こういう所をチャリで爆走してたお
　　　　　 ,〃　　ヽ　l　＼　　　　　＿／　＼　　　 /　　 /
　　　／/　　　　　 ! l　　ヽ￣/　 /　　　　　＼　 ,'　　 .l　　　　　それはそれで良い思い出だし、今は今で風流だお
　く´　　　　　　　　l　ヽ.,イ¨¨ヽ. ./　　　l /　　　ヽ/　　 .!
　 ,У、　　　　　　/　　　 l:::::::::l∨　　　〃　　　　,'　　　　|
649 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:39:16 ID:Gi6fzf4g0: 36/47
┼─
│そんな他愛もない雑談を繰り返しながら、夕陽の中を歩き続ける│
│懐かしい時間を踏みしめながら、夕陽の中を歩き続ける　　　　　│
│ただそれだけなのに、やらない夫は幸せを感じていた　　　　　　..│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...　　　　　─┼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:.:..:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:.:.:..:.:::::::::::::::::::::::::::..:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:.:.:.:.:.:..:.::.::::::::,::'　　　　　　'::,:::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::.::::::::::,'　　　　　　　　',::::::::::::::
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.,.,.,.,,　　　　　　　.,.　　　　　_|＿＿＿＿＿＿＿|　　.,.,,.,.,..,
　　　　　..,,..,,,,　　　　　　　_|＿＿＿＿＿＿＿|　　　　　　　　　　.,,.,.,..,.
　　　　　　　　　.,.,.,　　　 _|＿＿＿＿＿＿＿|　　　...,.,.,.,
　　..,,..,,,　　　　　　　　　 |＿＿＿＿＿＿＿|　　　　　　　　　.,.,,..,.,

………
……
…
┼─
│日没と入れ違いで、一向は花火大会会場に到着した │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.─┼
三ミx; ;:;;: ;:;; ;:;; ; ;:; ;:;:;:;r''`'"　　　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,.､,､_　　　　　　　　　　　 |　|
川川ﾐ;:;; ;:; ;:; ;:;:;:; ;r'"~|＼＼__,,,...､､,,,_　　　 | |　　　　　　 _,､..ｨ､　　　　　　ｲ;::::::::.:.ヽ　　　　　　　　　　　,|　|
川川||~{|ii|`"`|i|`~|,,.,.,,|　 |　||　　　　＼　　| |　　　　　 ,f::::::::::::ﾐ;　　　　　 i!;:.:.:.:.:.:.:.i!　　　　　　　　[i{|　|
川川||"~"`"''"'"~"~"~"'''-､||,.,_,.,_　　　|　　| |　　 n　　ﾐ;:::::::::::::;i!　　　　　ゞ;:;:;:;:;:;ﾐ　　　　　　　　　　　 |　|
川川ﾘ_;:; ;:;; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:;:;:;"'''-､|￣ii| |,､-'"ﾞヽ､. _ゞ==ﾐｼ　　　　　＿rﾉ::l::!ｲ､_　　　　　　　　　　 |　|
り / 　ヽ;: ;:; ;:; ;:;:;:; ;:;:;:;: ;:; ;:; ;:;:; ;:; ;:; ;;:;:~"'-､|,_　　　／　　　　＼ー-.､/　　　　　　　＼　　　　 ⊆⊇㌍|　|　＿＿r─────
／　, -　|;:;: ;:; ;:;:; ; ;:;ｨｨｨｫx､; ;; ;:;: ;:; ;:;:; ;:; ;:; ;:; ;:"'-､/ 〆　　　r多ヽ:;::/　　､　　　　　　| ＼　　　　　　 :|　|／＿＿|,.,_,._,.,,.,,,.,_,.,_,.
