休憩に入り、タオルで汗を拭う百枝の下に、１人の人物が駆け寄ってくる


　　　　　　　　　　　i　　　　　　i　　i!　ヽ、 _ノ
　　　　　　　　　　　'i　　　　　 'i. 　 i!::::::::｀i
　　　　　　　　　　　 i　　　　　 |　　 ヽ、..::i
　　　　　　　　　　　 ゝ　　　　 ,i　　　　ー'
　　　　　　　　　　　 ｀i----―,'、
　　　　　　　　　　　　ﾉ:::::::::..... .i!i
　　　　　　　　　　　/　　　　　//
　　　　　 　 　 　　i'　　　　 _//
　　　　　　　　　　 i｀―---'_/
　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　 ┏┓　　　　┏┓　　　　┏┓
　　　　　　　　　　 　┣┫　　　　┣┫　　　　┣┫
.　 　 　 　 　 　 　 　 　┃　ッ 　 　 ┃ ッ　 　 　┃ッ　・・・・・ ・ ・　　・

ダディ・クール
入団５年目、高卒でティーガースに入団したやる夫と同い年の選手である

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|　　よう、百枝サン
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|
　　＼　　｀ニニ´　 .::／
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あら、ダディ君じゃないの　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なんだか嬉しそうね　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　 　 　 　 ,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.
　　　　　　　 　 /: :　＼　　　　 　 ／::　 !
　　　　　　　　/::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!
　　　　　 　 /::::::　　　　　　　　 　 　 　 　 ',
　　　 　 　 ,'::::　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i　　　　ああ、ちょっといい事があってな
　　 　 　 .i::::　　　 　 '''''''　　　　 　　 ''''''' 　 !
　　 　 　 !:::. 　 　 　（●）　, 　　　､（●）､ 　!　　＋　遂に開幕１軍への挑戦権を確保できたぜ
　　　 　 |::::..　　 　 　 　　.　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　 　 l
　　 　 　 i;::::..　 　 　 　 　ﾉ　　　　　､ ゝ 　　!　　　　それもこれもあんたのおかげだ
　　　　 　 ':;::::...　　　　　　 ー‐ ==イ　　　　/.　　+
　　　 　 　 .＼:::::.....　　 　 　 ヽ--‐'　　　／　　　　 +
　　　　　　　　 ｀ゝ:::::........ 　　　　　......／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　相変わらず偉そうなんだから…　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でも、良かったわ　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１年間頑張った甲斐があったわね　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|　　　　　　そう言うなよ
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|　　　　　　これでも感謝してるんだ
　　＼　　｀ニニ´　 .::／
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼　　　　　あんたの指導の甲斐あって
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|　　　　　見事予定通りの展開で上から声が掛かったんだ
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|
　　＼　　｀ニニ´　 .::／　　　　　感謝してもしきれん
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だったらちょっとぐらい　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　私のことを敬いなさい　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まったく…　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

百枝に対してタメ口で話すダディ
体育会系ではありえないフランクな関係だが、百枝はやんわりと注意するだけだった
２人の間には確かな信頼関係が見てとれる

ダディと百枝が出会ったのはちょうど１年前のこの時期

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　 . |（●）,　　　､（●）､.:|　　　　 オープン戦は声が掛からず
　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.:::|
. 　 |.u　　 (＾ｰ＾>　 ｡.::::::|　　　　 あの女コーチの指導を受けろだなんて…
　　 ＼ ﾟ　　⌒´　u .:::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､.



　 /＼＿＿_／＼
／　／　　 　ヽ ::: ＼
|　（●）,　、（●）、　|
|　　,,ノ(、_, )ヽ、,, 　 |
|　　　,;‐＝‐ヽ 　 .:::::|
＼　　｀ニニ´　 .:::／　　　　　　NO THANK YOU
／｀ー‐--‐‐―´´＼
　 　　　　 .ｎ:n　　　 ｎｎ　　　　　　　　　　　まさに今の心境を表す言葉だ
　 　 　　nf|｜| 　　　| | |^!n
　 　 　　ｆ|.| | ∩　　∩|..| |.|
　 　 　　|: ::　 ! }　　{！ ::: :|
　 　　　 ヽ　　,イ 　　ヽ　 :イ

２人の初対面は、やる夫と百枝のそれとは比べ物にならないぐらいぎこちないものだった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今日からあなたの指導担当になった　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　育成コーチの百枝まりあです　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!
　 /＼＿＿_／＼
／　／　　 　ヽ ::: ＼
|　（●）,　、（●）、　|
|　　,,ノ(、_, )ヽ、,, 　 |
|　　　,;‐＝‐ヽ 　 .:::::|
＼　　｀ニニ´　 .:::／　　　　　　…よろしくお願いします
／｀ー‐--‐‐―´´＼
　 　　　　 .ｎ:n　　　 ｎｎ
　 　 　　nf|｜| 　　　| | |^!n
　 　 　　ｆ|.| | ∩　　∩|..| |.|
　 　 　　|: ::　 ! }　　{！ ::: :|
　 　　　 ヽ　　,イ 　　ヽ　 :イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（うわぁ…　歓迎されてないわね）　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　じゃ、早速現状の能力と　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　課題となる能力を一緒に考えましょう　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　　　　　　　　::＼
　　| 　 　 　 　 　 　 　 :|
　　|　　 ノ　　 ヽ､　　　:|　　　俺に足りないものねぇ…
　　|　（●）,　､ （●）､.:::|
　　＼　,,ノ(､_, )ヽ､,, ::／
　　／｀ー ｀ﾆﾆ´一''´ ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　えーっとポジションはセカンド…　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　じゃなくてサード、いえ昨年の秋にショートにコンバートされてるわね　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　　　　　　　　::＼　　すみませんねぇ
　　| 　 　 　 　 　 　 　 :|
　　|　　 ノ　　 ヽ､　　　:|　　自分中途半端な選手なんで
　　|　（●）,　､ （●）､.:::|
　　＼　,,ノ(､_, )ヽ､,, ::／　　ポジションが不安定なんすよ
　　／｀ー ｀ﾆﾆ´一''´ ＼

百枝は手元の資料を見ながら考える


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　（どういうこと？　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　これだけ短期間に頻繁なコンバート　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　普通なら中途半端になっちゃうから　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　こんな事はしないはず…）　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

ダディは数年前のドラフトで高校生ながら２位指名されるほど、期待されている選手だった
走・攻・守三拍子共に高校生離れした野球センス溢れる大型二塁手で、今年のドラ１のヒィッツカラルドほどではないにせよ注目されていた
ティーガースに入団してからは将来正二塁手になるのは間違いない、とまで期待されていたのだが…

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 /ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,.,./　　'i,
　　　　　　　　　　　　　く￣￣｀ﾞ""~￣　　/　　　 'i,　　））””
　　　　　　　　　　 　　 　ヽ､　　　　　　　　　　　 　i!　　））”
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,i'　　　　　　　　　　　 　'i,
　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　''''''　　 　''''''　 　 　i!
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 l　　　　　　 　 　 　 　 　 i!　　　　　　　くそ、高校じゃ誰にも負ける気がしなかったのに
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 'i,　（●）,　　　､（●）　 ,/'　.））””
　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ.,　,,ﾉ(､_, )ヽ､,, 　 ／'　　　　　””　 ここじゃあ、どの能力でも１番になれる気がしねぇ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''ｧ　-=ﾆ=-　　 "ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/i,　　　　　　　　　'i,
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　/,/'　　　　　　｀i, 　　'i,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i/'　　　　　　　　'i, 　　 'i,
　　　　　　　　　　　　　 　_,.,.／'　　　　　　　　　 'i, 　 　'i
　　　　　　 　 　 　 γ´￣　　　　　　　∩γ⌒ヽ　　ヽ,_,.ノ
　　　　　　　 　 　　 i,　　　　　　　_,.,,.,.ω,i'　　　　 ,i'
　　　　　　　　　　 　 ヽ.,＿.,., -''"　　　　,l,　　 　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.,__,.ノ

長打の打てるスイッチヒッターという売りは、金属バットというメッキを剥がされてしまい中途半端なモノに成り下がり
他の能力もプロ目線で見れば『そこそこ』という目立つものではなかった

更に不幸なことに…
ティーガースの正二塁手はチームの顔である不動のレギュラーであった



　　　　　　　,xﾊﾒﾐｿｿｨｯｲｨYｯｨ,
　　　 　 　 ﾐ::::::::::::::::::::::::::::::::::::'z
　　　　　　ﾒ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ
　　　 　 　 ﾐ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ
　　　　　　 r::::::::::::::::::::::::: ｨｪ :::ﾍ　　　　←　正二塁手
　　　　　　 {::::::::(⌒)-‐-(⌒) | ij
　　 　 　 　 ヽ::::::::::::::::l　　　XY
　　　　　　　　Y:::::　::::l ｱ　　ﾁ　　　　当時３６歳
　　　　　　　　 Y,, `==＝ｲY |
　　　　　　　　{:::::::Y,,,,,,,,,jj'' ,ｲ}
　 　 　 　 _／::::::::::::::::::::::=ｲ　}ミヽ
　-‐'''¨´:::::::::::::::::::::::::::::::::　 　/　　｀¨'''ｰ-

