＿＿_＿_
　　　　 ／　ノ'　＾ヽ_＼
.　　ﾟ ／ ｡;'⌒） 　（⌒ヽ＼°　　　　うぐおおおおおお
.　 ／　o'ﾟ~（___人___）~o°＼゜
.　 |　　 　 ﾟ　|/⌒ヽ| 　ﾟ　 　 |　　　　あおおおおおお
　　＼　　 　 ｀ ⌒ ´　　　 ／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾉ　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. （人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　お前、そんなに辛いなら行ってこいよ。　　　　 |⌒´　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　 　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　泣いてたってしょうがないだろ。　　　　　　　.　 ヽ　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つか、普通そんな絶叫できないだろ。　　　　　　　.>　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　 |

　　 　 　　　＿＿＿_
　　 　　　／　　 　 　＼　　　　　　　歯医者が増えすぎて、
　　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼
　　 ／　 /⌒)　　　⌒ﾟo　 ＼　　　　かかりつけだったところは潰れたんだおぉぉ
　　 |　　/　/（__人__）　 　 　 |
　　 ＼/　/ 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／　　　　そもそも、歯医者はイヤだおおお！！！



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　,ン　ヽ、　.　＼
　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ） 　　　|　　　　じゃ、俺のかかりつけ医に行くだろ。
　　　　　　　　　　　 　　　（__人__） 　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　{｀⌒ ´　　　　.　|　　　　これ以上泣かれたら鬱陶しいわ。
　　　　　　　　　　　　　 　　{ 　 　　　　　　|
　 　 　 　　 ＿＿_　　　　　　 ヽ、　　 　　/　　　　虫歯はな、放っといて治る事なんかないだろ。
　 　　 ...__/_ノ 　ヽヽ､ 　　　　　　.ﾝ　　　 ヽ
　　　._(_　））　（●）ヾ"'‐､　　 .／／　 　 　i
　 　 .(___)⌒（__人_(⌒　　｀二_／　|　　.　　|　　　　治療から逃れる道はない。ほれ行くぞ。
　. 　（__）　 　）　（　￣ﾌ'　.ﾉ
　　 　(_）　　｀ ⌒´ .∠;-'"　　ｸﾞｪ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｺｳﾀｲｺﾞｳ ｸﾞｳﾉﾀﾞｲﾌﾞ ｼｭﾝｾﾞｲ(ﾄｼﾅﾘ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第八十三首　詠み人：　皇太后　 宮大夫 　俊成

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　世の中よ　道こそなけれ　思ひ入る

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山の奥にも　鹿ぞ鳴くなる
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　（最近では、歯科も増えて
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　出来ては無くなる時代らしいな……）
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌｷﾞｬｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！＞
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐　　　　　　　　　　　　　　　ｷｭｲｨｨｨｨｨﾝ
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼　　　　　　　　　　　　　　お前大人なんだろ、少しは我慢しろ！＞
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この世の中には、悲しみや辛さから逃れる道などないものだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　思いつめて入ったこの山奥でさえ、哀しげに泣く鹿の声が聞こえている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫倉百人一首

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　三十八話。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾂﾈﾉﾌﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第七十一首　詠み人：大納言 経信

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夕されば　門田の稲葉　おとづれて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芦のまろ屋に　秋風の吹く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

※関連設定：>>97-102.　 八話（九十三首）
　　　　　　　　>>119-123　十話（一首）

.... .. 　.:.:.:.　. .　　 ,,,　　　　.. .... .. 　.:.:.:..: .:.:.:. . ... :. .:.:.:.: .: .... .:.:.:..... .. .... .. .. . ... :. .:.:.:.: .: .... .
.. . ...... .. .　　(;;"'',,,;;ﾞ);;ﾞ)　.　. .　.. .... ...:.:... ..　.　.　　　.. .:...:... .. .　　..　　　　.. . .. .... ..　 ..　. . .
　　　　　（;;;;;（;;;;;;;;;;;,,,,, ;;;;,)　,,,,　　　. .　　　　....　　...　　　　　　. .　　.　　　　　　..... .　　..　.
　　　　 (<;,;;;;　;;;,, ,,,;;;;;;;;;;;;ﾞ) ,,,,;;;ﾞ)　、　　　,,,,,　　　　　　　　　,,,　,,　,,　　,,　　,,,　,,,　　 ,,
　　　　（ｒill;;::(;;;,,,,　,,,,,;;;;;;;;;ヾ,,,,;;;;,,;ゞ::::::)　 ;;;;;;;　　　　　　　　;;;;;;;　 ;;;;;;;　:::::　;;;;;;::;;;;;;　:::::::
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　　　　　（(;;;;;;;;;;(ﾘ;;;;;;,,ゞ　,,,;;;;;;,,,ゞ;;,,,ゞ　,..,,.',,,,..'　　　　　　'' ,,,..',..,',..,'.,.',,,,..,,.',,,,..'',.',,.',,,,..,,,,..,,.',,,,..
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　　　　　 　 　 ヽ;ii;l;l 　 　 !ii,| 　　.|:;|_-,,　　　　　　　 　　　　 　 　 l,`､~;~:~:~;~:~:~:~:~:~:~:~:~:~. .
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　　 　　　 ＿＿_＿_{!　　　　　　　l,＞― _　l´://: : : : ::|　|:|. L
　　 　　∠＿　 　　 |　 　 　 　 　 l: : : : :メ!、//: : : : : :.|　|:|::::::ヽ
　　 　/　　　 ＼　　ｌ　　　　 　 　 l: : : ﾑ杯f//: : : : : : / /: :＼:::

　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　 ／　　 　 　＼　　　　　　　　朝の散歩は誰かしらに逢えるけど、
　 　　 ／　⌒　　⌒　 　＼
　　 ／　 （●）　（●） ／^ヽ　　　　　　時間が合わなければ、夕方は誰もいないお。
　　|　　　（__人__）（　/　　 〉|
　　＼　　 ｀ ⌒´　　〈 ／ ⌒^ヽ
―――――――― ＼ _ _ ＿ ）　　　……真紅、帰るかお？



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 r'⌒V´::.::.::｀y'::.:::,:｀￢、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿_/⌒::_::j_:_:_::.:::/::.:／::.::／{_r､
　　　　　　 　 　 　 　 　 __r-､/:::/7::; '´　 　 　｀　＜::.:／::／::.:_）
　　　　　　　　　　　 　 ｛f〒う::://:::ﾉ/ / , '　 〃 ,　　ヽ／::.::.::{
　　　　　　　　　　 　 　 〉工{_://厂/ / //　// / ,　/　∨::￣::ﾌ
　　　　　 　 　 　 　 　 /　/r'::| |::）l|　トｘ'/ // / / / / , !::.::.::r′
　　　　　　　　　　　　/　/:/ハl | ﾙ'芹ﾒ/ /,' / / / / //lｰ‐〈
　　　　　 　 　 　 　 // 〈:/　 〈l 川ヾジ　 /ノ,厶ﾆくノ　/‐z_/l　　　　┏─────
　　　　　 　 　 　 ／//　/　 ＿ﾘ !|　　 　 　 礼jﾊ/　ノ::;人／　　　　　ねぇやる夫。
　　　 　 ,　=＝'′ //　/　_{::.::/,小、 丶､′ ｀ﾞ,.ｲ ﾊ＾ｰ' |l |
　　　　〃　　　 ／ ′/／: :〉//:::||:::>=､　--＜//　|l　　|〉l　　　　　　もう、すっかり涼しいわね。
　　　//　 　 ／ , ′〃: : :／/::.:〃ﾚ行｣}::.::／,'/ｌ　 |l　　l　ヽ　　　　　　　　　　　　　─────┛
　　_｣ {＿ ／ ／ ／ : ; : 〈二ﾆ ＜:::〉ｷrく／::.:l |∧　|ｌ　　| 　 ＼
／　｣ l　rv=ﾆ￣: : : :/: : r ヱﾆ＞､〕: |〉/:ヽ､_| | : :ヽ|ｌ　　| 　 　 ヽ
　／ ! ﾚ匀: : -‐': :／: : :.≧= ＼￣! : r――-ゝヽ: : :.＼ ｜　　　　＼
'′　ヽヽ 弐ﾍ､_rく: : : : : :＼￣::.::.〈: : 匸二ﾆ=､ノ : : : : ｀＞‐ｧ　　　　ﾄ､
｀ヽ、　＼／: ｀￣｀ヽ､: rr=- 〉￣T‐': : 仁二フ: ヽ : : : /ヽ}イ ＼　　 ｜l
､　　,＞'´: : : : : :.:厶ｲﾚ》: : |:_:_:_:｣=＝厶イ: : Y⌒ヽ､ノ／ヽ ＼　ヽ 　 | |
_,二{/: : : : : : : : /: : :l : : : : : : : : : : : : ＞ﾍ:_:ノ: : :.ﾊ　 　 　 ＼ ヽ　＼ } }