　 ,/　　|; ;:; ;:; ;: ;:;:;i!川川lﾘ;: ;:; ;:; ;:;; ;:;;: ;:; ;:; ;:; ;:; :/ /　　　〃　　|;:;|　　 |　　　　 _/ 　 |＿＿＿_0=x_|　|／三三i!x升卅从从≦x､
　i|　　　i|;: ;:;; ;:; ;:; ;:;ﾘlil!l||liﾘ;:; ;:;; ;:; :;:;; ;:;;: ;:;;:;: ;:;_ノ　|＿＿＿|!　　..:|;:;|＿＿|＿＿/爪|　　 |三三三ミ>　||　|三三,;xﾐ从㌧x㍉爻㌧x㍉x､
　|＿＿__）;: ;:; ;:; ;:;: ;:}刈i!fﾘ､l;; ; ;; ;:; ;:;:; ;:;;:; ; ／　　.:|包包包|＿＿,|;:/＿＿|三彡ﾘ川! 　 /[]　 []_　| 　 ;i|　|;:; ;:;:;x㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x
　　|　　|;: ;:;:; ;:; ;:;ノ　　　　　＼; ;:; ;:; ;:;:; ;; ;:;|　 rっ .|包包包|　　　|/ 　　 |三彡ｼ川|　　ヽ　　f:::i!..| 　 ;i|　|;:; ;:㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉ﾒ
　　|　　|;:;; ;:;:; ;:;/　r　　　　　　|ヽ;:; ;:; ;: ;: ;:; ヽ. ﾚ'　 }￣￣￣＼f三i!　　 /￣￣￣￣:|＿＿） /,￣＼　..:::|　|;:;x㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉爻ﾒ
￣::|　　|￣[]￣:|　ﾄ､＿__r─イ　|; ;: ;:; ;:;:; ;:;: ;:|　　:|　　　　　　|　 |7　 :|　　　　　 :|　　　　|_| 　 |_|　..::|　|;㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉恋x刈ﾒ
　　|　　|　 []　 :|　 |青春謳歌|_ノ;:; ;:; ;:; ; ;: ;;: ;|　　 :|　　　　　　|　 |ヽ_ノ! 　　　　 :|ｨ窄ｨ窄!.| ￣|,!　　:|　|ﾒ恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉恋㌧㍉爻x
650 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:39:28 ID:Gi6fzf4g0: 37/47
┼─
│ひときわ広い土手に設置された会場は人で賑わっており、│
│それを彩るように、魅力的な出店が立ち並んでいる　　　....│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─┼
　　　　　　　　　　　／|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　 ,／ || |　　　　╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋　　／
￣￣￣￣￣￣￣￣|　　|| |　　　　╋(・∀・),.╋(・∀・),.╋(・∀・),.╋　　|￣￣￣￣
ニﾆ,　-　 l　/￣/　 .|　　|| |　　　　╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋　　|　 ┐ﾚ^ヽ
　ノ　___ノ　 _ノ　　 |,＿,||_|　　　　╋（゜д゜）╋（゜д゜）╋（゜д゜）╋　　|　　ﾚ|　ノ
＿＿＿＿＿＿＿＿|　　|| 　　　 ╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋　　|＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ||　　 || 　　　 ╋(`Д´),!╋(`Д´),!╋(`Д´),!╋　　 ||　　 ||
　　∩ ∧＿∧　　..||　　 || 　　　 ╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋　　 ||　　 ||
,____ U（´∀｀　）　　||　　 || 　　　 ╋.(ﾟωﾟ=).╋.(ﾟωﾟ=).╋.(ﾟωﾟ=).╋　　 ||　　 ||
＿|_| と八__儿つ　 || 　／|　　　 ...╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋　　 ||　　 ||
∧ ∧ （　　　　）　..|| ／　 |　　　／　(ﾟσﾟ）　　(ﾟσﾟ）　 ∧ ∧　／|　　 ||　　 ||
( 　 ,,ﾟ)￣￣￣￣￣~|　　 l　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣(・∀・)=）|　 l　　 ||　　 ||＿
.|　　ﾉ　　　　　　 |　 .／　　 |＿＿＿＿＿＿＿＿＿　/　　 | .|,／　　||　／
～　|　　　　　　　 |／　　　　　　　　　　 ∧ ∧　～（＿__,ﾉ　　　　　.||／　品
.しし￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　Ω　　　　 (ﾟДﾟ ,) 　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　 ∧ ∧　　　　 |　∧ ∧ /　　∪　　　　　　　　　　￣￣￣￣
　　　　 q∧ ∧　 (@ﾟДﾟ)　　　　ヽ( *ﾟωﾟ)ﾉ|　　|　　　　　　 ∧ ∧
　　　　　 (*ﾟーﾟ)と/ ∀（つ　　　　～（Ox　）　|　　|～　　　　 (´ー｀ )
　　　　　　/ ||y||ﾌﾞ (-∞-)　　　　　　　　　U　 ∪ ∪ 　　　　＼　<　　　　　 /|
　　　　ノ_/'ﾉゞヽ, (,/ (,/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧∧＼＿＿＿／/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(´ｰ｀)/| 　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　uuuu∪￣∪∪

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　　へえ、想像していたのより気合が入っているな
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　出店は申し訳程度かと思っていただろ
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　 _r‐入ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l::::l;;/　　　 __人〉
:::::::::|/|　　　/　 `ヽﾍ､_
:::::::/::::|　　/::〉　　　〉〉::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.:::|　/::::|ヽ　　//:::::::::|:::!