唯一の救いはアンデルセンが高齢であったことだが…



　　､;."｀;: .:..――――
　 ;":::::::::::::::::ヾ:::::::::::　　＼
:::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::　　;―i　よ か ろ う　小　童　―――
::::::::::::::::r^i::::::i^i_::::　　/　　l
::::::iヽ○i　l○〉:〉ヽ::::/ 　..:::|　　我 ら の 神 罰 の 味――――
:::::rヽ∨　 i_/ /／;ｲ　 .::::::::|
:::::::＼iJesus /／:::i　.::::::::::|　　　か み し め る が 良 い――――
::::::::::::>　 † :〈:::::::　|　.::::::::::|
:::::::::/＞―＜i ::: 　|.....::::::::::|
:::::::/:::::::::::::::/:::::::::::|　.:::::::::::|

この男は、衰えというものを全く感じさせないベテランであった

その結果、ダディは入団２年目の秋季キャンプに出場機会を求めて、レギュラーが故障して層が薄くなったサードへコンバートを志願した

　　　＼　　／
　　　　　Ｘ
　　　／ ∩.　　 /＼＿＿_／ヽ
　 ／　（ ⊂) .／''''''　　　'''''　　＼
　　　 　 |　|　|（●）,　　　､（●）､.:|
　　　　 ﾄニｨ |　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
　　　　 |　　i |　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　試合に出れるならどこでも守ってみせるぜ
　　　　 ＼　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
　　　　　　＼　　｀ー‐--‐‐―´
　　　　　　　　 ン　ゝ　''''''/＞ー､_
　　　　　　　　/　イ（　／　　/　　 ＼
　　　　　　　 /　　| Ｙ　 |　　/　入　　＼
　　　　　　　（　　 | ：､　|　 /　/　 ヽ、　l
　　　　　　　　j　　| ： 　 | /　ｨ　　　 |　 |
　　　　　　　 くV　ヽﾍ_　ヽ　　＼　　仁 」
　　　　　　　　　ー　〕　　　＼　 〉（⌒ノ
　　　　　　　　　　／　　ヽ　　　|
　　　　　　　　 ／　　／　',　　 |
　　　　　　　　/　　く　　　 ',_　 ヽ
　　　　　　　 /　　　|　　　　ヽ　　＼
　　　　　　　/＿＿」　　　　　 ﾕ　　 >,
　　　　　　「＿_,ｈ_」　　　　　く＿-,ｨ_/

コンバートは当人の生来の器用さと野球センス・猛特訓の甲斐あって無事成功
打撃には物足りなさが残るものの、そこそこ守備の上手い三塁手として翌年の１軍入りを目指すつもりだったのだが…

満を持して向かえた３年目の春季キャンプを迎えるはずだったが、予想外の展開に出鼻を挫かれてしまった
成績不振によるお家騒動からの監督交代によって、サードは強打者専用のポジションとして位置づけられてしまう
更にトレードで獲得した元スター選手と

　　　 ,／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
./::::::::::::::;ﾊ:/ゝ、::::::::::__:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
i::::::::::::;ﾍl　ヾ　　,,'ﾆ¨--¨ﾆ､‐-''´ヽ:::::::::::::::::!
!:::::::::::l　ﾞ　..:.:.:7"::;:::::＿::､ヾﾞi::　:.: ,.ヾ､:::::::ﾊ
::::::::::::iゝ. .:.:.:.:.l::::k'_´_o__ﾞ,!:::7　　7;:::＼ﾞ¨" ,!
::::::::::::lゝ　:.:.:.:.:ﾞー───‐'.:.:.:.: k'^ヽ、ﾞi　 ﾉ
::::::::::::ゝ　　:.:.ｧ''''":::￣￣::''ー'':::ヽ｀ﾟ'-ﾞ_,!　丿　　　　　俺の名を言ってみろ
:::::::::::::::〉.:.:　 ,ｎ　:.: rャ:.:.:: z､ :.:.:. .:.:ヾ､:.:.: ,ﾉ
l:::::::::::::i.:.:　　|:::| .:.:.|::::| :.: i:::::|.:.:.:.;ﾍ.:.:.:. ,ヾ }
|::::::::::::l:.:　　_レﾍ:.:.|:::::!:.:. !:::::|.:.:.:l:::;!.:.:./::i 〉
}::::::::::::!:.: ´　 .:　,}:.:|:::::l:.:. !::::::!.:.:,!::;!.:.:,'.:.:,',!
!::::::::::::l.:.:......:.:　/:l.::l::::::!:: l:::::::|:.:,!::;!:.:,'.:.:7.!　　　 ,ﾊ
:::::::::／i :.:.:　 ,/::::ゝl::::::し':::::::i.::,!::;!.:;',!:/　｀ー‐'"　}
:::／ 　 ｀ー､"::::::::::::::::::::::::::::::｀´:::ﾚ':!;/:.:.:.:......:.:　,/
:::l　:　 :　　:: ゞ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿゝ.;,;＿,,,,／
:;'　;　　:　　::　　｀ヽ、::::::::::::＿::::::::/　l
;　,'　　; :　　::　　　　￣￣:::: ,' ￣　;　i､

※２シーズン間レギュラーを守った後引退

超大物助っ人外国人が加入したことで一気にサードは激戦区と化してしまうのだった

　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ￤
　　　　　　　　　　　　　 ＼、__ﾄ.、
　　　　 　 　 　 　 ,､r=＝＝＞:.｀ヽ｀ヽﾄ、
　　　　 　 　 　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ）:.:.:i:.ﾚｰ-
　.　　　_＿,.､＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノヽ:.:.:ノ:.:.:⌒ヽ､
　　　　 　 ＞〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:ﾍVｲ:.:ﾍ:.:｀ヽ:.:.＼
　　　　 ／イ:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|ヾｲ.:.:.:.:.:ヾ:.ヽ:＼ゝ　　　　　早く来日してキャンプに参加しろ？　
　 　 ／ 〃:.〃:.:.:.: /:.:./:.:/:.i!:.:|:.!　 ∨:.:.:.:}:.:.:ﾍj
　　　　　/:.:./.:.:/:./:.:イj:.ﾘ:.八:.リ　　 j:i:.:.:.:.:ﾄ:.ヾヽ　　　　　　レギュラーシーズンが始まったら行きますって
　　　 　 !／:.:イ:./≧x､lハｊ _,,ﾘ≦二ｲ:j.:.:i:.:ハヽ＼_
　　 　 ノﾚ´ﾑ:ｲ∧ぐｾｵ}　　　 弋ダﾉｲ:.:.:ﾘ }｝ｿヾ
　　 　 　 　 |:.∧ﾊ　　　j　　　 　 ／イ:.:./ソ:/
　　 　 　 　 ﾚ' ﾘ八 　 く、　　　　　 /ｲ/ﾊ:.:/　　　　　　　　こんなに俺と球団側で意識の差があるとは思わなかった…！
　　　　　　 　 　ﾄ､:ﾍ　　､_ ＿ ,　　/ｲ 　 |｀ヾヽ
　　　　　　　　 ／ﾘ;;;;＼　 -　 　　′　　 !;;;;ｿ;｝}
　　　　　　 　///／;;;;;;;ﾍ..___..／　　/　　レｸ:ﾉ.:|

　　　　　　　　※神のお告げで退団

その結果、打力に物足りなさを感じるダディは１軍からお呼びが掛かることもなく
入団３年目の秋に二度目のコンバートを敢行する


　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| |
　　　　　　　　　　　／ -─'┴‐- 、
　　　　　　　 ミー‐'──-- ｎ--─`‐=彡
　　　　　　　　｀7'''T卞二フﾉ |弋'フ'ｉi丁´　　　　　ダディ君、ここは思い切って
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　　 ',　 　 || |
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　ﾉ,､,.〉　　|| |　　　　　　 衰えの見えるテッド君のポジションを狙ってみない？
.　　 　 　 　 ｰ‐|─|‐抂─ノ‐ｖ-､‐刊┼─
　 　 　 　 　 　 |　 | :| }　｀ヾ`ｰ''フ ｆ||｜
　 　 　 　 　 　 |　 | :| L　　´￣｀　｣||｜
　 　 　 　 　 　 Ｌ.⊥ﾉ＼＿__ｆｆｆ__／廴|
　　　　　　　／　　八　　 ヽ jｊii /　/　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　⌒　　　⌒　::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　（●）,　､ （●）､ ::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１軍狙えるならどこだって守ってみせます　　　　.　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　トＵＵ‐ｧ' 　 .:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀ニニ´　 .::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