　 　　　　＿＿＿_
　　　　／_ノ 　 ヽ_＼
　　 ／（ ●）　（ ●）＼　　　　　……別に走り回るわけでもないのに、
　／ ::::::⌒（__人__）⌒::::＼
　|　　　　　　 ￣　　　　　 |　　　　　　よく景色を見ているだけで飽きないもんだお。
　＼ 　 　 　 　　 　　 　 ／



　　 　 　 　 　 　 ＿_
　　　　　　　　／:.:.:.:.:＼
　　　　　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:､　　 　 __
　　　　　　　{:.:.:.:.． ----:.}:.:＼_.ｨ':.:.ﾊ
　 　 　 　 　 > ´　 ,　　　 ｀i:.:.ヾ;;i:.:.:.:.}
　　　　　　　i　 /　i　　.l　､ヽ:.:.l;;;i:.:.:.ｆヽ
　　　　　　　{　iﾑ_ﾊ　　i_.ﾑi !ゞl;;;l:.:ノ　i
　　　　 　 　 ゝl ＿_ゝ ﾉ＿_从 lｒ薔!　 |
　　　　　　　　/::::::　　 　 ::::::::l ﾄｙ/　　|　　　……
　　　　　　　　＼　　　　　　 //イ　　　、
　　　　　　　　　i 「｀⌒i≦ヲく:ヽ.!　　　 ヽ
　　　　　 　 　 .ﾉ.{`ｰイ､:_:_:_:_ソ |　　　　　＼
　　　　　　　　 ７_｀Ｔ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ.　　 、　 ／
　　　　　　　 ／:.:.:.":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ＼ 厶∠二ゝ
　 　 　 　 　 {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´￣
　 　 　 　 　 ｀ ー‐ﾞ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　 ｀ ￣￣ ´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 ＿＿ ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,rｰく´＼　 , --､　　　／⌒　　⌒ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　真紅、もう十分だお？　　　　,-く ヽ.＼ ヽ Y´　／ 　 ／（●）　 （●）　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　-!　l _｣_ﾉ‐′/ 　 ／ 　 　（__人__）　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　そろそろ帰るお！　　　　　　ヽ　ﾞｰ'´ ヽ　　/　 　|　 　 　. `Y⌒y'´　　　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ、　　ﾉ_ イ　　　 ＼ 　 　 ゛ー ′　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 　 |　　　 　/　　　　ー‐ 　 　 ヽ



　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿
　　　　　　 　 　 　 ,ｒ‐':::::::::::::＼
　　　　　　　　　　「:::;　-―- ::::ヾ､
　　　　　　　　　 У´ //　 ､ ｀ ヾ､＼
　　　　　　　　　ﾊ/,. i,ｲ　.! |　　ヾ!|:::}
　　　　　　　　∧| !'㍉|ﾚ!,ﾄ」 |ｉ ,' }＠{
　　　　　　　 //!i l｀ﾋj　　 ヒﾝﾚ∠:{ﾊ
　 　 　 　 ／_,-､!lゝ､ っ　 ﾞ"〃ノ | !|
　　 　 ／／｀Ｔ´〉´{薔} ＝７イ 　 | !|
　　 ／, ´　 {ﾐ!::::ト､, ｌ!ヽ. {彡}ヽ_　| !|　　　　　┏─────
　,/ /,　　　　ヽ;:ﾉ |ノ|　｀| {ミ} :: ヽ| !|　　　　　　　やる夫、帰るの？
　l　i ﾚ,　　　　 'ｰｲ l ＾ヽ.! ,テ ::／.| !|
　 ｀ｆ≦　　　　 / :: :: ７~~／~~ ヽ. | !|　　　　　　　仕方がないわね、今日はもう帰るのだわ。
　　 テ　　　　/ :: ／ヾ／ ::: ::: :::ﾊ≧〈　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛
　　　 ＿,,.-‐':: :: ゝ_,ｒ′::: ::: ::: :::: ! テ
　　　ヽ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ′
　　　　ﾞﾄ :: :: :: :: :: ヽ :: :: :: :: :: : /
　　　　 ﾞ{_:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :/
　　　　　 ｀ﾍ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: >
　　　　　　　 |~~/｀￣｀ヽ~',ヾ^´
　　　　　　　 }ﾆ}　　　　 ）≡i
　　 　 　 　 i"　ﾊ　　　〃￣ヽ
　　　　　　　ゞﾆﾉ 　 　 ゝ== ′

　 　　　　＿＿＿_
　　　　／_ノ 　 ヽ_＼
　　 ／（ ●）　（ ●）＼　　　　　？？
　／ ::::::⌒（__人__）⌒::::＼
　|　　　　　　 ￣　　　　　 |　　　なんでやる夫をじっと見てるんだお？
　＼ 　 　 　 　　 　　 　 ／



　!:::::::::::::::::::::／::::／　　　l l　　　　,l　　　| |　　l　　　! !　　　l　　　　　 l l::
　!:::::::::::::::／!:::／　|　 　 !　! |　　/ !　 　 !_!-‐ァ　l　| |　　　 |　　　　　 ! !:
　!:::::::::／,-､∨ _!__, --､|　 ! | 　 |　!　　　|`r'´!　 l　! |　　　　|　　　　　＜
　|:::／／:::::::!:!　|　{　　 }｀ﾞ`ト!､　!　|　　　 | !/　　! ﾊ |　　 　 !　　　　　　!:
-､!'／:::::::::::ﾉﾉ!　!ヽ!｀T´! 　 !| !｀ト､ !　　　 ! !　 //　! !　　　 ! 　 　 　 　 |:
ヽヽ:::,､:::／ｨ　ﾄ､|_ｧ=ァ＝=ミ､ﾄl　!　 l　　 ,ｲヽ!,ｲ/　 l ﾊ　　　|　　　　　　 !
　〉!:/::ヽ／|　 | ヾ　 {っr⊂かﾐヽ|　　!　//　/メ　 _// !　　| !　　　　　|　|::
_/∧::::::::)　l!　 !　 `┴-ﾆ､ノ　　　　　Ｖ /／〃 ヽ/'｀`ト､　l l　　　　l　|　l::
-'　 ヽ:/l　 |ヽ　!　　　　　 ｀　　　　　　 '´　/' ＿　　 /ｲ メｲ　　　　!　l /::
-ヽ　 ヽl　 |　l　|　　　　　　　　　　　　　　　 ７っ｀ヽ'´ l// j　　/　/ /ﾚイ::
　　ヽ　l 　 !　|　|　　　　　　　　　　　　　 　 _{　r⊂∧　 ,.ｲ　 / ,ｲ /-イ !::
＼　 ヽ! 　 |　 !　!　　　　　　　　　 　 /　　　 ｀ヽン ノ／/ , ｲ／彳　　! l:::　　　┏─────
＿｀ﾆ=|　　|　　l　|　 　 　 　 ､　　　'´　 　 　 　 　 ,ｲ l　イl l　 |:::!　　 ! !:::　　　　良い風……
::::::::::::::!　　|＼　!　l　　　　　　｀　-　　　　　　　／ｲ /　 l　!|　 !::l　　 l l:::/
⌒l:::::::|　　 !--ヽ!　|　　　　　　　　　　 　　 　 /´　!/!　 !　||　 !::|　　 ! ﾚ　　　　　だんだん過ごしやすくなるのだわ。
､　ヽ´|　　　!　 |　!　|　　　　　　　　　　　_,　'´　 〃 l　 l　 ||　l:::l!　　|
　｀´　|　　　 !　l　 |　!｀ ト　__ ..　-‐＝ﾆ´､　　　//　!　l　　||　!::||　　!　　　　　　　やる夫、また明日も一緒に来ましょうね。
　　　 ',　　　 ',　!　|　!　　Y´｀ヽ‐､　　　 ＼>　//|　　 l　　 || ,ヽ! !　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛
　　　　ヽ　　　ヽヽl　l　　　Yrゝ〉ヽ}　　 /　＼l l　!　　|　 　 ||' /　l 　 ',