／: :／:|/:::::::|＼ソ /:::::::::::::i::|

　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／⌒　　⌒＼
　　　　　　／　（⌒）　（⌒）＼　　　　　腹が減っていたので好都合だお
　　　　／　 ::⌒（__人__）⌒::: ＼
　　　　|　　　　　|::::::|　　　,---、　　イカ焼き買って行くお！
　　　　＼　　　 `ｰ'　　　しＥ　|
　　　　／　　　　　　　　　 l､Ｅﾉ
　　　／　　　　　　　　　　　｜　|
　　（　　丶- 、　　　　　　ヽ_／
　　　　`ー､＿ﾉ
651 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:39:44 ID:Gi6fzf4g0: 38/47
┼─
│色とりどりの出店を眺めながら、会場奥に設置された立見席に向かう　 │
│お腹が空いていたのは皆同じで、各自が食べたい出店の前に来る度、 │
│食べ物を買う為に止まり、ゆったりとした足取りで会場を歩いた　　　　....│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....─┼
　　　　　　, ----,.:::::::::::::::::::::....,iiiiiiiiiiiii{
　　　　 __└ii／:::::::::::::::::::::::::::::::::':..,iiiiiiiiiii）
　　　　 liiii／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽiiii{
　　　　 V::::::::::::::;:::/:::::;:::::::::::;:::::':;::::':;::;:Y
　　　　/::::::::}:::::/:::}::::/:{ヽ:|i:::';::::::i::::::}::i:::|_
　　　　{::::|::::i:::::|::::|l::1::|　ﾘ}:::::}i:::|l::::::}::}::ﾉi ､
　　　rii| ::ﾄ､:{:wA--t¨　　 ´二￣`i::r､/､iiiiiiヽ　　お祭りの食べ物って、特に美味しく感じられますよね
　　 (iiiii＼､.r､.. _=―　　　 `￣`´|::|ｿiii∧/´
　　　`.ﾟ/iiiiiiヽ|:,　　　　　，　　　丿:}iiiiiiiiii〉　　　綿飴、食べるの久しぶりです
　　　 ∟iiiiiiii|:::ヽ　　　ー　　　ｨi::::|:し‐´
　　　　　 7-|::::::|{＞､_　　　イ::::}:::|::::|
　　　　　　| ::|::::::|r, L　　¨ 　 :|､_|::::|::::|
　　　　　　| ::|::::::|　＼､　／, ' .j:::::|::::|
　　　　　　l＜::::::|　　　У／　 /|::::| ＞､
　　ｒ ´　　　 |::::|i 　　／　　 ' |:::ﾘ　　　＞､
　 ./　　　　　 ';::| ｌ､ .／　　　　/.}::/　　　　　　 ',
　/　　，　　＼,У　　　 ./ ｲ　　　　　　　　 ,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　 -‐―-　 .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　. . : :/. : .　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′　.. . : : : : :/. : : .
　　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : : : : : : .′: : /. :.
　　　　　　　　　　　　　　　　 ′: : : : : : : : ./jハ...∧...:}
　　　　　　　　　　　　　　 . . : : :i: : : : :./ .辷_v､＼ﾊ:. 　ｉ　 :ｉ　/
　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : / |: : : :,　.:八__ﾉ刈＾刈:..:.│ｉ_ﾊｲ:...　！
　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : :{ │: : .′.′^　　　 }! .ﾊ以､｀}l|　　:；
　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : V」 :　ｉ: :　　　　　ノイ弋__ﾉ刈: : : .;゜
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　: :.:.:| ｉ: :|: :ｉ　　　　　　　│ 　　 ,.1:/. :,　　はしまきって初めて食べるけれど、
　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : :.:ｉ | |: :|: :|　　　　　　 ′　　 .′′.′
　　　　　　　　　　　　　八 : :| | |: :|: :l＼　　　‐_ｧ　　　.　＾:/.: :,　　　　なかなか美味しいじゃない
　　　　　　　　　　　　　　 / . : : ﾉﾉr|: :|: :|＼＼　　　　 1| {: :{:. :/
　　　　　　　　　　　 /. : : :.{ {..:|:|: :|: :|１ｉ.　　ー＜{ｉ|:.ﾉ乂＼v′
　　　　　　　　　　　　 / : : : : ﾊＶ |: :|: :|ﾟ|:|:　　{ ｉ　./ﾘﾉ′: :） }
　　　　　　　　　　　　　 /. : : .:.:/ ／ ∧.:|: :|ﾟ|:|: 　乂V./.: : . イ :八
　　　　　　　　　 /. :, /. :/:〈　,/　ﾊj.:.:|ﾟ|:ﾚ／　//. :〃. :｣L{_: }
　　　　　　　　　　　 /_ /厶斗f「∨r ┴ハﾊレ'＾／.″:/′　｀ヽ_ ＼
　　　　　　　　厂￣　//　　　ヽ＼|:::::/　　　／. . . . /_ .. -―‐-　､}
　　　　　　 /^ヽ. 　{ ′　　　.. _ ﾊY　　　〃／. : :/´　　　_＿＿ﾉ
　　　　　　／￣＼　　＼　　　／.:/｀^　r―{{/　　.:/　 __／................＼
　　　　　/.../............＼／　　　 /.::::/ 　　 ¨¨７.:./. : ′´.................................,
652 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:40:00 ID:Gi6fzf4g0: 39/47
┼─
│やらない夫もカキ氷を頬張りながら歩く　　　　　　　　　　　　　　　　...│
│蒸し暑さを忘れさせてくれる冷たさは、至福の一言である　　　　　　│
│そんな中、ふと、何も口にしていない者が一名いる事に気が付いた│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　........─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　（●).（● )　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　.|　　ん？
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 ,. -─┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　／´　　＿_|＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ／＿　-　　　　┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ヽ　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,　　　　　　、　　　　　　　　　7
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|／　　　　　 ∨　　　　　　　/｀
　　　　　　　　　　　　　　　 /　|　　　　　　　|　　　　　　　/　{