ダディはまたも生来の器用さと野球センスを活かしてコンバートに成功
セカンド・サード・ショートの３つをそこそこ守れる万能内野手にジョブチェンジした



　　　　　　　　　　　　　　　+　　　　　　+
　　　ｍ ｎ　_∩　　　　　　　　　　+　　　　　　+　　∩_　ｎ ｍ
　　⊂二⌒　__）　　+　　/＼＿＿_／ヽ　+　　　　（　_⌒二⊃
　　　　　＼　＼　　　 ／''''''　　　'''''':::::::＼　　　　／　／
　　　 　　　＼　＼　　|（●）,　　　､（●）､.:|　　／　／　　　　　　　いやー、僕ちゃんって器用だね
　　　　　　　　＼　＼.|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::| ／　／
　　　 　　　　　　＼　 |　　 ´ﾄｪｪｪｲ｀　.:::::::|　 ／　　　　　　　　　　今回のコンバートもなんとかなっちゃたよ
　　　　　　　　　　　＼＼　　|,ｒ-ｒ-|　.:::::／／
　　　 　　　　　　　　　＼｀ｰ ｀ﾆﾆ´‐―´／
　　　　　　　　　　　　　/　・　　　　・　/

これでショートのポジション争いに参加できるようにはなったのだが…

レギュラー交代の時期を迎えたショートは超激戦区であった
長打力がない三塁手、アンデルセンに阻まれショートに活路を見出そうとする二塁手、そして、控えの遊撃手達…
レギュラーが衰えを見せつつあるこのポジションに選手達が一斉になだれ込む
その多くが内野を複数守れる選手達であった為、ダディとキャラがだだ被りであった

首脳陣が碇政権に代わり、横一線でスタートした入団４年目のキャンプをどんぐりーズの中で過ごすことになり、ダディはすっかり存在感を失ってしまう

　　　　　　　　ﾋｭﾝ　　　　　　↓どんぐりーズの皆様
　　　　　　　　　　　 ‘´　Λ＿Λ　　　 Λ＿Λ　　゛、 ﾋｭﾝ
　　　　　　　　　　〃〃 （ ´_ゝ｀ ）　　 （ ´_ゝ｀ ）ヾヾ
　　　　　ﾋｭﾝ　´ Λ＿ （　）　（ Λ＿Λ ）　（　）＿Λ　ヾ　　　　　やあダディ君、ようこそMob連合へ
　　　　　　　　　（ ´_ゝ｀ ）　　　（ ´_ゝ｀ ）　　（ ´_ゝ｀ ）　゛
　　　　　　　　　（　）　（　）＿Λ　）　（　Λ （　）　（　）　ﾋｭﾝ　　　君も今日から僕達の仲間だ
　　　　　　　　　　ヾヾ　（ ´_ゝ｀ ） ≡　|（ ´_ゝ｀ ） 　〃
　　　　　　　　　ヾ　　ヾ（　）　（　）ー （　）　（　）〃　∴　　　　　　Mobとして僕達と一緒に戦おう

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ　 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　::::::::::::::::＼　つ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　| 　,,-‐‐　 　‐‐-､ .:::|　わ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　|　 ､_(o)_,:　 _(o)_,　::|ぁぁ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　|　　　　::く　　　 　 .::|あぁ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 /( [三] )ヽ ::／ああ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ー‐--‐‐―´＼ぁあ

かつてのドラフト２位選手も、今や伸び悩みをみせる若手という微妙な立ち居地になっていた
４年目のキャンプは当然のごとく２軍で全日程を消化し、オープン戦にも呼ばれる気配もなかったダディ
そんな状態の彼に追い討ちを掛けるようにやってきたのが、トンでもない指示だった


　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| |
　　　　　　　　　　　／ -─'┴‐- 、
　　　　　　　 ミー‐'──-- ｎ--─`‐=彡
　　　　　　　　｀7'''T卞二フﾉ |弋'フ'ｉi丁´　　　　　君もまだまだ若いんだから焦らずに
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　　 ',　 　 || |　
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　ﾉ,､,.〉　　|| |　　　　　　この１年間は上を目指さずにみっちり鍛えていこう
.　　 　 　 　 ｰ‐|─|‐抂─ノ‐ｖ-､‐刊┼─
　 　 　 　 　 　 |　 | :| }　｀ヾ`ｰ''フ ｆ||｜
　 　 　 　 　 　 |　 | :| L　　´￣｀　｣||｜
　 　 　 　 　 　 Ｌ.⊥ﾉ＼＿__ｆｆｆ__／廴|
　　　　　　　／　　八　　 ヽ jｊii /　/　　＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／､-―'　ﾞ､ー- ::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　（○）,　、（○）、:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　は、はい…　　　　　　|　　,,ノ(、_, )ヽ、,,　:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 ,゛-=-'、 　 .:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　'´`.:::　 .::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ー‐--‐‐―´´＼

ダディはこの指示に対して不承不承従ったものの、内心穏やかではなかった
「１年間みっちり鍛える」　つまり現状では一軍の戦力たりえない
暗にそう言われているのと同義であるからだ

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／　　　　::::::::::::::::＼
　 . | 　,,-‐‐　 　‐‐-､ .:::|
　　|　 ､_(o)_,:　 _(o)_,　:::|　うわぁ……
. 　 |　　　　::く　　　 　 .::|
　　 ＼　 /( [三] )ヽ ::／
　　　／｀ー‐--‐‐―´＼
.
　＿|￣|＿ 　　　／/ヽ＼
　|　　　　　 '|／　/　ﾉ　　"´￣￣''''‐-...ノヽ
　|__|''￣!　　! 　 　/　　　　　　　　　　　　丶 |
　 　,‐´　.ノ''　　 /　 ,ｨ　　　　　　 　　　　　　＼
　　 ヽ-''"　　　7_／/　　　　　 　　　_／^　､　`､
┌───┐　　/ 　 　 　　　　　／ ､_(ｏ)_,;j ヽ|
｜┌─,　 .|　　/. 　 　　　　　　　 -　　　=-{_(ｏ)
└┘ ﾉ　ノ　　　|/　　 　　　　　,r' ／￣''''‐-..,＞
　　　/／　　　｛　　　　　　　　 i'　i 　　 ＿ 　　｀ヽ
　　　　　　　　　￣フ　 　　　　 i' l　　r'　,..二''ｧ ,ﾉ
　　　n　　　　　 ／ 彡 　　　　　 l　 /''"´　〈/ /
　　　ｌl　　　　　_ > .　 彡　　　 ;:　|　 !　　　　i　{
　　　ｌ|　　　 　　 ＼ l　彡l 　 　 ;. ｌ ｜ 　 　　|　!
　　　|ｌ　　　　 　ﾄー-.　　 !. 　　 ; |. | ,. -､,...､| :l
　　　ｌl　　　　　|彡　　　　 ｌ　 　 ; l　ｉ　　 i　 | l
　　　ｌｌ　　　　 iヾ 彡　　 　 l　 　;: ｌ ｜　　{　j {
　　　|ｌ　　　　 {　彡|. 　 　　 ゝ　 ;:i'　｀''''ｰ‐-'　}
.　ｎ.　ｎ.　ｎ　　l　彡　　　::.　　 ＼ ヽ､__ 　　　 ﾉ
　 |!　 |! 　|!　　 l彡|　　　 ::. 　 　　`ー-｀ニ''ﾌﾞ
　 o　 o 　o　 　l　　　　　 :.　　　　　　　　　|

そして、こうも思った
「今年中に芽が出なければ整理対象になる」と…
プロ野球チームには毎年のように新人選手が入ってくる
つまり、それと同じかそれ以上の人間がプロ野球選手を辞めているのだ


　 ∩∩　お　ま　え　ら　全　員　自　由　契　約　だ　！　　V∩
　 (7ヌ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（/ /
　/　/　　　　　　　　　　　　　　　　　∧＿∧　　 　 　 　 　 　｜｜
/　/　 ∧＿∧　　 　 ∧＿∧　　＿（´∀｀　） 　 ∧＿∧　　 ｜｜
＼ ＼（　´∀｀）―--（ ´∀｀ ）￣　　　　　　⌒ヽ（´∀｀　）　／／
　 ＼　　　　　　　／⌒　　　⌒￣ヽ2軍の主/~⌒　　　　⌒　/
　　 ｜　　　　　 |ｰ、　　　　　　/￣|　　　　/／`i　戦力外　/
　 　 ｜　故障　|　｜不祥事../　（ミ　　　ミ） 　｜　　　　｜
　　　｜　　　　｜　｜　　　　 | ／　　　　　　＼ ｜　　　　｜
　　　｜　　　　｜　　）　　　 ／　　　／＼　　　＼| 　 　 　 ヽ
　　　/　　　ノ　｜　/　　ヽ ヽ、＿／）　 （＼　　 　）　ゝ　　｜
　　 ｜　　｜　　|　/　　 /|　　 /　レ　　　＼`ー ' |　 ｜　 /

このままではそう遠くない未来に自分がクビになる番がやってくる、ダディはそう判断していた
高校時代は走・攻・守どれを取ってもチームで自分に適う奴はいなかった
だが、プロでは自分より優れた能力を持つ選手ゴロゴロいる
しかも二軍レベルでだ