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾂﾈﾉﾌﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第七十一首　詠み人：大納言 経信

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夕されば　門田の稲葉　おとづれて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芦のまろ屋に　秋風の吹く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

.... .. 　.:.:.:.　. .　　 ,,,　　　　.. .... .. 　.:.:.:..: .:.:.:. . ... :. .:.:.:.: .: .... .:.:.:..... .. .... .. .. . ... :. .:.:.:.: .: .... .
.. . ...... .. .　　(;;"'',,,;;ﾞ);;ﾞ)　.　. .　.. .... ...:.:... ..　.　.　　　.. .:...:... .. .　　..　　　　.. . .. .... ..　 ..　. . .
　　　　　（;;;;;（;;;;;;;;;;;,,,,, ;;;;,)　,,,,　　　. .　　　　....　　...　　　　　　. .　　.　　　　　　..... .　　..　.
　　　　 (<;,;;;;　;;;,, ,,,;;;;;;;;;;;;ﾞ) ,,,,;;;ﾞ)　、　　　,,,,,　　　　　　　　　,,,　,,　,,　　,,　　,,,　,,,　　 ,,
　　　　（ｒill;;::(;;;,,,,　,,,,,;;;;;;;;;ヾ,,,,;;;;,,;ゞ::::::)　 ;;;;;;;　　　　　　　　;;;;;;;　 ;;;;;;;　:::::　;;;;;;::;;;;;;　:::::::
　　　　丶;;;l;;;;ｉｌ;;;;;,,, ;;;;;;;;;; ､'ﾞ,;;, ,,;;)::::）::)　,. ,,!!,,　　　　　　　,. ,,!!,,　,. !!,,　,,　,. ,,!!,,,,!!,,. ,, !!,,
　　　　　（(;;;;;;;;;;(ﾘ;;;;;;,,ゞ　,,,;;;;;;,,,ゞ;;,,,ゞ　,..,,.',,,,..'　　　　　　'' ,,,..',..,',..,'.,.',,,,..,,.',,,,..'',.',,.',,,,..,,,,..,,.',,,,..
　　　　　　~ﾞ'''''';'ﾚ;;;li:;;ヾﾞ~ ';;lii;_ヾlii;_ヾ
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＿|＿＿|　 |　'''''"'''''''"""'''""'" /７　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |園|＿＿|＿
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　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　 　 　 　 /
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夕方になると、家の前にある田圃の稲葉をそよがせ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芦葺きのこの粗末な小屋にも、秋風が吹き渡ってきた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫倉百人一首

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　三十九話。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄｼﾖﾘｱｿﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第七十四首　詠み人：源俊頼朝臣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　憂かりける　人を初瀬の　山おろしよ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はげしかれとは　祈らぬものを
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

※関連設定：>>193-205　十七話（三十六首）

　　 |　　　|　　　| 　 　 　 　 　 ∥　 |　　　| ﾄヽ
__　｜　　 |、　　ﾄ､ { 　 　 　 　 || 　 |　　　| | |l
ヽ＼|　　　| ＼　|　ヽ＼　　　　 |.|　厶 　 /l | ||
__/;ハ ヽ 斗―＼l-　＼＼.　　/イ/　| ／/,ｲ｜　　　　　　　　　　　　　　　　怒って欲しかったの。
ｰ'´　ﾍ＼＼ヽ二 ＼　　　 ＼/ ＞┬ ｧ| 〃 |
　　　 ヽ 弋F千　卞､　　 　 　 ^ー'彡/ 　 ∧ 　 　 　 　 　 ／
ﾄ　　 　 ＼ ｀ﾆ´￣" 　 　 　 　 　 　 / 　 /　 '　 　 　 　 ／.:/　　　　　　　　何でも言う事を聞いてくれる人だったから、
| l＼＼　　＼　　　 　 　 　 〉　 　 ／　イ　　　', 　 　 ／..:::/
| |　 ＼＞ー一　　　 ＿_ __,,.　　　ｲ　　|、　 　 ′　/ /.:::/　 ／　　　　　　　だからこそ、怒って欲しかった。
| |　　　　 ＼　　　　　 　 -　　 ／｜　｜＼　　　У /.:::厶イ
二丶　　　 ト＞　　　　　 　 ／　　|　　|　　 ＼／／￣_,. -‐　ニ　　　　　　　あの人の本当の気持ちが分からなくて。
::::::.ヽ＼ 　 |::7r―- ｀＝二´　　　 |　　|　　 ／　　　　￣
::::::::::.ヽ ＼ |:| |::::::/r‐::共::ﾄ＼　　 | 　 |一'二二二、､＿,..　-―　　　　　　　　本心を知りたい、そう願ってた……
:::::::::::::::..＼ヽトl:::::|:|::::|:|　|:|:.ヾＶ＜| 　 '::::::::::::::::::::::::.ヽ＼::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::ｌ |:ｌ ＼|:|::::|:|　|:|:::::}:}＼:ｌ　/ .:::::::::::::::::::::::::::.＼＼ー＜二
::::::::::::::::::::::| |:| 　 ゞニｲ　ゞニ仆､/ ∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼＼::::::::
::::::::::::::::::::::| |:|　　 　 |:l　 　 　 |/／＼＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼＼::

　, =/　　　　　 ／==' ' : l : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|ﾚ　　　　　∠ノ: : : : : :..:.:l : : : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :
.ｲ　　　 ／l|.: : : : : : : : : :.l　l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
V　　／=='': : : : : : : : : : :.l: :l:.: : : : : : :..:. : |　l　: : : : : : : : : : :
ｨ| ／=ｲ: l : : │ : : : : !: : :l :.l..:: : : : : : : : : |　|　 : : : : : : : : :
,ｲ! ﾄ ヽ.:.:|: : : :|..: : : : :|　: :ト.ヽ : : : : : : : : .∧!ヽ:ヽ. : : : : : :l : :
::|　|::ヽ V : : :│　 : : :l､ : :l　＼i : : : : : : :. l__lj__j　ﾊ　: : : /l
::|　|: ::j　 ヽ: :.:l＼＿:_:j__ヽl..__　＼ 　: : : :ィ　ﾘ　Y: .ﾍ : : ,
::|　 ／　／＼ゝ´ ＼: :l　ｰ＼ 　　 ＼ : :/　 　　 l :/|　 /　　　　　ただ優しいだけなのは、冷たいのと一緒。
::| 　　／: :.|　 ＼!　　ゝ＼ 　 ヽ 　　 ゝ/ ___,.ィ /:/　! /
:: : 丁| : : :.ヽ. 　 　 ___＿_｀., 　　 　　　 ｀￣´ /　 ..ｲｲ　　　　　　私の方を向いて欲しくて、
::.: : |│､　 : :＼　´´ ￣ ´　　　 　 　 　 　 　/／..: : :|
:: : : ゝ＼:ゝ､. . :＼ 　　 　 　 　 　 　 /　　 イ 　..: : : |　　　　　　怒って欲しくて、辛く当たったの。
::ヽ: : : ＼＼l `ー‐` 　 　 　 　　　_　　 　 ｲ 　 .: : : : |
:: : ＼: : : ＼＼ 　 　 　 　 　 ￣ 　 　　／│　: : : : : |　　　　　　怒って欲しくて、我侭を言ったの。