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ　 |　　　　/　　|　　　　　　ｉ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　|　　　 /　　　|　　　　　　i　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　|　　／　　　 |　　　　　 ,'　　 |
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　| ／　　　　　 |　　　　　ﾉ　　　|
　　　　　　　　　　　　　i　　　　　 |　　　　　　　ﾊ　　　／　　　　|
　　　　　　　　　　　 ,─ｖ　　　 |　　　　　　 / |　　ｲ　＼　　　|
　　　　　　　　　　 _丿:::::..＼＿＿|　　　　　ｉ　 |　　/　　　　／
　　　　　　／＼::::::::::::::::::::::::i　　　　 i 　 |-r´　　￣／

┼─
│件の人物……お金を持たない燕はチラチラとりんご飴の屋台を一瞥していた │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　　　─┼
　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!ⅱ|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{| _ 　　　'´ﾏソ｀ Ⅴj ﾊ. !　　………
.　　　　　从N !Ⅵ!='ッ`　　　　::::　j// l∧
　　　　　乂乂小.::::　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　へ　　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l
653 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:40:13 ID:Gi6fzf4g0: 40/47
┼─
│なんとも分かりやすい反応であった　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│やらない夫は口の端を上げると、何も言わずりんご飴の屋台に向かう　 .│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......─┼
　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　.|＼　　　　　　　　　　　　.　＼
　 |　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　 |　|　 . り　ん　ご　飴　　 |
　 |＼ノ　ノ　　ノ　　　ノ　　ノ
　 ∥||~~~~ ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~||
　 ∥||　　　　　　　　　　　　　 ||
　 ∥||　　　　　　/⌒|　　　　 ||
　 ∥|| （　´ー｀）ヾ　ﾉ ○Ｏ o ||
　 ∥|| （　　　　） ∥　∥∥∥||
　 ∥||￣|￣￣￣￣￣￣￣|￣|.　
　 ∥||　 |特大\700.大\400|　.|　
　 ∥||　 |中\300　小\200|　 |.
　　 ||　￣￣￣￣￣￣￣　　.|　
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　_　　（⌒）（⌒ )　　　|　
　　　　　　　　 _　/ / 　（__人___）　　　|　　すみません、りんご飴一つ下さい
　　　　　,.-r／γつ' 　　 '､`ｰー′　　　|
　　　　ししiン'´ /　　　 |　　　　　　　 |
　　　 /　7´　　丿　　　　 !　､　　　　.イ 'y､
　　　ト　´　ｨ'´　　　　　　`rﾆ=ｰ　7 　/　〉-、_
　　　 }　　　{　　　　　　ィ´ﾄ､　　　／　／　　　`ｰ- 、
　　　 |　　　|　　　　＜ /　ﾉ､_,.-'／　／　　　　　　　　ヽ
　　　　| 　　｜　ノ/　/　/　／　／　　　　　／　　　Λ
　　　 | 　　ﾄr'´ /　　i　ｲ　/　／　　　　　　　　　　　　　}
　　　 |　　　 iﾉ-.､i　　 i　 i/　 / 　　　　　　 /　　　　　 ,'
　　 Λ　　　ﾊ　 i　　 | /　 /　　　　　　　∠　　　　　　 /
　　　| {　　/ ,'　 !　　 i/　 /　　　　 _____イ　￣ヽ、　　ｲ
　　　'; ヾ /　　　_i＿__｣＿'二ﾆ=-ﾔ´　　　｀ヾ'､　　　　|イ
665 ： 654修正： 2012/05/24(木) 21:14:41 ID:Gi6fzf4g0: 41/47
　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!ⅱ|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{| _ 　　　'´ﾏソ｀ Ⅴj ﾊ. !　　あ……
.　　　　　从N !Ⅵ!='ッ`　　　　::::　j// l∧
　　　　　乂乂小.::::　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　　⊃　　,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l

┼─
│何も告げずに買いに離れた為、燕以外はやらない夫に気づかず先に進んでいる │
│小走りで戻ってきたやらない夫を、燕だけが迎えた　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│やらない夫は苦笑したまま、彼女にりんご飴を突き出した　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.─┼
　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　ヽ_　　＼　　　ほれ
　　　　　　　|　　　（⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　（__人__）　今日は俺が奢るから、遠慮せずに言えだろ
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　　 }　　ハンバーガーの時みたいに、その分弄らせてもらうけれどな
　　　　　　.　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノﾍﾍ　　　 // ＼、
　　_,,..r''''": : :ﾍ::ﾍﾍ.　 //: : / ￣`''ｰ-､
　 /: : : : : : : : :ﾍ::ﾍﾍ//: : /: : : : : : : : : ヽ
　ﾉ. : : : : : : : : : ﾍ::ﾍ/: : / : : : : : : : : : : : }
　{ : : : : : : : : : : : ﾍ/: : /: : : : : : : : : : : : : i
655 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:40:43 ID:Gi6fzf4g0: 42/47
┼─
│切り出された恥ずかしい思い出に、赤面して地を踏み鳴らそうとする　　│
│だが、小さく嘆息を零すと、表情を笑顔に変えてりんご飴を受け取った　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─┼
　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　　　　　　,ｲ　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　／/　　 /　　　　　／／　 !　　　　　　　　　　　　　 ;
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ 　　　　!　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {- /─-: 　　　　　 ──-ミ　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从ィﾃぅヾ　　　　　　　　　ヽヽ　ｌ　　ｌ　　　ト　　　……ありがとうございます
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ込:少　　　　　 'ィ,ラ=､､ヽ　} 　　 }　　从