　　　　　　　 ＿
　　　　　 　/　ｊｊｊｊ　　 　　　＿
　　　　　／　タ　　　 　 　{!!! _ ヽ､
　　　　,/　　ﾉ　　　　 　　　~ `､　 ＼
　　　　`､ 　`ヽ.　　∧＿∧　, ‐'` 　ﾉ
　　　　　＼　　`ヽ（´∀｀　）"　.ノ／　　　　　　　　恵まれた体格を持つ選手や
　　　　　　 ｀､ヽ.　　｀`Y"　 　r '
　　　　　　　　ｉ. ､ 　　￥　 　ﾉ　　　　　　　　　　　木製のバットでも柵越えを狙える選手に
　　　　　　　　`､.` -‐´;｀ー ｲ
　　　　　　　　 　 ｉ 彡　ｉ　ミ/
　　　　　　　　　　｝　　　　｛
　　　　　　　　 ／　 　　)　`＼
　　　　　　　 /　　　／ヽ、　　ヽ.
　　　　　　　/　　ノ　　　 ヽ.　 　）
　　　　　　　＼　 `ヽ　　 　{　 　ｆ
　　　　　　 　　＼　＼　　 |　　i
　　　　　　　　　ノ　　_>　 ｊ　　ｷ
　　　　　　　　く.,,_／~　　〈　 　`、
　　　　　　　　　　　　　　　`ー-‐'




　　　　　　　　　　　　　　　　　　- 、　　　- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,, -―　"⌒ヽ-、　　　ヽ　　　 ＼
　　　　　　　　　　　-=≡　,,-"　　　　　　　　i　ヽ　　　 ヽ　　ヽ.ヽ
　　　　　　　　 -=≡ 　 ／　　　　　　,,-ヽ　 .i　　i　　　　 i　　　i　ii
　　　　　　　-=≡　　 ./　／　　　 ／　　i　　|.i　 |　　 　　|　　　i　ii
　　　　　　-=≡　　　/ ./、Д , ）./　　　　 | '⌒／⌒)(_ヽ　 !　　　!　!!
　　　　　 -=≡ 　　　|　|/￣∨/　　　　 　゛ -/ /-⌒)　i 　　　　　　　　　トンでもなく足の速い選手など
　　　　　-=≡, ～⌒|　| ⌒l/ /　 　 　 　 　 |　| ヽ （ヽi　　
　　　　　-=≡ー-ヽ |　| |　| /　 　　　　　　.|　|　 し' （　　 　 　 　 i i
　　　　　-=≡　　 .／ノ|) 　|　　　　　　　　 |　|＿∧、_つ　　　　i　| i
　　　　　-=≡　　（__|　 |.|　.|　　　　　　　 /　| ´Д｀）　 　 　 　.i　i l
⌒ヽ　　　-=≡ 　　　!　 ヽ　＼　　　　　 /　　　　 / 　 　/　　/ //
　⌒ヽ　　 -=≡　　　ヽ　　＼　ヽ、　 　 /　　 　　/ 　 ／　 ／ .'
　　'"⌒ヽ　 -=≡　　　 ＼　　⌒ヽ⌒ン　 　　 ／　　 _,,-'' ,,-"
　　ヽ　　　ヽ、_-=≡　　 　 ＼　　　　　　　,, -"　_,, - '' - "
　　 　）__ノ⌒ 　　 -=≡　　　　゛ ー---- "

それは当然の事だった
彼らもまた、その年アマチュアの中でトップクラスの成績を残し、あるいは将来性を買われてプロでやっていけるだけの力があると判断された選手である
プロ野球選手というのは一軍二軍の区別なく、とんでもない野球エリート達なのだ
それは毎年自由契約になる選手達にも同じことが言える


　 ∩∩　お　ま　え　ら　全　員　自　由　契　約　だ　！　　V∩
　 (7ヌ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（/ /
　/　/　　　　　　　　　　　　　　　　　∧＿∧　　 　 　 　 　 　｜｜
/　/　 ∧＿∧　　 　 ∧＿∧　　＿（´∀｀　） 　 ∧＿∧　　 ｜｜
＼ ＼（　´∀｀）―--（ ´∀｀ ）￣　　　　　　⌒ヽ（´∀｀　）　／／
　 ＼　　　　　　　／⌒　　　⌒￣ヽ高校通算/~⌒　　　　⌒/
　　 ｜ドラフト |ｰ、　甲子園　/￣|　　　　/／`i　夜　の　/
　 　 ｜１　位　|　..｜優　勝../　（ミ　58　ミ） 　｜三冠王｜
　　　｜　　　　｜　｜　　　　 | ／　本塁打..＼ ｜　　　　｜
　　　｜　　　　｜　　）　　　 ／　　　／＼　　　＼| 　 　 　 ヽ
　　　/　　　ノ　｜　/　　ヽ ヽ、＿／）　 （＼　　 　）　ゝ　　｜
　　 ｜　　｜　　|　/　　 /|　　 /　レ　　　＼`ー ' |　 ｜　 /

ダディが自身の能力を鑑みるに、どの能力を取ってもプロの水準以上の能力を持っているのは間違いない
長打力こそ低いが、左右両打席で中々空振りしないバッティングが売りで、首脳陣からは器用な選手だとの評価を得ている




　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| |　　　　　　　　　　守備担当の私が言うのもなんだけど
　　　　　　　　　　　／ -─'┴‐- 、
　　　　　　　 ミー‐'──-- ｎ--─`‐=彡　　　ダディ君は打撃センスあると思うよ
　　　　　　　　｀7'''T卞二フﾉ |弋'フ'ｉi丁´
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　　 ',　 　 || |　　　　小技だってそれなりにこなせるから
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　ﾉ,､,.〉　　|| |
.　　 　 　 　 ｰ‐|─|‐抂─ノ‐ｖ-､‐刊┼─　　将来的には２番打者として活躍してくれると嬉しいな
　 　 　 　 　 　 |　 | :| }　｀ヾ`ｰ''フ ｆ||｜
　 　 　 　 　 　 |　 | :| L　　´￣｀　｣||｜
　 　 　 　 　 　 Ｌ.⊥ﾉ＼＿__ｆｆｆ__／廴|
　　　　　　　／　　八　　 ヽ jｊii /　/　　＼

足も全体で見れば「速め」という評価が下せるし、肩も「それなり」のものを持っている
守備だって名手とまではいかないが、「ソツのない」といった感じだ




　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| |
　　　　　　　　　　　／ -─'┴‐- 、　　　　　　　ダディ君は走塁・守備もいいよね
　　　　　　　 ミー‐'──-- ｎ--─`‐=彡
　　　　　　　　｀7'''T卞二フﾉ |弋'フ'ｉi丁´　　　　一軍でも十分やっていけるレベルだと思うよ
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　　 ',　 　 || |
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　ﾉ,､,.〉　　|| |　　　　　特に他の選手に勝るってものはないけど
.　　 　 　 　 ｰ‐|─|‐抂─ノ‐ｖ-､‐刊┼─
　 　 　 　 　 　 |　 | :| }　｀ヾ`ｰ''フ ｆ||｜　　　　どの能力を見ても不安はないかな
　 　 　 　 　 　 |　 | :| L　　´￣｀　｣||｜
　 　 　 　 　 　 Ｌ.⊥ﾉ＼＿__ｆｆｆ__／廴|　　　　器用な子だからコンバートも平気でこなしちゃうし
　　　　　　　／　　八　　 ヽ jｊii /　/　　＼

ヴァンプコーチからは概ね高評価を得ていたダディだが、自身に対する評価は限りなく低い
ダディはプロに入り数年過ごす中で、一つ分かったことがある

プロで活躍するのは本物の天才か、何がしかの才能が頭抜けた選手達だということを


＜本物の天才＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　,. -‐- 、
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /. :/:} : ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　{: :/|ｲA: :}　　　　　　　　　　　　←　某球団の若き４番打者
　　　　　　　　　　　　　 　 　 V､r┐ 〉ﾊ‐-: .､__
　　　　　　　　　　　　　　　／: /辷ｲ/. :〉:､: : :-‐ﾍ､__
　　　　＿　 ＿ .. 　-‐　'"´. : /_:V{ト{: く: : :｀ト､: : : : :_＞ ､_
　　　/三　 {: : : : : : : : : :_ .. -ﾍ: ヾV. :/. : : /: ﾊ｀ 丶 、 : : : /7￢ァ
　　　｀ア -┴…￢　"¨´　 　 　＼{: :/: : ／. : : }ﾍ、　 ｀ ー┴ﾍ　 三}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V_:／. : : : : : : ﾊ　　　　　　 ｀￣´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}､: : : : : : : : :i: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:｀:ー : : : : : }: :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |: : : : : : : : :/_ノ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ト- ､:_:_: :イ´
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | : : : : : : /
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | : : : : : ∧
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | : : : : /. : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { : : : 厶_: ー‐ｰ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼: : : : :｀ヽ､: : ハ