＝－ ―￣_ － ＝　-＿－ ＝－ ― ＝ ￣ ＿ ＝ ￣　－ _―＿＝－ ― ＝ ￣ ＿ ＝ ￣　－ _―＿
ニ －＝ ￣ ‐ _　― － ＿ニ －ニ－＝ ￣ ‐ _　―￣‐ ＿＝－－＝ ￣ ‐ _　―￣‐ ＿＝－￣‐ ＿
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿__, ----､＿__
　　　　　　　　 　 　 　　　,　´_ -―||￣￣||―　、 、
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /／ 　 　 ,L二二」　 　 丶＼
､　　　　　　　　 　 　 　 ﾄヽ　 o　 //＼　 ヽ　　o　 ヽ.}
:.`"‐-､_　　　　　　　　　| ＼ 、　 ゝ＿ﾉ}）_ﾉ　　　 ／ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　...................................
:.:.:.:.:.:.:.:.:＼＿　　　,　＝ﾍ: : ｀　ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ ィハ　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀Ｙ　　 　 ∨: : : : : : : : : : :|卩卩Ｌ ∠　 ,　　　　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:」 ,　　 　 へ: : : : : : : : : : !| , | l／　　　l　　　　　:::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　ゝ　 /　 　 ＼: :＿＿: : ‘”: 7 ｆ⌒i ／ 〉　　 :::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{　 ー＼､　　　, -＼: : : : : : : : ゝ‘-‐”　ｲ　　 :::::::::::::::　　　　　　　　　　さよなら、水銀燈。　　　　　　　　　:::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〃　　　　｀ ‐-､､　　 ヽ : : , - ﾞ´　　　／｜　　　:::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　＼　　　 　 イゝﾆ彡': : :｛ｆ ⌒) ,　 ´　　|　　　　　 :::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|￣　 ￣￣　ｒ┘: : : : : : : ｒゝ=≦ 　 　 ／　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| 　 　 l　　 ∧: : : : : : : : :｛（　∠、-‐'´l　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|‐-､_　l　､/ /: : : : : : : : : ｀¨{{　　)　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ...................................
‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.＞ ､|V: : : : : : : : : : : : :｀¨¨＾i´
＝－ ―￣_ － ＝　-＿－ ＝－ ― ＝ ￣ ＿ ＝ ￣　－ _―＿＝－ ― ＝ ￣ ＿ ＝ ￣　－ _―＿
ニ －＝ ￣ ‐ _　― － ＿ニ －ニ－＝ ￣ ‐ _　―￣‐ ＿＝－－＝ ￣ ‐ _　―￣‐ ＿＝－￣‐ ＿



　　　　l.l　　　　　　　　　　　　　、　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　l　　　　　　　　　　　　　 〉,　　　　　　　　　　/
　　 　 l　　　　　 　 　 　 　 　 /ノ　　　　　　　 　 , ′
　　 　 ;　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／
　　 　j　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　／　　／
　　　 i　　　　　　 - ...＿_ 　_,,.. -　　 　 _／　＿彡イ
　　 　 ;　 　 　 　 　 　 　 ｀´　　　　　　￣￣　ｲ 　 |　　　　　　……酷いわよね。
　　 　u 　　　　　　　 　 == 　　　　　　　 ／　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 '´|　　|　　　　　　　　　　　　最後までニコニコして、
｀ 　 、　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,　'´ 　 ｜　 |
　　　｀ 　 .,　　　　　　　　　　イ　　　　　|　　;　　　　　　　　　　　　　いきなり、
＿＿＿＿_＞＿、 ＿,　 ＜　l | 　 　 　 |　 /
::::::::::::::: ／.::::::::::|:::::::|二::.＼　ｌ |　　　　/　/　　　　　　　　　　　　　さよなら、って……
:::::::::::／.:::::／￣|:::::::ﾄ､::|＼:.＼ |　　　/　/

　　 .:/ .:! .:.: 　 　 　 　 /　l|l.:.. _lゝ:.ﾍ.:.:..　　 |:　l:.　 |　 　 ﾄ ヽ
　.:.:.:j .:.:.! .:.:　　　　,　-|＝-T:.:´j、ヽ:ヽ:.:.　 .ﾄ! l:.:.　.l:.　ヽ l ヽl
.:.:.:.:.l .:.:.:!.:.:.:.　　／ 　 |　 ,z,弐ヽﾄ　 ヾﾄ:.:. .:jｲハヽ :!:.:　 | |　||
:.:.:.:,' .:.:.:.!:.:.:.:.　　　 |:　ﾚ'　 {ぅiﾊ.:|｀　　　l.:.:/ﾌヾ l.:.:ﾊ.:.:.　|:|　l′　　私のしたことは、逆効果だった！
.:.:/　.:.:.:.|.:.:.:.:.:.　　l_ィ_l{　　 ヽ-' |,　　 　 |/　 {jﾊl{/:.l:l:.:. ﾊl
:/　.:.:.l.:.:.!:.:.:.:.:. 　 l:. !: lヽ rｰr　彡 　 　 / ､ ､｀,.ｨ{.:./:.l:.:i j′　　　　却ってあの人は、優しく、冷たくなったの！
'　.:.:.:.|.:.:.:l.:.:.:.:.:.　 |､:ヽ.l ｰjj´　　 　 　 　 　 ｀i　´lV:,〈 }:l ′
　.:.:.:.j.:.|:.:.!:.:.:.:.:.:　l ヽ:.ヽ､li　　　　　　　　　 /　／ｲ: lｿ′　　　　　　どうやって、私を傷つけずに振るか、
.:.:.:.:/|:.:|:.:ﾊ:.:.:.:.:.:. l　 ヽ.ヽl!、　　　　　　＿_ ,　 　,ﾘ:. l l
:.:.:/.:.|:.:l.:.:.:.ﾄ:.:.:.:.:. l　　 ＼ヽ　　　　 i´‐´￣j　　/!:.:.ﾊ !　　　　　　　そればかり考えるようになったのよぉ！
￣ ｀ l:.:ﾄ､:.:.: ヽ:.:.: ヽ　　　｀ ｰ　　　 ｰ‐　ﾆ　　/ }:/j j/
　　　 ヽトヽ:.:　l:.:ヽ: l　　　 ヽ､　　　　　　 　 /　j'://'　　　　　　　　そんなこと、願ってなかったのに！
　　　　 ヽ､ ヽ: ﾄ＼lヽ､　　 　 ｀丶　　 　 　 / ／´
　　　　　　 ｀ i: l ヽﾄ､　｀　ｧiｰ---｀ ､_j-i＜　　　　　　　　　　　　　　一言、怒鳴ってくれればよかったのに！
　　　　　　　　l l　 |　　　/ |:.:|:.:.:.:.:.:.:.　 !　 ヽ
　　　　　　　　|:| 　 　 ／　 !:.lヽ.:.:.:.:.:.:　!　　 ',