　　　　　　　　　／イ/　　ヽ　　　　　　　　　込zノ'ゞ　 } /　　从　ﾊ{　　　では、またご馳走になる事にします
　　　　　　　　　ノ |　　ヽ､､､　　　 /　　　　　　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从　　　　　ヽ　　　　　　､､､　　ﾉ　　人{　 ′　　　弄られるのは、程ほどにして頂ければ幸いですけれどね
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　　　　　　　　　　　　　／　／　　 /
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　ャ‐- 　 .._　　 _／／}/ 　　 /
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　 ` ‐-‐ ´　　ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼
　　　　　　　／.:::::::::::::::.＼　　＼＼　　　/　{　| !::::::::..＼
　　　　／.:::::::::::::::::::::::::. ＼　　＼＼　 {　 |　| |:::::::::::::::.＼

┼─
│不意に、遠くから景気の良い炸裂音と、 │
│人々の湧き上がる声が聞こえてくる　　...│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　 |　お……？
　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',　＿＿　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r´　　　　　ヽム　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_L_,.．-ｰ─ ‐‐ ´　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,.-＜　　　　　　　　　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　　　　ィ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　／　　　 i
　　　　　　　　　　　　〈　　　　　　　　　　　　　 r´/　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　　i/　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　 /　‘､　　　　　　　　　 /　　　　　　　i
　　　　　　　　　　　　i　　　i　　　　　　　　　　/　　　　　　 i
　　　　　　　　　 i　　　ﾄ､　　　　　　　 |　　　　 /　　　|
　　　　　　　　　　　 i　／　ﾊ　　　　　　　　 |　　／　　　　i
　　　　　　　　　i／　　　　'V　　　　　　 |　／　　　　　 |
　　　　　　　　　 /　　　　　　ﾄ､　　　　　　 У　　　　　　　Λ
　　　　　　　　　　/　　　　　　　}}／　　　　　/　　　　　　　 /　 }ヽ
656 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:41:02 ID:Gi6fzf4g0: 43/47
┼─
│反射的に夜空を見上げると、花火の打ち上げが始まっていた.......│
│大きく艶やかな二発目の花火がちょうど花開いている　　　　　 .　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　..　..　.　　─┼
::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
::　　　　　　　　　 . .*　*　*　* 　　　　　　　　　　　　　/　＿/　＿/　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　 * 　 ! !　　! !　 .*
　　　　　　　 * 　ヽ　 *　*　　/　.* 　　　　　　　　　/＼　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::
　　　　　　* ヽ　　* 。+　。 *　 /　 * 　　　　　　　/　　＼/ 　　　　＿/　　　　　　　 /
　　　　 * ヽ　 * 。*　。*　。+。*　/　*　　　 _＿/　　　　　￣　/　|　　　＿＿/　　　/　　　 ::::::::::::::::::::
　　　　*　+　*　+　+　。。+　 *　 * 　+ .* 　　　　　　　　　　＼/ ＿|　　　　　　　　 /
　　　　 * ― ‐*　 *　o ○。 * +　 *.‐― *　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./
　　　　* 　+　*　+　*　o 　 *　+　*　*　*　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ノ　　:::::::::::::::::::::::::::::
　　　　*　　/　* 。+　* 。 + 。 * 。ヽ *.
　　　　　 * 　* 。*　。+　。 *　。+　*.　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　 *　/　*　* 。 *　。+ヽ *　　　　　　　　　　　　　Ο
　　　　　　　　　* 　ｉｉ　　ｉｉ　　* 　　　　　　　　　　　　　　　）
　　　　　　　　　　　 *　*　*　* 　　　　　　　　　　　　　　　　（
:::::::::::::　　　　　　　　 !!| | |!!　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::　　　　　）　　　ヒルルルルル・・・・・・・・・・
　　　　　　　　　　　　　! | | !　　:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　 .||　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　（　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　）

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　あー……始まっちゃったな
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　ま、歩きながらでも観れるか
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　 _r‐入ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l::::l;;/　　　 __人〉
:::::::::|/|　　　/　 `ヽﾍ､_
:::::::/::::|　　/::〉　　　〉〉::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.:::|　/::::|ヽ　　//:::::::::|:::!
／: :／:|/:::::::|＼ソ /:::::::::::::i::|
657 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:41:13 ID:Gi6fzf4g0: 44/47
┼─
│そう言いながら、視線を燕に移す　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　.│
│浴衣姿で花火を観ている彼女は、夏の夜に溶け込んでいる　│
│こうして見ると、普通の人間と違う所は何もなかった　　　　　...│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　.　　.　　─┼
　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!��|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{| _ 　　　'´ﾏソ｀ Ⅴj ﾊ. !　　