＜ディフェンスに定評のありすぎる＞

　　　　, -────-､
　　　（:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　|::rｰ───イ::::::!
　　　　l::l,,,,,,,,　i.,,,,,,,〈:::::;」　　　　　　　　　←　８年連続二塁ゴールデングラブ賞
　　 　 ﾊｌ `ﾟﾗ! ヾﾟ"　Ｙ９）
　　 　 ヽｌ　　`_' 　 u ｈ'　　　　　　　　　　　通算打率．244　HR32
　　　　　ヽ、´￣｀ ／ ヽ
　　　　　 ＿〕ー '´ /　　}Ｔｰｎ- ､
　　 , ｲ「::::::l l　　　　　 //::::::l ｌ　 ヽ
　 /　 l l::::::l l‐- 　 -‐7/:::::::::l l　　 ',
　,′　l l::::::ヽヽ､＿_ノ/::::::::::::l l 　　 l
　!　　 l l::::::::::` ー一'::::::::陵:::l l　　　l
　l　 　 ! !::::::::::::::::::::::::::::::::南:::Y　　　l

ダディは考える
自分は天才でもないし、何か他の選手よりも秀でた能力を持っているわけでもない

打撃は器用さが売りだが、それほど大したことはない
守備は複数のポジションをこなせるものの、中の上程度
足や肩は平均以上だが、目立つほどではない


　　　　 /＼＿＿_／ヽ　 　ヽ　　　　　　　ダディ・クール　　右投両打
　　　／　　　　::::::::::::::::＼　つ
　　　| 　,,-‐‐　 　‐‐-､ .:::|　わ　　　　　　打撃：目立たない
　　　|　 ､_(o)_,:　 _(o)_,　::|ぁぁ　　　　　　走力：それなり
　　　|　　　　::く　　　 　 .::|あぁ　　　　　　肩力：そこそこ
　　　＼　 /( [三] )ヽ ::／ああ　　　　　　守備：まあまあ
　　　 ／｀ー‐--‐‐―´＼ぁあ　　　　　　評価：全てにおいて平均以上だがイチオシの能力はない

器用貧乏
プロの世界で数年過ごした今なら分かる
これほど自分に似合う言葉が他にないと尽々思う

高校時代ならどれもこれもTOPレベルで、コンバートされてもどのポジションもそれなりにこなしてしまう
そんな自身の能力に対して、かつてはこんな馬鹿なことも考えたことがある


　　　　　　　|
　　 　＼　　__　　／
　　 　＿　（ｍ）　＿
　　 　　　　|ミ|
　　 　／ 　.｀´　 ＼
　　　　＿＿＿_＿＿
　　 ／''''''　　　'''''':::::::＼
.　　| 　（｡）,　　　､（ﾟ）､ .:|　　　俺って天才なんじゃね？
.　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
.　　| 　 ｀ ､＿__, ' 　　.::::|
　　 ＼ 　ｍj |　　　.:::／
　　 ／｀〈＿_ﾉ-‐‐一´＼

だが、待っていたのは非情な現実だった
猛者達がひしめくプロの世界では、高校トップレベルの能力など大したことはない
そこからどれだけ成長できるかが、プロで活躍できるかどうかの指針になるのにダディのそれは伸び悩んだ



　どれもこれもある一定を越えると頭打ちになりやがる！

　　　　　　　　　　　 　　　/＼＿＿_／ヽ：
　　　　　　　　 　 　 　 ／''''''　　　'''''':::::::＼：
　　　　　　　　　　　 .：| （◯）,　　 ､（◯）､.::|：
　　　　　　　　　　　 .：|　" ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,"".:::|：
　　　　　　　　　　　 .：|　　 ´,rｪｪｪ､｀　.::::::::|：
　　　　　　　　　　　 …＼　　|,ｒ-ｒ-|　 .::::／…
　　 　 　 　 　： __. ィｲ´ .|ヾ　｀ﾆﾆ´　 ／　 `i,r-- ､_
　　　　　 〃／　'" !:!　　|:|　:､　. .:　〃　 i // ｀　　 ヽ ：
　　　　　： /　　 　 |:|　　ヾ,､｀　　´//　ヽ　!:!　　　　　'､｀
　　　　：　!　 　 　 .|:|　//　ヾ＝=' '　 i　 i' |:|　 　 　 　 ', ：
　　　　：｜　　　 .://　i l　　　　　　/ __　, .|:|::.. 　 　 　 | ：
　： とﾆとヾ_-‐'　 ∨　i l　 '　　　　 l　|く 天　 ヾ,-､＿: : : .ヽ：
　：と二ヽ`　 ヽ､_::{:!　.ｌ l　　　　　　!　|'　夂__ -'_,ド ヽ､_}-､_:ヽ：

器用貧乏
自らをそう判断したダディは、ヴァンプコーチから伝えられた「１年間みっちり鍛える」を最後のチャンスと受け取った
（実際は翌年が駄目なら整理対象の予定だったらしいが…）

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／:::::::　　　　　　 ＼
　　.|:::.　　 ''''''　　　''''''　 |
　　.|::::.,（一）,　　　､（一）|　　　（ふぅ、今年が勝負の年になるのかねぇ
　　.|::::::: ノ　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　|
　　 ＼:::::.ヽ｀-=ﾆ=- '　／　　　　芽が出なきゃ契約更改は…）
　　/ 　 ｀一｀ﾆﾆ´-,ｰ´

だが、その後すぐに衝撃的な事実を知らされる


　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| |
　　　　　　　　　　　／ -─'┴‐- 、
　　　　　　　 ミー‐'──-- ｎ--─`‐=彡
　　　　　　　　｀7'''T卞二フﾉ |弋'フ'ｉi丁´
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　　 ',　 　 || |　　　　育成コーチの百枝君を専任でつけるから
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　ﾉ,､,.〉　　|| |
.　　 　 　 　 ｰ‐|─|‐抂─ノ‐ｖ-､‐刊┼─　　しっかりがんばってね、期待してるよ
　 　 　 　 　 　 |　 | :| }　｀ヾ`ｰ''フ ｆ||｜
　 　 　 　 　 　 |　 | :| L　　´￣｀　｣||｜
　 　 　 　 　 　 Ｌ.⊥ﾉ＼＿__ｆｆｆ__／廴|
　　　　　　　／　　八　　 ヽ jｊii /　/　　＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. |（◎）,　　　､（◎）､.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　え？　　　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　 |　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ、ﾆ__ ーーノﾞ

二軍育成コーチに就任した百枝まりあ
キャンプインの時に挨拶していたので一応存在は知っていたが、会話など碌に交わしたこともないし、場違い甚だしい存在だと思っている

ノックを打つ姿やバッティングピッチャーをこなす様はただの美人の姉ちゃんではない
むしろ女の身であれだけやれるのなら大したものだ
チームスタッフとして練習のサポートをしてくれる存在としてなら目の保養的にも大歓迎だ

　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
.　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : ::∧
　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : :;〃: : : : : :iヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　 　 　 　,': : : : : : : : : : : : : : j　i: : : : : : :i　ヽ: : : ヽ: : : : : : ;: : : : : :i
. 　 　 　 ,'ｲ: : : : : : : : : : : ,　j　 i:､: : : ヾ: i　 ,,ヽﾊ｀､ヾ､: : : i: : : : : ::i　　　　二軍育成コーチに就任した百枝です
　　　　　i: ': : ,:: :: ::::: :: :: ,'| ﾉiｰ-i､_､ﾍ: ∧i''´　 ,,=＝＝i､　 i´ヽ: : : :i
　　　　　| | ;;'i: : : : i: i: : i |z=＝､i､｀ヽ丶､ヾ.ｨ彳o ﾟj　　 ヽ i　　 〉: : :i　　　皆さんの力になれるよう頑張りますので
　　　　　i ',;;i i: : : : i: i ､:K 　（o ﾟ）ヾ 　|　ゞ　　　ｰ‐--'´　ﾚソ' /: : : i
　　　　　　i;;i .i: : : : |ヽ',ﾍ　､__,,　' ´ 　 |　　　　　　　　　　　'　ﾉ: : : : i　　　よろしくお願いします
　　　　　　｀､ ｀'､ﾊﾍ| f '､　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　r''´: : : : : :i
　　　　　　　　　|: : : ヽ｀､',　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,': : : : : : : : :i
　　　　　　　　　|: : : : 丶__',　　　　　　　　 　 _,,ｨ　 　 　 ': : : : : : : : : :i
　 　 　 　 　 　 j: : : : : : : : :'､　　　 ---一''''ﾞ´　　　　 ｲ: : : : : : : : : : :i
　　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : :｀ ､　　　　 -ｰ　　　　／ ': : : : : : : : : : : :i
.　　　　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : ｀ﾄ　､　　　　　 ／　 ': : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : |　 　｀ ｰ　'' ´　　 ,': : : : : : : : : : : : : i
.　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : |　　 　 　 　 　 　 ; : : : : : : : : : : : : : :i
　　　　　 /: : : : : : : : : : ,,/￣￣￣￣￣￣彡ヽ　　;丶ｰ､: : : : : : : : : : : :i
.　 　 　 /: : : : : : : : _／　　　　　　　　　i´/　| | 　 l　|　　ヽ,: : : : : : : : : :i
　　 　 /: : : : : : : : ｲk　　　　　　　　　　 || 　 | |　　i .|　　　}: : : : : : : : : : i