　　 　 /　　　　　 .　　 /　. : ／/　　 . :／/　. :/!:/　　　　　 }､: : .
　　　/　　　　　 :　　.:/　: ／ ./　　. :, '　/ . : / l:′ノ　　　j　! ヽ: : .
　　 ,'　　　　　. :　. : { . :/　　/　 . : /＿,j =≠ 'i´ ´　 　 . /　V 　ﾄ､
　　 j　　　　. :　. : :/:|: /　　 ! -―/´ 　_{ ナ＜|:　　　. : / !　ﾄ､　|: ､
.　 / 　　 . : : : : : / : |:′ - :! . : / -‐ ´ l: i|　　|:,　. : /:/　}: ﾊ ヽ.!: :
　/　　 . : : : : : :./: :　　　　 :| :ｏ{　　　 __j: |!-_ィ: . /〃 　 〃　＼j: :
ノ　 . : : : : : : : /: :　　　　イ:ﾍ: :|-,wvvｨ彡i|三ﾐ!: // 　　/_､_-､i ハ:
　. : : : :_: : : : /: : :　　 :/ /: 　i､|ゝ- 7´　　　　 |//　　　 ､_｀ミwz': }:　　　　だから怖いのよぉ……
￣￣ . : : ／ｲ: : :　. : ｲ:/:　 i　ド　i!´　　　　　　　　　　　　 !　｀i!!: |:
: : : : : : /:/: ,': : : . :/{ |/:　　ﾊ: '､ i!　　　　　　　　　　　 　 ﾉ　　i!}: : :　　　　やる夫、あなたの優しさが怖いの……
: : : , イ /: :,': : : : /ゝ､!: 　 /　ヽ ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 j!l: : :
｀＜: //: : :l: : : :/￣｀ |:　 ｲ　　　＼ ､__　　　 　 , rｪ ー‐ｧ　　 j!ﾊ: : :　　　　ううううっ………うっ……
　　 ｀:ﾊ: : :|: : : {｀　ー|:　ハ　　　　ヾ､　　　　　 ｀ ｀二￣｀ 　/'　 ＼
　　 |:{　 ＼!: : :ﾊ 　　 l: { 　ヽ 　　　 ヾ 、　　　　　 　 　 　 , 　　　　　　　　優しくしてなんか欲しくない……
　　 ゝ　　　ヽ: : ﾊ.　　∨ 　　 ＼　　　 ｀　 、　　　　　 　, ′
　　　　　　　　V: {､　　　　　　　 ｀　､_　　　 ヾ､　　　　 / }　　　　　　　　　それは冷たいのと一緒なの……うぅぅ……
　　　　　　　　 }: : :＼　　　　　　　　／￣　 ┬ヽ i─ ´　ﾉ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿__、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,,, -'''"´　　　.｀ﾞﾞ''ｰ ､,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_..-'"　　　　　　　　　　　　 ｀''-､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./ ―-..＿___, i　、　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 ,．.、　`　 "　　　　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　 ,i ､　＾ !　　　　 ,,ﾉ 　ヽ,,_　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .,!　　 .ｌ弋ﾌ､/ -　　　 l　　、 .　二'ｰ ､、　　　　　　　　　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……　　　　　　　　　　ｌ.　　　ﾞ＞'ﾞ　　　　　 "　.''i.二,、 ｀ﾞ'‐　｀''-､　　　　　　　 　 　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|，　/ 　　　　　　　　　　 ｌ,弋ア--ヽ/　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ‐'″　ﾞ‐{　　　　　 　 　 　 　 　 ｀ﾞ''―-‐"　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀'- -‐|　　　　　　″　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀' !ｰﾐi､_.　　 _./　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _／'ｰ､,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀'-,,｀''二二コ　　　　　　　　　　　　　 _,,.. -'"゛　　　 .｀''-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''ｰ--､,　　　　　　　___,,,....　-‐"゛　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　＜うっうっうっ……　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣ﾞ´　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　＼

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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::┃ 日日日日 ┃:::::::::::::::::::::::::::*:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::*:::::
:::::::::::::::∥Π　Π　Π∥:::::::::::::::::::::::::┃日日日日 ┃:::││:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∥::
:::::::::::::::∥Π　Π　Π∥／Π　Π＼┃日日日日┃:::││::::::::::::::::::::::::::::::::::::┏━━━━┓::::::::::::::∥∥:
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::::::|￣￣￣￣￣￣|::::::iiiiiiiiiiiiiiiii:::::::√￣￣￣￣￣ヽ::::::::／￣￣＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∥::::::::::::∥::
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　　 　 　 　ｔ,ﾍ∨/l:: /ﾍヽ　　　　 ／　, 　 　 　 ､
　　　　　　/　〉/ .|:: |　 }::l 　 /　/ 　 /　　 　 　 l
.　　　　　/　//　 l:::ﾆ'彳′,/l ,ｲ　　 ! 　 　 　 　 !
　　　　 /　//　 , /l::!　/l　/ { l !l　　l　　　 　 　 l
　　 　 / // 　 // l::l　l l__,'ｪ ｌ｣_|lﾍ　l　　 　 i　　l
　　 ／,イ'　　,','{　// ,ﾍ |l { -Ｙ ﾘ｀lｰl一　　,'　 /
　／　（::{ 　 / | ∠/ /,ィ=ﾘ＝=ﾐ　ヽ }ｌ　　 ﾒ､,/ } l
'´　　　ヾゝ/　ﾊ {､　{ 　 ||　　 　 　 |/ Y ノ._/ヽ//
　　　　/ l/　/ ,ゝﾄ、.!、 l|　 　 　 　 　 |/ｊメ､ヽ.メ,
　　　 /　i　/ /　∨`ﾄゝ/　 　 　 　 ,ｨ　　　 ｀シ　/
.　　 /　 l /,ｲ　　　,ﾍヽ　　　　 , ｭ　　　　 　,Z_／　　　ｽｩ……ｽｩ……
- -/　/.|ｌ´ﾊ|　　 ,/ ∧ﾍ　 　 　 　 ,. - ,二ﾆx／
:::::/　/::::ﾘ/:::{　　 l:::::::::| }`ｭ､＿ ,／イ¨:::::::::::::::::ヽ／
／　/::::::|{:::::::ｌ　　i::::::::::l !:::::::::::://::::::::::::::::::::::::::::::ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿__　＿___
　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　 （＿＿ ゝ
　　　　　　　　　　　　／ 　　　　　　　　　　（＿＿_ヽ_
　　　　　　　　　　 ／ 　　──　　 　　──　 （＿_ _　ヽ_
　　　　　　　　　／　　／´　 ｀ヽ　　　/´　 ｀ヽ　 （＿＼ 〈
　　　　　　　 ／ 　 　 `Ｔ;;;:::;;;Ｔ′ 　　`Ｔ;;;:::;;;Ｔ′　　＼ ＼　　　　水銀燈。
　　　　　　　 |　　　　 ヽﾞ''''''´"ノ　　　ヽ⌒ﾞ''''''´"　Ｕ　　|　 ）
　　　　　　　 |　　　　　　　（　　　　i　　　　）　　　　 　 |三三）　　　それでもやる夫は、優しくすることしか出来ないお。
　　　　　　　　＼　 　 　 　｀ー ─'＾ー 一'　　　　 　 ／.:.|　 .|
　　　　　　　　　 ＼　　　　 　 　￣￣　 　 　　　　／|.:.:.:.:|　 .|　　　誰よりも、大事だから……
　　　　　　　　　　　〉三三三》　　　　　《三三三〈　 |.:.:.:.:|　 .|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_. -―――- ､.__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　 ＿__　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 　 ,-‐ ﾞ´￣　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .／,＿_　　　 　　,-―- ､　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「　 　　　　　　　{r'ﾞ￣:::ﾊ i　　　　　　　　 .ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　 /´ヾ. 　　　　ii:::::::::::::::i i　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 .iｿ::::ii　 　　　 ii:::::::::::::ﾉﾉ　　　　　　　　 　 　 ﾍ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　i;::::::ii　　　　　ヾ-‐ﾞ´´ ﾍ　　　　　　　　　　　　ﾍ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　 ヽノ'　　 　 　 　 　 　 　 i. 　 　 　 　 　 　 　 　 i.
　　　　　　　　　水銀燈。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　 i.　　　 i　　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {　　　 {.　　　ﾉ＼_　　　　　　　 ﾉ　　　　　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　　目が覚めたら、今夜のことは怒るお。　　　　ﾍ.　 　 ﾞｰ-'´--- ｀ゝ-――＜´　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　今夜の我侭は、それで許すお。　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _. -‐ ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾞ＞ ､_　＿　　　　＿＿＿. _／￣　￣ ヽ、
　　　　　　　　　だから、それで……全てを忘れるお。　　　　　　　　　i ／　　　￣￣　 　 　 .／　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ /　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄｼﾖﾘｱｿﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第七十四首　詠み人：源俊頼朝臣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　憂かりける　人を初瀬の　山おろしよ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はげしかれとは　祈らぬものを
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　／　　／::::::￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./ｆﾆﾆゞ:::,.　-――- .＼　　　　　 ／￣￣￣ ＼
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/　ゞV ﾊ:V 　　 l 　　　i ｀ヽ ＿ ／　　　　　　　　ヽ　＿＿＿
-----------------------------./ 　// |:|ﾆｿ_ﾊメ､! 　 　/ l　| _,ノ|　　　 ⌒　　 ⌒　　l　------
　　　　　　　　　　　　ｽｩ…ｽｩ…　　 /　 〈/　,|:| ﾙ. ´ﾐソ、 ／/' //　　 l 　　（―）　（―） 　!　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 ./　ﾉ l」| 　 　｀　ｼ 　 ／　　　| ＼　 ヽ __ﾉ､__,)　　/　　ヽ　　　……
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 　 ノｲ|　 ﾄﾄ.、　ヽ ',.ｲﾄくV. ヽ、　 | 　.V`ー　　―　'..;. |　 　∧ヽ
―――――――― fi⌒) 　 人∨//ﾌ∨}.l　 |::::::`ｰ＜ﾘ　.l　ｿ　　｀i. /__,厂V 丶__ イ.:/ｨﾍ」 　/　ヽー―――
￣￣￣　,. -─--ヾー_‐‐='´ ／r′:::::rﾍﾍ.:.:::::; -‐::::::_/ ﾊﾉ 　 　 　 | ´ 　 　 ﾍ、::::::::::/.　　　 ,' ,ｨﾆ｀ﾍ￣￣￣
　　　　 / / ﾌ´￣_￣-‐_,.ﾆ／/〔::__::rく,L｣_ {`く/.:::::::::/ﾄ / 　____　　 |　 　 　 　 ＼_／　　　 　r/　　　丶
　　　　 ヽV ／ _, -＜_／/　/ｒく ／ヽﾑ_ミ} }::/::::::::::/:.|　.ィ´　　｀ヽ｣j　　　　　　 ｢　　 　 　 　{以イ´￣｀ヽ、
　　　　　　{〈ﾚ'´_/´￣｀ ￣｀`ヾ､{　　〔　　V:＾:ヽ::::::/::.:| r'　　　　　　 ｀¨￢-､_ 　 |　　 r‐‐-ｨﾁ´
　　　　　 ／／　ヽ/　_,. -　　 |::::｀ヽｒ′ /:::::.:.::::∨__:.:ﾄ､｀ゝｭ,,＿_ 　 　　　　　｀¨亠'"´￣￣ﾍ　　　__,ｨ=≦ヽ
＿＿__r'之´-‐ｧ､　∨￣｀ヽ　 |::::::::::::｀ヽ!::::.|＼/＼::｀>f´　i　. . .:｀寸=ー----ｭ､,_＿_ ,、　, ,　〉ｬ'´／.: : : i 　',
::::::`ｰ∠ ｀ヽ /.∨＼|｀`ヽ‐､ _｣.:.:.-‐:::::.:.:ヽ:.:|!:.:ヽ:.:.:〉:::::| 　:i　. . .: : :} ＼　　　/　 　 ,斗ｸ,々ｙ′ ,.′ : : : :i::. ∧
.:.:.:.::::ﾄ､ ヽ.ノ' 　L...ノ_,｣二}　ヽ:.:::::::::::.:.:.:.:.ハ|:.!::.:.∨::!:::::!　 :i　. .: : : ::V ｿゝﾍ/　　 T′｀^__ｿ.: : :/　　.: : : :i::. : : :,
:.:.; イ__ ＼/く几勹く「}>‐r'⌒ｿ:::::::::.:.:.:.:.:.:|;:ノ!:.l～′:::〈.: i.: :i　. : : : : :} '.:: : /　　　 ﾄ､,ｆ壬ｲ.: : :,ハ 　.: : : ::i:. : ::/
⌒ヽ＼｀ｧ'ｱ了兀_]〈八}匚_｢ ::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:l::::.|:_」:::::::::.:.:l:V .:: i　. : : : ::iｙ.: : :ﾊヽ　__ｨﾆ′.,'.: : : : : : j　.: : : : i:. : :
ｰｎ _〉､}{ノ{ﾐ|´::::::::::::l┴/ー' .:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::ヽ/:::::::::::::::.:.:.i::’.:.::i　 . : : : l.: : : : :｀^´.: : : :,ｲ/.: : : : : : :l　.:,'.: : :i:. : :|.
:代_,.ｨ -､｝＼|:::::::::::::.|∨::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::.::::|::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.!::|.:.:.i 　 . : : ::|.: : : : : : : : : :.,'／. : : : : : : :i　/.: : : i:. : ;'
:::.:.:./{'´　,.ｨﾍ}:::::::::::.| !.:.:.:.:.:.:.:.:.:,: ﾍ::::::::::.:.::|:::::::.:.::::::::::.:.:.:.:.!.i.:.:.i　 . : : ::|.: : : : : : : : .::′. : : : : : : : :l /.: : : : i:. :;'
::.:./　＼/:::ﾚ'|:::::::::::.|｣:.:.: くヽ,／／:::::::::::::.::j〉:::::::::::::::.:::::::;;ﾉ |.:.:.i　 . : : ::!ゝ　＿____＿＿＿＿＿／l/.: : : : ::i.::,′＿
::/　　　|.::::::7!:::::::::::| !..:.:.:.>　く::::::::_;. r＜]　＼::::::::.:.:.:. /―|.:.:.j　 . :ヽ├―――――――――┤.: : : : : !〈ー――