.　　　　　从N !Ⅵ!='ッ`　　　　::::　j// l∧
　　　　　乂乂小.::::　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　ｰ _.´　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l

┼─
│燕は花火を見上げたまま、ぽつぽつと口を開く │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..─┼
　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　　　　　　,ｲ　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　／/　　 /　　　　　／／　 !　　　　　　　　　　　　　 ;
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ 　　　　!　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {- /─-: 　　　　　 ──-ミ　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从ィﾃぅヾ　　　　　　　　　ヽヽ　ｌ　　ｌ　　　ト　　　……残念ながら、基本的に記憶は洗い流されていて、
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ込:少　　　　　 'ィ,ラ=､､ヽ　} 　　 }　　从
　　　　　　　　　／イ/　　ヽ　　　　　　　　　込zノ'ゞ　 } /　　从　ﾊ{　　　唯一覚えている花火を観ても、他の事は思い出せません
　　　　　　　　　ノ |　　ヽ､､､　　　 /　　　　　　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从　　　　　ヽ　　　　　　､､､　　ﾉ　　人{　 ′　　　でも……
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　　　　　　　　　　　　　／　／　　 /
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　ャ‐- 　 .._　　 _／／}/ 　　 /
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　 ` ‐-‐ ´　　ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼
　　　　　　　／.:::::::::::::::.＼　　＼＼　　　/　{　| !::::::::..＼
　　　　／.:::::::::::::::::::::::::. ＼　　＼＼　 {　 |　| |:::::::::::::::.＼
658 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:41:24 ID:Gi6fzf4g0: 45/47
┼─
│視線をやらない夫に移す　　　....│
│小さく首を傾けて燕は微笑んだ │
　　　　　　　　　　　　　..　..　..　..　─┼
　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.　　　でも、不思議と気持ちは安らぐのです
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!��|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ　　　やっぱり、ここが私の故郷なのですね
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{|　_ 　　　'´　｀ Ⅴj ﾊ. !　　　　今日は本当にありがとうございます
.　　　　　从N !Ⅵ!='´｀`　　　　　　j// l∧
　　　　　乂乂小.　　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　ｰ _.´　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　（⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　（__人__）　　礼なら車に乗る前に聞いただろ
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　.　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノﾍﾍ　　　 // ＼、
　　_,,..r''''": : :ﾍ::ﾍﾍ.　 //: : / ￣`''ｰ-､
　 /: : : : : : : : :ﾍ::ﾍﾍ//: : /: : : : : : : : : ヽ
　ﾉ. : : : : : : : : : ﾍ::ﾍ/: : / : : : : : : : : : : : }
　{ : : : : : : : : : : : ﾍ/: : /: : : : : : : : : : : : : i
659 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:41:34 ID:Gi6fzf4g0: 46/47
　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　　　　　　,ｲ　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　／/　　 /　　　　　／／　 !　　　　　　　　　　　　　 ;
　　　　　　　　／　/　　 ,' 　　　／/／　　|ﾍ.　　　　　　　　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　 ,'　　　{　 / 　 /　/ 　　　　!　＼ヾ　　　　　　 |　　　|
　　　　　　　　　 {　　八 {- /─-: 　　　　　 ──-ミ　　　　　 |　　 {
　　　　　　　　　　 | }　　　从ィﾃぅヾ　　　　　　　　　ヽヽ　ｌ　　ｌ　　　ト　　　あの時のお礼は、故郷を見せてくれる事に対してです
　　　　　　　　　　 jﾉ　　　ハ込:少　　　　　 'ィ,ラ=､､ヽ　} 　　 }　　从
　　　　　　　　　／イ/　　ヽ　　　　　　　　　込zノ'ゞ　 } /　　从　ﾊ{　　　今のお礼は、遊びに連れて行って下さったり、
　　　　　　　　　ノ |　　ヽ､､､　　　 /　　　　　　　　　　ﾉｲ/　　ﾊ|　/
　　　　　　　　　　　ﾉ}　　从　　　　　ヽ　　　　　　､､､　　ﾉ　　人{　 ′　　　りんご飴を奢って下さったり……
　　　　　　　　　　　　 j/ 　ﾊ.　　　　　　　　　　　　　／　／　　 /