だが、彼女がコーチとして存在しているのは有り得ないと考えている
ぶっちゃけプロの経験もないどころか女なんかに指導してもらう謂れはない
女性差別かもしれないが、それが偽りのないダディの心境である

ここは屈強な男達ですら生きていくのが厳しいプロの世界なのだ
他の選手達の多くも同じ考えを持っているだろう

　　　　　　　　 し!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ﾉ
　　球 女　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ） 　 女　え
　　団 性　　　 L_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 性　 |
　　職 が　　　　/　　　　　　, - 一 -　､_　　　　　　　　　 , - 一 -　､_　 i　 !?　マ
　　員 許　　　 /　　　　　　/　　　　　　.:::ヽ､　　　　　　 /　　　　　　.:::::く　　　 ジ
　　ま さ　　　 l　　　　 　　/, -ｰ- -､　.:::://:ヽ　　　　　/, -ｰ- -､　.:::://ヽ
　　で れ　　 i 　　　　　 　i..::/＼::::::::ヽ､::|i::::::|　　　　　 i..::/＼::::::::ヽ､::|i:::::ﾚ ⌒Y⌒ヽ
　　だ る　　　l　　　　　　／7　 .:〉::::::::: /::|::::::|　　　　 ／7　 .:〉::::::::: /::|::::::|
　　よ の　 　_ゝ　　　　/ /　.:::/　　　.:::::|:::::::|　　　　 / /　.:::/　　　.:::::|:::::::|
　　ね.は　　「　　　 　 i /　 .:::::i　　　:::::::|:::::::|　　　　i /　 .:::::i　　　:::::::|:::::::|
　　 |　　　　 ヽ　　　　i i;::::ヽ､ ,i　　 .:::::::|::::::::|　　 　 i i;::::ヽ､ ,i　　 .:::::::|::::::::|
-┐　　　　,√　　　 　i　｀''''''''´　　 .::::::::|::::::::|　　 　 i　｀''''''''´　 　.::::::::|::::::::|
　 ﾚ'⌒ヽ/　!　　 　　 i-=三＝- ､　.:::::_人__人ﾉ_　　i-=三＝- ､　.:::::::::ゝ､ノ
人_,､ノL_,iノ!　　　 　 i　　　　　　　.:::::「　　　　　 Ｌ_i　　　　　　　.:::::::::::i:::|
　　　　　　/　　　　　i　　　　　　 .:::::::ﾉ　　モ　　　 了　　　　　 .:::::::::::::i:::|
ハ　キ　　{　 　　　　ゝ､＿ /!｀ｈ:::::::::）　　ア　　　　|　　 「ヽ　.::::／）::/:::|
ハ　ャ　　 ヽ　　　 r-､‐'　// / |;;;;;;く　　　 |　　　　 ＞ / /　 ／／;;/::.:::!
ハ　ハ　　　 ＞ ／＼＼// / /ヽ_:::::!　　 イ　　　 （　 / / ／／:::::::::::::::::ヽ
ハ　ハ　　　/　/!　　 ヽ　　　 レ'/　ﾉ　　　　　　　　＞　 ' ∠ 　-‐　￣ノ
　　　　　　 {　 i　l　　　 !　　　　/　フ　　　　　　　/　　　　　-‐　/

百枝が専任として就く
それを聞かされた時、ダディはこう考えた

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　／u |l 　ヽ ::: ＼　　　若いコーチととマンツーマンで練習
　　|　（　 ）ill、（　 ）、ι|
　　|　　,,ノ(、_, )ヽ、,,U　|　　　それはいいが、実績がなくて女性だと…
　　|　il|　,;‐＝‐ヽ 　 .:::::|
　　＼　　｀ニニ´　 .:::／
　　／｀ー‐--‐‐―´´＼


　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　／::::::::　　　　　　＼　　　はは…　こりゃどう考えてもあの女コーチの試金石だな…
　　|::::::::::::　 　　　 　 　|
　　|::::::::::::　　　　　 　　|　　　まあ、俺が博打に使われるのはしょうがないか
　　|::::::::::::　　　　　　 　|
　　＼:::::::::　　　　　 ／　　　伸び悩みをみせる若手で今期は構想外


　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／　　　　　　 :::::::＼　　　成長性も見込めないから、失敗してもチームのダメージはない
　　.|　　　　　　　　　 .::::|
　　.|　　　　　　　　　　.::|　　うまくいったら儲けものだろうが、女にプロのコーチが務まるとは思わねぇ
　　.|　　ー,　　　ーo　::::| 　
　　 ＼　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,.:::／　　こりゃあ、もう戦力外通告されたも同然だな…
　　　／｀｀ｰﾆ=-'"一´＼

　　　　　　　　　　 ,r､　　/＼
　　　　　　　　 　 /　 ヽ/　　 ＼
　　　　 , -‐──'──'　　　　　＼
　　　／ﾆﾆﾆ　　　　　　　　　　　　 ＼
　 r'"　./,ﾆﾐ､　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　いいぜ、やってやるよ
　 ヽ　 { {::::j } =､　　　　　　　　　　　　　ヽ
.,-‐'　　ヾﾆノ　　゛　　　　　　　　　　　　　 ',　　　あのコーチには頼らねえ
{　__ ﾞi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }
.ゝﾆ´`ヽ､_　　　　　　　,ノ　　　　　　　　　 i　　　俺だけの力で結果を出してやろうじゃねぇか！
　ゝ-｀‐^ |　　　　　　　!　　　　　　　　　　i
　ヽ-‐'　 ′　　　　 　.!　　　　　　　─ -〈
　 ,'´￣`　　　　　　　′　　 ﾉ　　_　 -‐=:j、
　 {　　　　,＿_ノ　　-‐'"￣´-‐_":::::::::::::::::::l
　　`ー ､´　　　　,　 ´-‐, ´ '::::::::::::::::::::::::::::',
　　　　　ヽ _　-‐ ´,　'":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
　　, -くﾆ"´　,　 ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　 / 　,'　 ,　':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;'
　,l､　j ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;'
./　７´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;′

　　　　　　　　　　　　,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.
　 　 　 　 　 　 　 　/: :　＼　　　　 　 ／::　 !
　　　　　　 　 　 　/::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!　　　　　　ついでにあのお嬢さんコーチとしての実績を与えてやる
　　　　　　 　 　 /::::::　　　　　　　　 　 　 　 　 ',
　　　　　　 　 　,'::::　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i　　　　　自分の為にやることが美人の役に立つなら別に構わんさ
　 　 　 　 　 　.i::::　　　 　 '''''''　　　　 　　 ''''''' 　 !
　　 　 　 　 　 !:::. 　 　 　 （●）, 　　 　　 ､（●）､ !　　＋
　　　　　　　　|::::..　　 　 　 　　.　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　 　 l　　　　　　　　　　 　 _,-,.、
　　 　 　 　 　 i;::::..　 　 　 　 　ﾉ 　　 ___,,,:: -ｲ 　　!　　　　　　 i´ヽ 　 　い {,-ゝ.
　　　　　 　　 　':;::::...　　　　　　ヾ二--‐＜/ 　　/　　+　　 　 l　,人　__,!...!_}ゝ l
　　 　 　 　 ＿　 ＼:::::....　　 　 　 ヽ..＿_,,/ 　 ／　　　　+　 　 ヽ. '´　　　　｀ /
　　　　 ／　　　｀ヽ　｀ゝ:::::........ 　　　　　......／_ 　 　 　 　 　 　　/　　　 ｧ-- '
　　　　 i::.....　　　　;＼!..-ー 、 /⌒ヽ　　　　　 ､＼　　　　　　／　　　 .:/
　　　　　` '''''ｰ- ､::::/ ,..　.　 `/:::　 　〉‐ 、　　　＼ ＼　　　／ 　 　 ..::ﾉ
　　　　　　　　 　 .ｿ'　　　 :　/::.　 　/::　　〉　　　　 ＼＼,／ 　　 　 .:/
　　　　　　　　　/i:. 　 　 　 :,'::.　　 /:: 　./ヽ　　　　 　 ＼!　　　　 ..:;'
　　　　　　　　 / |:: 　 　 　 |ヽ.:..　　　　:'::／　　　　　　　＼　 　 .::/
　　　 　 　 　 /　 !::.　　　　i::.:.:`:‐"ｰ､_,ノ　　　　　　　　　　＼:::／
　　　　　　　/ ,／ヾ;:.... 　 /:.:.:.:.:／:::.:..　　　　　　　　　　　　　ヽ、
　 　 　 　 　| :i　　　`ー::':.:.::.:.:./＼:::::.:.:.　　　　　　　　　　　　 　 ':;