　　　　　　　　　　　　　　私につれないあの人が、私を思ってくれますようにと、初瀬の観音様にお祈りしたのに、

　　　　　　　　　　　　　　初瀬の山おろしよ、お前のように「もっと冷たくなれ」とは祈らなかったのに。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫倉百人一首

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　四十話。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｻﾈｶﾀｱｿﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第五十一首　詠み人：藤原 実方朝臣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かくとだに　えやはいぶきの　さしも草

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さしも知らじな　燃ゆる思ひを
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

※関連設定：>>133-140　十二話（六十五首）
　　　　 　 　 ：>>286-294　二十三話（二十五首）
　　　　 　 　 ：>>404-411　三十二話（九十八首）

　　　　　　　　　　 _____ 　　_, -----　､
　　　　　　　r‐-r/　　/- '",, ｀ﾞ''" '''''　 ｀ ヽ､
　　　　　　 ﾉヽ　/ ). ∧／ 　　　　　 ヽ　　　 ｀ヽ,
　　　　　 （_　 ＞ﾉノ ./　　　　　l l 　　｝　　　　　ヽ
　　　　　 <__/ ./｛ ｀/　　 /　　　! !　　｝ }　　 }　　ﾊ
　　　　　　/__ ｛／./　　　l l.　　 l l　___}_,}____　}　　 ｝
　　　　　　ゝ ｝-- ｛.　 l　 l l,　'"´￣　　　 　.__ヽ､　ﾉ
.　　　　　　/ ヽ　　{　　l／----- ､　　 r'"二,,_ .l {´
　　　　　　ゝ__ {　　> ./　.,xr‐‐､､　　 　/{___jノ .l {
　　　　　　　}､_{　　 _｛ 　ゝゝ-‐'"　　　 　 　　　}.ﾊ
　　　　　　　ヽ ゝ. /rz{　　　　　　　　　｝　　　　} {{
　　　　　　　　ヽ｛.ヽヽﾊ　　　　　 　　____,,　　 ./　}｝　　　……この歌は凄いぞ。
　　　　　　　　　｀¨¨｀ゝ.ヽ.　　　　 ￣　　　　ノ　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　 ヽ　｀ヽ ､ _　　　　 , イ　　　　　　　　　　前に教えた歌を上回ろうか、という凝り様だ。
　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ-､ . ｀ﾞ '''''"　 .l
　　　　　　　　　 　 , - ､__,ノ‐､_｀''‐-- ,,__,ノ｛　__　　　　　　　　「かくとだに」は、「こんなふうに」でよいのだが……
　　　　　　, --､'"´- ,r-､＼　　｀ ‐　､______ノ､_　 ｀ヽ､ _
　　　　　 ヽ_,,ノ'''"`‐' ¨-､｀ ＼　　　　　　　　　 ｀ ‐ヽヽ'"ヽ　　　順番にいくぞ、しっかりついてこい。
.　　　　　／::::::／::::::/::::::ヽ ｀ヽ＼　　　　　　　　　　 l　｝‐ ｝_
　　　　/:::::::／::::::::::/::::::::::::｀'ﾍ_r‐､`-　,,,,_,,,,,,,,,_　　　 j-‐‐｛ヽヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＿　_............._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨｼﾝ''" 　¨¨　ヽ、ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　〈;;ﾒ´　　,,.　ｨ ｊ!　 ヽ__,>、
　　えやはいぶきのさしも草、は二つに分かれる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　i .i ./| .ｆ.ｊ .ｊi .|i　ﾚ//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　.i k‐ﾄLｊ〈 ﾑ-ﾋ_.ｊV//ｊ
　　えやはいふ─────────→「できません、言う事は」と倒置法。　　　　　　　　ﾄ| | i「じ>: : :.く.じ.' ﾘレ′
　　　　　　いぶきの　さしも草───→「伊吹山のも草」　　　　　　　　　　　　　　.　ヾ、　　　八.　　ｔ‐‐ィ　ｒﾂ′
　　　　　　　　.└───┤　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼､_　{{　＞-.｀.-.'.＜!　　　ﾜｶﾙｶﾅ？
　　　　　　　　　　　　　　│序詞　　　　　　　　　..┌→「火」の掛詞　　　　　　　　　　　　 ゞ!i:ﾄ､__ノﾉ::ﾉ凡ｆ::'.;:';ヽ
　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　l l:l:::::::::::.（!::::!::::i;ﾊ';';::ｊ、
　　　　　　　　　　　　　さしも知らじな　燃ゆる思ひを　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヾヾ:::::::::ﾉi:::i::::儿_〉:::::ﾍ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　ヾ ｙ'´::〈;:ｨ:､ｨ:乂;::::::::::ﾊ
　　※「さしも草」「燃ゆる」「火」は縁語　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./::;;:::::::,i::i::.i､ヾ｀ﾄャ=彳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/:'´::::,,ノ.ﾊヾヽヾヽヾﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊﾞ,ｒ:::::ﾉﾉ"::::',::ﾍ::ゝヾヽ.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ::,､シ::::;､:::::`:､`ｰ､ヽ､八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.イ:::::彡"`''´::::`ｰ´"~ﾍ､`ｰ.ニ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ''''''"ｰ---‐--‐--ｰ‐ ｰ.＝---‐′