　　　　　　　　　　　　/}/}　j ∧　　ャ‐- 　 .._　　 _／／}/ 　　 /　　　　　まるで人みたいに接して下さる事に対してです
　　　　　　　　　 / 八　从ヽ　　 ` ‐-‐ ´　　ｰｧ'　　　　　ﾊ{
　　　　　　　　　　　　 ,ｨﾉｲ j　＼　　　　　　 , ｨ从　ﾉ ,ｨ / }/　　　　　　やらない夫様は、やっぱりお優しい
　　　　　　　　　　 r‐／｛ヽﾉ　　　ヽ .. 　＜　 /r イ{ / |/ /
　　　　　　　　　　 /::{　　＼＼　　　　　　 / /ヽ八{
　　　　　　　　　／.:::::ヽ　　　＼＼　　　　　　,小 | |:::.＼
　　　　　　　／.:::::::::::::::.＼　　＼＼　　　/　{　| !::::::::..＼
　　　　／.:::::::::::::::::::::::::. ＼　　＼＼　 {　 |　| |:::::::::::::::.＼

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　　　u　、
　　　　　　　　　　|　　　U 　　　 |
　　　　　　　　　　|　　　　　u　　|
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　「ヽ,__
　　　　　　　　┌┴─＜　　　　 ,'　j 〉 lヽ.　　む、むう……
　　　　　　　,.-┴‐ ｰ--、＞ｭ、 /つ_/∠ノ
　　　　　／　／　　　　／⌒ヽ 7￣ノ
　　　／　／　　　　　　　　　　Y√
　　／　　　　　　　　／　　　　　/∧
　/　　　　　　　　 /　　/　　／ /　`-､
/　　　　　　　　　i　　　／　　　　　　＼
660 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:41:45 ID:Gi6fzf4g0: 47/47
┼─
│そんな燕の笑顔をこれ以上直視出来ず、　│
│視線を不自然に逸らしながら、頭を掻く..　...│
│同時に、歩調を速めて燕の横をすり抜けた│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.......─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　 |　　ほれ、急がないと置いてかれるぞ
　　　　　　　　　　　　　　　　 | u 　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',　＿＿　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r´　　　　　ヽム　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_L_,.．-ｰ─ ‐‐ ´　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,.-＜　　　　　　　　　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　　　　ィ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　／　　　 i
　　　　　　　　　　　　〈　　　　　　　　　　　　　 r´/　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　　i/　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　 /　‘､　　　　　　　　　 /　　　　　　　i
　　　　　　　　　　　　i　　　i　　　　　　　　　　/　　　　　　 i
　　　　　　　　　 i　　　ﾄ､　　　　　　　 |　　　　 /　　　|
　　　　　　　　　　　 i　／　ﾊ　　　　　　　　 |　　／　　　　i
　　　　　　　　　i／　　　　'V　　　　　　 |　／　　　　　 |
　　　　　　　　　 /　　　　　　ﾄ､　　　　　　 У　　　　　　　Λ
　　　　　　　　　　/　　　　　　　}}／　　　　　/　　　　　　　 /　 }ヽ

┼─
│そんな彼の癖を聞いていた燕は思わず吹き出してしまう　│
│元気良く返事をし、その背を小走りで追うのであった　　　.│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　..　..　─┼
　　　　　　　　　　　 ,.　-=ミx=＝x._
.　　　　　　　　／　　　　∠　　　　ヽ.
　　　　　　　　／　　　＞=≦=ミ､　　　　､
　　　　　〃　　　　　　　　　ヾ　　　 ∧
.　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　　ヽ.　　
　　　　　　|f　　 j　l !l 从lﾄ､ヽN}ヽ､　ヾ､　　v
　　　　　　ｌ{　　 {　|从!��|　＼!` }ﾄﾍ. j| Ｎvﾑ　　　ふふっ……
　　　　　　 | ぃ |ﾍ ! {_!｣{N　　ヤVヽ Ⅵ !　ドミ._
　　　　　　 | {i N　}!{|　_ 　　　'´　｀ Ⅴj ﾊ. !　　　　はい、やらない夫様！
.　　　　　从N !Ⅵ!='´｀`　　　　　　j// l∧
　　　　　乂乂小.　　　 '　　　　 /,i!Ⅳ⌒
　　　　　　　　　　Ⅴ込、　ｰ _.´　 ,〃l{__
.　　　　　　　　 |八＼＞　.　 .イ　 ∨＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 /^{_　　／ '　　 l＼
　　　　　　　　　　　　 /　∧　　　 ,′　 ' 　 `ー
　　　　　　　　　　　　　／＼　　ヽ　 ,′　 '
　　　　　　　　　　／　　 ‘,　　　∨　　 ,
　　　　　　　　　_／　　　　　　'．　　,′　 ′　　 ,
　　　　　　　　 ;^　　　　　　　　 ' ,　,　　 ′　　　:|
　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　　　　》′　 ′　　　 :|
　　　　　　　　 |　　　　ヽ.　　　　 ,′　 ,′　　　 :|
　　　　　　　　！　　　　ヽ　　　/　　 /　　　　 l
661 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:42:15 ID:Gi6fzf4g0: 　　　　　／￣￣￣￣￣ヽ　　　　
　　　　　”　＿　＿　＿＿ヽ　　　　　
　　　　｜　｜　｜　｜｜ ..V　　十四話おしまいですー
　　　　 | 　 /　ノ　｜｀ヽ |ヽ
　　　　｜ /　 ● 　　　● |　ヽ　八ツ原は架空の地名ですが、モデルになった町はちゃんとあります
　∬　　（|　⊂⊃ ､_,､_,　⊂l　）
　　・━i⌒ヽヽ　　（_.ノ　　ﾉ　　　 .今年の花火大会は雨で流れないと良いなあ……
..　　　ヽ　ヽw＞､ __,　イW　　　　　