そんな思いを胸に秘めて百枝の指導を受け始めたダディ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　さあ、まずはバッティングからやっていきましょうか　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　 /＼＿＿_／＼
／　／　　 　ヽ ::: ＼
|　（●）,　、（●）、　|
|　　,,ノ(、_, )ヽ、,, 　 |
|　　　,;‐＝‐ヽ 　 .:::::|
＼　　｀ニニ´　 .:::／　　　　　　うーす
／｀ー‐--‐‐―´´＼
　 　　　　 .ｎ:n　　　 ｎｎ
　 　 　　nf|｜| 　　　| | |^!n
　 　 　　ｆ|.| | ∩　　∩|..| |.|
　 　 　　|: ::　 ! }　　{！ ::: :|
　 　　　 ヽ　　,イ 　　ヽ　 :イ

百枝の組んだ練習メニューはがむしゃらにこなすものの、技術指導に関しては頑として受け付けないダディ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　ダディ君はあまり長打力が期待できないから　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　バットを短く持ったらどうかしら？　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／／~ 　　 ~＼:::::＼　　　はいはいそうですね
.　　|　く宣>　　.く宣>　 .:|
.　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::| 　　でも、下手に弄るとバッティングが崩れる恐れが…
.　　|　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　 ＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　だから、このままでいこうと思います
　　　／｀ー‐--‐‐―´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（アドバイスガン無視か。厄介ね…）　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　ダディ君はどのポジションを中心的に鍛えていきたい？　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／／~ 　　 ~＼:::::＼　　　はいはいそうですね
.　　|　く宣>　　.く宣>　 .:|
.　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::| 　　　試合に出れるならどこでもいいんで
.　　|　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　 ＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　
　　　／｀ー‐--‐‐―´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だったら将来を見越して　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　セカンドの練習一本に絞って…　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　 /＼＿＿_／＼
／　／　　 　ヽ ::: ＼
|　（●）,　、（●）、　|　　　ショートはスタメン不在ですし
|　　,,ノ(、_, )ヽ、,, 　 |
|　　　,;‐＝‐ヽ 　 .:::::|　　　サードは守備固めでの起用が期待できます
＼　　｀ニニ´　 .:::／
／｀ー‐--‐‐―´´＼　　　セカンドもチャンスはありますが、他の可能性を捨てたくありません
　 　　　　 .ｎ:n　　　 ｎｎ
　 　 　　nf|｜| 　　　| | |^!n
　 　 　　ｆ|.| | ∩　　∩|..| |.|
　 　 　　|: ::　 ! }　　{！ ::: :|
　 　　　 ヽ　　,イ 　　ヽ　 :イ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　分かったわ…　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　（こだわりがないのはある意味いい事だけど　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　彼の場合どれもこれも中途半端なのよね　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　勿体無いことこの上ないわ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

２人の関係はギクシャクしたまま７月を迎える
ダディはがむしゃらに練習を頑張り、百枝はダディのことを分析して色々とアドバイスを送った
少し変わったことといえば、時折百枝のアドバイスをダディが聞くようになったぐらいだ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　（何やらしても器用にこなすわね　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　バントのコツ教えたらすぐにある程度モノにしちゃった　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　伸び悩んでる選手っていっても流石プロね）　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 　 　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　_,ｒ=＝=‐=‐=＝=、ヽ　　（百枝サンもこのクソ暑い中よく頑張ってるぜ
　　　 ／λi(◎ =A= （◎)}｝､|
　　　/　,ｼ ﾞｰ=ｿ(､_, )'ｰ=‐"..::|　　　ノッカーだって楽じゃないだろうに…
　　 / ヽ| 　 　｀-=ﾆ=- '　.::::::|
　 /　 / ＼. 　　｀ﾆﾆ´　 .::::／　　　ま、彼女も必死ってことか
　（ 　'￣　　 　　　　　　 イヽ
　　￣￣|　　　　 　　　　　　|　　　そこだけは評価してやるぜ）
　　　　　|　　　　　　　　　|　|

　　　　　 　 　 　 ,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.
　　　　　　　 　 /: :　＼　　　　 　 ／::　 !
　　　　　　　　/::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!
　　　　　 　 /::::::　　　　　　　　 　 　 　 　 ',　　　　　（でも、やっぱり全面的に信頼はできねぇ
　　　 　 　 ,'::::　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i
　　 　 　 .i::::　　　 　 '''''''　　　　 　　 ''''''' 　 !　　　　　ちょっとしたコツを聞くだけなら妥協できるが…
　　 　 　 !:::. 　 　 　（●　）, 　　　､（●　）､ !　　＋
　　　 　 |::::..　　 　 　 　　.　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　 　 l　　　　　こいつ、俺のことを全然分かっちゃいねえしな）
　　 　 　 i;::::..　 　 　 　 　ﾉ　　　　　､ ゝ 　　!
　　　　 　 ':;::::...　　　　　　 ー‐ ==イ　　　　/.　　+　　
　　　 　 　 .＼:::::.....　　 　 　 ヽ--‐'　　　／　　　　 +
　　　　　　　　 ｀ゝ:::::........ 　　　　　......／　　　　　　　
　　　　　　　 　　,ﾚ─── ､　　　　/
　　　　　　　　 _j＿￣￣＼＼ ＼ /
　　　　　　　　l　　￣ -- ､＿ー ､ ＞
　　　　　　 　/　　　　　　　＼ ヽ､　＼

　　　　　　　　　　 ,r､　　/＼
　　　　　　　　 　 /　 ヽ/　　 ＼
　　　　 , -‐──'──'　　　　　＼
　　　／ﾆﾆﾆ　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　（百枝サンは俺をセカンド一本でやらせたいみたいだが
　 r'"　./,ﾆﾐ､　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　 ヽ　 { {::::j } =､　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　俺にはアンデルセンのおっさんがヘタるのを待つ時間はない
.,-‐'　　ヾﾆノ　　゛　　　　　　　　　　　　　 ',
{　__ ﾞi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　あと３年もすればあのおっさんも引退するだろう
.ゝﾆ´`ヽ､_　　　　　　　,ノ　　　　　　　　　 i
　ゝ-｀‐^ |　　　　　　　!　　　　　　　　　　i　　　　だが、俺は今年中に結果を出せなきゃクビだ）
　ヽ-‐'　 ′　　　　 　.!　　　　　　　─ -〈
　 ,'´￣`　　　　　　　′　　 ﾉ　　_　 -‐=:j、
　 {　　　　,＿_ノ　　-‐'"￣´-‐_":::::::::::::::::::l
　　`ー ､´　　　　,　 ´-‐, ´ '::::::::::::::::::::::::::::',
　　　　　ヽ _　-‐ ´,　'":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
　　, -くﾆ"´　,　 ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　 / 　,'　 ,　':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;'
　,l､　j ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;'
./　７´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;′

　　　　　　　　　　　　,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.
　 　 　 　 　 　 　 　/: :　＼　　　　 　 ／::　 !　　　　　　　（もう７月だ
　　　　　　 　 　 　/::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!
　　　　　　 　 　 /::::::　　　　　　　　 　 　 　 　 ',　　　　　 あと３ヶ月以内に結果を出さなきゃならない
　　　　　　 　 　,'::::　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i
　 　 　 　 　 　.i::::　　　 　 '''''''　　　　 　　 ''''''' 　 !　　　　 こりゃあもう、百枝サンの相手をしてる暇はないな）
　　 　 　 　 　 !:::. 　 　 　 （●）, 　　 　　 ､（●）､ !　　＋
　　　　　　　　|::::..　　 　 　 　　.　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　 　 l　　　　　　　　　　 　 _,-,.、
　　 　 　 　 　 i;::::..　 　 　 　 　ﾉ 　　 ___,,,:: -ｲ 　　!　　　　　　 i´ヽ 　 　い {,-ゝ.
　　　　　 　　 　':;::::...　　　　　　ヾ二--‐＜/ 　　/　　+　　 　 l　,人　__,!...!_}ゝ l
　　 　 　 　 ＿　 ＼:::::....　　 　 　 ヽ..＿_,,/ 　 ／　　　　+　 　 ヽ. '´　　　　｀ /
　　　　 ／　　　｀ヽ　｀ゝ:::::........ 　　　　　......／_ 　 　 　 　 　 　　/　　　 ｧ-- '
　　　　 i::.....　　　　;＼!..-ー 、 /⌒ヽ　　　　　 ､＼　　　　　　／　　　 .:/
　　　　　` '''''ｰ- ､::::/ ,..　.　 `/:::　 　〉‐ 、　　　＼ ＼　　　／ 　 　 ..::ﾉ
　　　　　　　　 　 .ｿ'　　　 :　/::.　 　/::　　〉　　　　 ＼＼,／ 　　 　 .:/
　　　　　　　　　/i:. 　 　 　 :,'::.　　 /:: 　./ヽ　　　　 　 ＼!　　　　 ..:;'
　　　　　　　　 / |:: 　 　 　 |ヽ.:..　　　　:'::／　　　　　　　＼　 　 .::/
　　　 　 　 　 /　 !::.　　　　i::.:.:`:‐"ｰ､_,ノ　　　　　　　　　　＼:::／
　　　　　　　/ ,／ヾ;:.... 　 /:.:.:.:.:／:::.:..　　　　　　　　　　　　　ヽ、
　 　 　 　 　| :i　　　`ー::':.:.::.:.:./＼:::::.:.:.　　　　　　　　　　　　 　 ':;