　　　　　　|:|.:.:.:.:.:.:|.:.い:⊥ |.:ﾊ: | l:| 　 |:.|l.:.:|.:|.:.:l:.:|:|.:.|.:.:.:.:.:.:|.:|
　　　　　　|:|.:.:.:.:.:.:l从.:Ⅵ　l八ヾ､ﾘ　　ﾚⅣ ﾚ厂|从l:ｲ .:.:.:.:. |.:|
　　　　　　|:!:.:.:.:.:.:. l ≦ｱテ心　　　　　　ｨチﾃ心≧ |.:.:.:.:.:.:.|.:|
　　　　 　 |:|:._:.:.:.:.: |ﾍ {ﾄ-じﾉi}　　　　 　 {ﾄじ-ﾉi} ｲ､j .:.:.:.:.: |.:| _
　 　 　 　 |:f'　l＝.:キ　＝¨三　　　　　　 `三¨＝ ≠.:.:＝.:.:l:./　}
.　　 　 　 l :|　:|:==.:.'. ＝　==　　　　　　　 ==　＝/.:.:.== .:.:j/　/_　　　　　　喋ってるはずなのに説明が難しいのは
　　　　／|.:.|　:|:.＝:.キ ＝　==　　 j:.　　　 ==　≠.:.:==.:.:.=/　/　｀ヽ
.　　　/　 l:._|　:'.:.:/＾7:ﾍ.　 　 t――――ｧ　　 ｲ.:.:./.:｢｀ｌ:./　/ 　 　 }　　　　何故でありんすかの？
　　r-ﾄrｰ｢　}　∨　,' :. :. ヽ､　`ー―‐一'　 イ〃.:./.:.:|　ﾚ′/'＾ﾄ､　_j
　　{　`!　{　｛　/　│:.:.:.: ',　| ＞　 __.　＜ |∨.:.:./.:.:.:.|　.}　/　/　}'´ ）　　　　ま、直訳してみるでありんすよ。
　　`ﾄ､{　ﾍ　}./ 　 .|.:.:.:.:.:.:∨　　　　　　　　/.:.:./.:.:.:.:.l　 {　{. /　/tイ
　　　l　＼ﾉじ′ 　:|.:.:.:.:.:.:.:.'.　＼　　　／ ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.: | 　 ヾ:Jじ'´ j/
.　 　 |　　 ｛ 　　　 j.:.:.:.:.:.:.:.:l　　　　 　 　 l.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.{　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -::::, ‐:::::::ヽ　,　-‐- ‐　　ヽ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,, -':l｀‐‐、:::::,　'" ,　'　　　 ヽ｀ヽ､｀ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　)::::::::l::::::::::／ -‐‐‐-　､　､　　 ヽ　> Ｌ_',　　　　　　……と言っても、それでは更に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／/／/ ´/　　　 ヽ　｀ヽ｀ヽ､　Ｙ ﾊ　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヽl:::::/　　 /　　　　　　　ヽ　_,>ノハヽ ｝　　　　　わけが分からなくなってしまう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｌ/　　　l　　　　　ヽ　　 ヽ彡// l l Ｙ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　l　　l　 l　 l　l　ヽ　 　 ヾ ｲ ヽ‐<　　　　　　「かくとだに」＝こんなふうに
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽヽ　 ヽ　｀ヽヽ､__,, -‐‐- l ﾄ‐く/
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽﾊ-‐'''"´　 　 , -‐'''う　l l　 ﾉ　　　　　　　「えやはいふ」＝できません、言う事は
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ´￣｀ﾉ 　 　　"" 　l l ノ
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ" 丶　 　　　　　　ｲヽ　　　　　　　　「いぶきの　さしもぐさ」＝伊吹山の
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -,　　　ヽ　　ゞニフ　　, '　ﾚﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（名産である）も草
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　',　'　　　　　 ＞ ､ _　 　／,､'｀人　　　　＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　,　',　'　　　　　　　_,ノ─‐ ｀´'｀´ '´::::::人__,　'´　＿ヽ　　　　「さしも知らじな」＝これほどまでとは、
.　　　　　　　　　　　　　　 ,　',　'　　　　　 　 , -/　,　‐ 'ゝ;::::::::;::::- ´ 　 /, ィ ´,､,､,､｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　ご存知ないでしょう
.　　　　　　　　　　　　,　',　'　　　　　　　 .／ ,' l /　,､　　　,　-,　 　 _ノ ｲ_ノ｀'ヽ::::::::ヽ:ヽ
　　　r‐ v‐ ､._　　,　',　'　　　　　　　　,　':;;::::ヽ ＼ /　r‐ｧ´　 /‐''´, ィ´_「:::::::::::::ヽ::::::::l::;'　　　「燃ゆる思ひを」＝燃えるような
　　　ヽ　ヽ-､ ,｀', ､'　　　　　　　　　/::::/::::::／＞-'-‐' ,'｀ ‐- '´´´,､r'/::ll:::::::::::::::::ll::::::/<　　　　　　　　　　　　　　　　　　　思いを。
　 ,､　 !　/ 　l,､'　　｀ヽ　　　　　　_ノ--l:::／／::::＼/:::,',　-‐/´｀´｀::ヽゝ､ヽ;;:::::::::ノ- ':::ヽヽ
.く　 )-‐/　 /　) __　　 ',　　 　 /::;;::-‐::::l:::::ll::::::::::::ll::::::::::::::::ll::::::::::::::::::l:::::/:::/｀ ´::::ヽ::::::::ヽl
　 ｀ヽ'´｀｀ (　r'´　)　　 ﾄ、　 /::/:::::::::::::::',:::ヽ:::::::::::l:::::::::::::::::ll::::::::::::::ノ::::l:::::ll:::::::::::::::::ll::::::::/
　　　　　　　｀ ー-r‐'　 l ヽ　l::l::::::::::::::::/:::ヽ;;ヽ;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;ヽ-‐'´/:::::∧::::l::::::::::::::::/;;;／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　　 /　 ヽ　 _,,,,,ゝ-‐== ､-‐‐､-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ_,,-'"､__, ‐"- ゝ‐"´｀ﾞ ヽ､｀ヽ､ヽ<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｝ ヽ, '"´　　 ´｀ヽ ‐- ､　ヽ､ ヽ ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ　　　/　/　　　　ヽ｀ヽ　ヽ ﾉヽ､｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / /　〃 ./　l　　l　　ヽ　ヽ彡ﾉ}　>,
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛　{　｛{　.il　 l　　li　　l l彡シﾉl lヽﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀- r,--､__,　ヽ＿____-リヾ彡 lﾘノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',ｱT ｡､　　 r‐r‐｡`ヽ } /_ﾘﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',｀ー'ﾉ　　　‐--'｀　ﾉﾉ　｝　　　　　　ここで、訳者の……
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l"" ヽ　　 """"　｛｛_,ノ
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ､　　ヽ　 ヽ--v､　　u ﾉ,｛_　　　　　　　　センスも問われる……のだが……
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　'", '"　　　｀ ､ ￣｀´ _, ‐´-'"ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,　',"'".　　　　　　 _, ｀ ='"-‐^-‐':::::::}､　 , -─‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　 , ,'" '"　　　　　　 _,,／ _, -‐{,￣:::::;;;; -' 　 ７_,r､‐'´￣}ゝ､
　　　　　　　　　　　　　,, ,'"'"　　　　　　　 ／E{ ／,､_　　｀,二,　　　_,//l__/-'^~´｀ヽ::ヽ
　　　　r-､r-､_　　 ,, ,'"'"　　　　　　　 ,.-'";::::{_>､ヽ} _>-<_　 }-‐'二ｨ<_r'::::::::::::ヽ::::::ヽ::）
.　　　　l　 l_,､ _,, ,'"'"　　　　　　　　 /::／:::::／ヽ_/ -‐Yゝ-､_{_}､_}_r':{::ll:::::::::::::::::}}::::::ノ､
　 　_,_　l　/　.}､'" 　 ＼　　　　　 , ┴ {{::／／:::ヽ､／/_, -ll:::::::::::::::ヽゞヽ_:::::::::::ﾉ-''"ヽ､）
　 <　 )- /　/　 ）__　 　l　　　 ／;;=-::::::{::::{{::::::::::::{{::::::::::::::ll:::::::::::::::::}:::::/::/￣´:::ヽ:::::::::::{
　　｀´-‐'｀'''l_　r'" ,）　　|ヽ 　 |://:::::::::::::}::::ヽ::::::::::{::::::::::::::::{{:::::::::::::ノ:::: {:::ll:::::::::::::::::ll::::::::ﾉ
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　　　　, ⌒ﾊ 　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、　　. 。
　　　 j:::::::::ヽ ,ﾍ^ ⌒　Ｙ ⌒ヽ/ .::::::::i
　　　ﾉ:::::::::j（ﾉ ..::::....::::..:::: ::. .ヾ)':::::::::::i
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　　　 Yyﾉ ﾉ :ﾉ...:ﾉ　ノ　　ヽ ::::::） ﾙﾘﾉ　　Zz,,,,
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.　　　　　/ﾊ::::ﾊ 　,, 　r‐ｧ＿ﾘ） )`,
￣￣￣ (￣￣￣￣￣)￣￣￣￣) ￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　旦