　　　　∧__,ﾍ}::ﾍ三|:::::/ｌ|　|＼　 . ではでは、次回予告ッ！
662 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 20:42:47 ID:Gi6fzf4g0: ┼─
│最近入速堂に入り浸る客、井ノ頭五郎　　　　　.　.　.　.　.　.　.　　　│
│あらゆる物に興味を持って読書に勤しみ、家族を省みない彼は、│
│森羅万象が記載されている、ありえない本を求めていた　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.─┼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｚ‐=＝＝=‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彡=-‐ミﾐヽ:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／⌒ヽ::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ミ:.、｀ヽ　　ヽ::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　､＼　　　／.::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　 _ 　　´　く::ﾊ　ヽ　ヽ:::::::::::::::　　おかしいな。公式には否定されたけれど、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　　､　　　｀　　　 }::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ヽソ　　　　　　　　〈::::::::::::::::　　滝山が、ゴールデンアップルを飲んだと言ってたんだ
　　　　　　　　　　　　　 ::ニニ７' }L　　　　　　　　ﾞﾞ二ヽ::::
　　　　　　　　　　　　　　　　／ x仁..`　　　　　　　　　　 )　 }:::　　　もしかしたら海外版とか……？　調べてみるか
　　　　　　　　　　　　　_≠-‐┴‐っ　　　　　　､_　イ::::
　　　　　　　　　　／　-‐‐､て¨´　　　　　　 _ノ　　　　_｣:::::
　　　　　　　　　　 /　　-‐ヘ. ＼≧=-､:::::　　　　　-‐　. :'^ヽ
.　　　　　　　　　 l　　　ノ　　｀T　　 _｣ﾆ=‐　　　. . : ´: ／: : :
　　　　　　　　　　　｜　　　 }　　/　／;:|　　　　／: : : :／: : : ／
　　　　　　　　　_ 　/　　　　　　/´/:;:;:;:;|　　／: : : :／: : : ／: : :
　　　　　／Ｖ/`〈　　　_ ,ノ／＞ゝ;:;:;:;l　／: : : : :/ : : : :/: : : : :

┼─
│そして、彼にどのような本を渡したものかと思案するやらない夫の前に、 │
│入速堂の秘密を知る謎の人物、ブギーポップが現れる――　　　　　　　...│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　.　.　.　.　─┼
　　　　　／ . -=＝ﾆﾆ: . 　ﾟ｡　｡ﾟ　 / :r巨}}=巨》
　　　　　　〈／＿: : :Ｙ⌒Ｙ :＼＿＿_r巨}}┘Υ: : : ﾟ。
　　　　　　　} 〈(__)〉人__人 : : : r巨}}┘人＿人 : : :⌒)　　　　　　　やらない夫、さっきから無言で考え込んでいたのは、
. 　　　　《巨}}=巨}}=巨}}=巨}}┘/ ｝:::「｢￣｢￣::「
　　　　　　/: : : : : : : :_..｡ｃｰ=ﾆ7::::/ 厶r七|::::::::|:::::::::}＿＿　　　　　　店に入り浸っている男に売る本の事だろう？
　　　　／ｰ‐―r＜:ｉV''ﾂヽ　〈／　〃V''ﾂ|::::::::|:::::::::}/////へ
.　　 / 　 /:/ｉ::::|:::::::|｀¨¨　　 :　　　 ¨¨´|::::::::|:::::::::}//／　　｡　　僕が、答えを教えよう
　　 {＿,/|::|::|::::|:::::::|　　　　ﾉｉ　　　　　 |::::::::|:::::::ﾉ／　　　　ﾟ｡
.　／／八乂_::|:::::::|　　　　　　　　　　　　:::::::::|￣￣＼　　　　　〉
　 l＼{＿　_,ｿ⌒|:::::::|＼　　　-ー-　　　　 .:::::::::|: : : : : : :＼　　　/
　 |　　　＼: : :｜:::::|　个　. 　　　 . :／/::::::::::|: : : ＿＿_〕＼／
　 | 　　　　 } : 八 ::::|　 {..＼__〕Ｔ爪／. ./::::::::::八: :/　　　　＼
／l 　　　 {: : : : ＼|＼」 . . .{{￣￣｢| 厶イ }/: : :/　　　　　　〉
: : :＼　　　＼: : : : : :〈ｏ＼__{{＿＿|｣／／ｏ〉 :/　　　　　　　厂＼

　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　r´ ´＼　　　　　　　　　　　＼
　　　 (　　　　＼　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　古書店『入速堂』
　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　＼　　　　　第十五話　孤独の読書
　　　　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　＼　　　　＼　　　　　　　　　　＼　　6月2日(土)20：30投下予定
　　　　　　　　　　＼　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼
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　　　　　　　　　　＼　《三三三三三三三三三=
　　　　　　　　　　　　　　ヽゝ＝＝＝＝＝＝＝＝＝=ゝ
663 ：名無しのやる夫だお： 2012/05/24(木) 20:50:59 ID:z07yxnsQ0: 乙でした
りんご飴と綿飴がごっちゃになっているような
664 ：名無しのやる夫だお： 2012/05/24(木) 20:55:39 ID:bn746QgI0: ほのぼの・・・というかなんというか
こんな花火大会に行ってみたい
666 ： ◆ahh4cbV6QU ： 2012/05/24(木) 21:18:35 ID:Gi6fzf4g0: >>663　ご指摘感謝！　綿飴も食べたかったのかもしれない……

>>664　今回の話とは関係ありませんが、子供の頃に連れて行ってもらった、
　　　　　熊本城でみる花火が未だに記憶に残っています
　　　　　のんびりとみたいものですね