　　　　　　 　 ＿　----------　､
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　　 ( r─ ﾐ__/: : : : ヽ :ヽ: :ヽ::ヽ: : ヽ:ヽ
　　「(/ ひヽ |: :l : : ヽ:ヽ__ゝ__ゝ__ゝゝヽニ二三
　　ﾊゝーノﾉ|: : lヽ｀ヽ／　´｀ヽ _　｀ヽ__三ー二
　 (彡ミ三三ヽヽ ゝノヽ--/￣ ,　　　 ｀|￣￣￣
　　ゝ: :/⌒ヽ;::>　ﾐ }　　...|　 /!　　　　 |　　　∑ｶﾞｰﾝ
　　 ゝ::l　ｄ　>::>　 _}｀ー‐し'ゝL _　　　|
　　　ゝヽ、_, >::>　,ﾍｒ--‐‐'´}　　　 ;ーL＿＿＿
　　　　　 ゝ-ゝゝ　ノ｀ヾ:::-‐'ーｒ‐'"＝＝-ニ二
　　　　　　　　 ｀ r‐----- r‐'"　 　 - ニ二三
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　　　 /:::::::::::::::::ヽ--------ヽ:::::::ヽ
　　　ゝ::::::::::::::::::::ヽ　l＞O＜l ﾉ::::::::ﾉ



　　　　　　￣二＝-=、　　　　　 ヽ-=.,,,_
　　　　　　　　　　　　 ',｀　､　　　　ヽ　　　''-,.,_
　　　　　　　　　　　　',,.=‐ミ　　　 　 ﾍ　　　,'　,ﾐ
　　　　　　　　　 _,.　'　　　　　　　　　 ﾍ_ニ-'"
　　　_ニ -‐= '　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
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　 /　　　/　　|　　/　　/|　|　　|　　|　|　|
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　|　　　 ∥　| | /　| /　 | | ﾚｿ|　/ ﾚ　| /
　　　　　| |　|_ﾚ‐'´ﾘ　　 ｿ,.イ7 ｿ　　　ｿ
　　　　　|'´~_,. -‐'l"　 　 lﾋﾉ/ |
　　　　　| く （ﾟ_ ;:ﾉ　　 　 ', /　|　　　　聞いておいて、爆睡でありんすか……
　　　　　|　　　　　　　　 ／　｜
　　　　　|　　　　 　 ,.. ／　　 /
　　　　　| ｀ ‐　 __'´／|　 　 /

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｻﾈｶﾀｱｿﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第五十一首　詠み人：藤原 実方朝臣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かくとだに　えやはいぶきの　さしも草

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さしも知らじな　燃ゆる思ひを
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l|＿＿ 　 ＼＿　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｢l| 　 ＿＞≦_／｀ ＜｀ ＜ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 Ⅵ￣／〃　　 ｀ヽ､　 ＼∧＼〉ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ_/　〃 　 l 　 　 ヽ　 /　|　∧丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |　||　　 |ｌ 　 ｌ　　∨　/ / / 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |　||　　 || 　 |l　　 l／ /∨/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 丁_≧'"┴｀ゞ|Ｌ_　_|,.イ / 〉〉　　　　　　ﾊﾞﾄﾗ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ⅵ｡Ｌ;〉　　ｲ丁;ヽ` | |/ //　　　　　　　戦人ァ……
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | , ,　ﾉ　　 ｀¨u'′//｀Ｙ´
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _　 　 　 ヽ　 ｀､＿_　' '　 〈〈_／　　　　　　　　　もう妾の手に負えねぇ……
　　　　　　　　　　　　　　　／'′　 　 　 ＼　Ｌ ﾆ)　　／〉〉
　　　　　　　　　　　　　 ／'′　　　　　　　 ＼_　-=彡'´∧ 　 　 ＿_　　　　　相手するのイヤだよォ……
　　　　　　　　　　 　 ／'′　　 　 　 　 ＿／ _｣ﾐ三彡'´　 ＼／　＿≧=､
　　　　　　　 　 　 ／'′　　 　 　 __／/_/　/＼　／￣〉 　 //_／:》: :《 : lﾄ､
　 　 ｒ‐､　　　　／'′　　 　 　 ／≫. :＼〉〈＿_〇＿_/＿_//_/: : l|: : :l|: :l|.:|
　 　 l　 ト-、／'′ 　 　 　 　 /.:〃: : : ／／　/|　〈＿＿／／.: : .l|: : :l|: :Ⅳ
　__　|　/｀Ｙ⌒ヽ、　　　 　 　 |: :l| : :／〃＼〃 |／〃　　 Ⅵヽ_;_;_》;_;《;_;ﾉ.:ヽ
《丿〉｀〈　/　〉__　ヽ、　　　／:≫≪《 　l|　　l|　 　 l|　　　　||　/ :〃: : :l| : : : l
〝- '´　〈　/　丿 　 ﾄ､　 / :〃: : :》∧　》,　 》,　　 》,　　 ,〃 /|: :l| : : 〃: : :丿
　　 　 　 ｀ｰ┬、　　|「:＼!_《 : : :〃: : |个┬‐┬‐┬┬‐个 /　＼》;_;_《_;_;／
　　 　 　 　 ｣　| 　 /|| : : . . ≫≪;_;_;丿 !: :|: : || : :|: :l|: : :| /　／. : : : : : ∧
　　　 　 　 ｢＼|　/__|| : : : : : . l|＝'´　　|: :|: : || : :|: :l|: : :|〈￣ ＼: : : : : : .∧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このとおり出来ません、あなたに好きだということさえも。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だから、伊吹山のも草ではないが、あなたは知らないでしょうね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こんなにも私の思いが燃えていることは。