切羽詰ったダディは、百枝のアドバイスを無視して猛練習に励む
ほんの僅かだが築かれつつあった信頼関係は再び元に戻り、ダディは百枝の立てた練習プランすら無視するようになる

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　 今日は軽めの練習にしておきましょう　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　 最近ハードワークが続いているし　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　 無理をしすぎたら怪我しちゃうわ　　　　　　　　´ Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／ﾉ(　ヾ　　/:::::::::＼
　　.| 　,,-‐‐'') (`‐‐-､ .:::|　　　　　　それはできない相談っすわ
　　|｣L'"⌒` ,:　'"⌒`　:::|
　　|ヽ｢　　　` '　　ヽ(　:::|　　　　　　俺下手くそなんで人の倍は練習しないと
　　.|　　　｀-=ﾆ=- '⌒:::::|
　　 ＼彳　｀ﾆﾆ´　 ::::／　　　　　　ご忠告ありがとうございます
　　　／｀ー‐--‐‐―´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　…………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　（こりゃいよいよ問題ね　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　指導能力を問われちゃうけど彼が怪我しちゃ意味ないわ　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　ヴァンプさんに相談するしかないか）　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

ダディが百枝の忠告を聞かなくなって数日経った
心身共に追い詰められつつあるダディは今日も練習終了後居残り、マシンに向かってバットを振るう

　　　　　　　　　　　/^7
　　　　　　　　　　 / / ーーー ､
　　　　　　　 　　./ /＿＿＿丁_|＿_
　　　　　　　　　/ /::''''''　　　''''''＼
　　　　　　　　./ /（●）,　　 ､（●）|　　　　くそ、思うようにいかねぇ…
　　　　　　　　//.　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,　|
　　　　　　　 //::::.　 ｀-=ﾆ=- '　　|　　　　こうなったら今日はトコトンやってやる
　　　　　　　//＼:::　　｀ﾆﾆ´ 　 ／
　　,. -ー '''(￣)i＼ ,.rー､ -‐''"
　　!,＿,. イ(￣ヽ、l l l / i
　　　　　 l(⊃-く, ヽく///!
　　　　　l l l l l l ゝ、 `'>'
　　　　　l､l l　l l l l 'ｰ'
　　　　 / iiy､_l_l_l_l,l､lﾉ
　　　　//////''''ヾ'＼＼
　　 　 !////// ＼＼＼'ヽ､
　　　 !/////／ヽﾐ､､＼＼'ヽ,
　　　l////／　　　 `''-､,> ) ) ）
　　 ////.i　　　　　　　/////
　　i l l //　　　　　　　 i////
　　i l l//　　　　　　　 ////
　　l_l_i/　　　　　　　く`ーく
　 (＿_）　　　　　　　　ヽ,＿)

今日のダディのバッティングは精彩を欠いていた
無理もない、明らかにオーバーワークのせいでフォームが崩れている
内心でそれを分かりつつも、ダディはバットを振るうことを止めない
いや、止められない
彼には後がないのだ…
その思いが疲労困憊の彼を突き動かし、一心不乱にバットを振らせる

　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　 　　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　　　　　　クソッ、クソッ、クソッ…
　　　　　　　　　 　 　 　 　 |（○）,　　　､（○）､.:|　
　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　なんで上手くならねぇんだよ！
　　　　　　/ﾞﾞ'''''''''''￢ー-;;, |　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　
　　　　　./ヾ;;ヽ;;;;;;;;;;;;::::;;;;;;;;;;＼　　｀ﾆﾆ´　.:::::／
　　　　　|i;;;;:::ヾヽｿ;;:;;;:::::;;;;;;;;;l:l;;;;ゝ ｀ー‐.´ソﾉi
　　　　　|ゞ;;;;;::::ヽｿ;;;:;:;::;;;;;:;;;|:|:::lツ｀ー ／: :/ .ｌ＿
　　　　 .|i|;;;: : :::. : ヽﾉ;;;::;;;;::;;|:|:::|;;:　 ／: : : ／;;;;;;;;ヽ
　　　　 |;|冫､:::: : : :ヽ;;;;;:: ::::;;iii;;;i;;／: : : ／,;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ
　　　　.|i|.;;;;::: : : ヽ: :.|;;;;;;:.:;;;..ﾘ;;;': : : :／;;;;;;;;;:::::::;;;;;;;;;;;:::::.ヽ､
　　　　.||,;;;;;;,,,: : : : : :.|;;;:::::':;;;;;;;': : : /;:::::;;;;;:::;;;;;::;;;:;;;;;;;;;;;／´｀i
　　　　∥;;;;;;;::::::.. : : : l;;':::::::;;;;;;; : :/ ;':::;;;':::;;;;;;:::;;;;::::;／:⌒l;;;/
　　　　 |;;;;;;;;;;;;;;;;'⌒ﾞ｀: :ゝ､;;;;;;;;: :/i: ;;;;;;.::;;;;;;;:::. ／: : : : :, .|ﾞ
　　　　 |;;;;;;;;;;;/;;;;; : : : : :,,,,,ヽ､_/;;:::::;;;::::;;;;::／: : : : : : : ﾉ:|　:　:　:　:　:　:　:
　　　　 |;;;;;;;;;;､;;;;;;::;;∠´ﾞ￣　　ﾞ｀i;;;;;;,.､,..､,=-､;';';';';';';';';';';'; ';';';';';';';';';';';';';';';';';'
　　　　 .|;;;;;;;;;;;;;;;|｀二''i:: .|: |::　|　ji´ﾞl´l　l`ヽ-'|
　　　　　|;;;;;;;;;;;;;;|.,―‐i､,ﾉ､,i､.ﾉ=ﾉl;; |:.';:. ';:　'i :i
　　,-‐-､|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;｀" ｀ﾋﾆﾉゞヽ ヽ ヾ　j"';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'
　く,---ji;《ミミゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀''''´ゞ´｀:;;;;:::::::／:　:　:　:　: 　:　:　:　:　:
　 7ｿﾘ;;///ヽ＿ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾘ::;;;;;;;;;;;;;:ii;;::::--´
　iﾋｿ;;///::::::::::::;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ll;;;;;;;;;;;;;;

ダディが室内練習場のマシンケージに入ってから6時間が過ぎた



　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／''''''　　　'''''':::::::＼
　 . |（○）,　　　､（　 ）､.:|　＋　　　はぁ、はぁ、はぁっ…
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､||　.::::|
. 　 |　　 ｀-===- '◎.:::::::|　+　　　　手の感覚がなくなっちまった
　　 ＼　　 | |∪し　.:::::／　　　　　+
,,.....イ.ヽヽ、∪__ ーーノﾞ-､.　　　　　もう限界だ…
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　 　 ＞　　 ヽ. ハ　 | 　 |｜

ダディはマシンの停止を確認してからバッターボックスに寝転がる
その手にはバットを握ったままだった
本人としてはバットを手放したいのだろうが、ダディの手は全くいうことをきかない
それどころかバットを握っている感覚すらない


　　　　/＼＿＿_／ヽ　 　ヽ
　　 ／　　　　::::::::::::::::＼　つ
.　　| 　,,-‐‐　 　‐‐-､ .:::|　わ　　　　なんだこれ…
.　　|　 ､_(o)_,:　 _(o)_,　::|ぁぁ
.　　|　　　　::く　　　 　 .::|あぁ　　　　手が動かねえぞ！
　　 ＼　 /( [三] )ヽ ::／ああ
　　　／｀ー‐--‐‐―´＼ぁあ

バットを持ってひっくり返っているダディの元に１つの足音が近づいてきた


　　　　　　 　　 |::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　 　ﾉ:::::::::┌─┐::::i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::::┌─┐::::::::ヽ
　　　　　　　　/::::::::::::|　　 .|::::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::|. 　　|::::::::::::|
　　　　　　　　l ／二i￣￣ｉﾐヽi　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　.ir'ﾐｉ￣￣i二＼ l
　　　　　　　　ｉシ￣ .ｉ 　　iヽヽｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 ｉ,r',ri　　 ｉ. ￣シｉ
.　　　　　　　 /　　　 ! 　　|　ヽi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 i,r'　| 　　! 　　　ﾞｉ 　　　　　　 (　⌒ヽ
　　 　 　 　 /　 　 　 |　　 |　　i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　i. 　 | 　　| 　 　 　ﾞｉ 　　　　 （　　　　）
　　　　　　丿　　　　 |　　 |　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i　 　| 　　| 　 　 　 ＼　　　　）　　　）
　　　　　r´　 　 　 　 !　　 !　　 ｝　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｛　　 ! 　　! 　 　 　 　｀ヽ　　ﾉ　　ﾉノ
　　　　　ト-‐ '´￣￣￣￣￣￣7￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣V￣￣￣￣￣￣｀' ‐イ　∠ノ　ゞﾞ´、
　　　　　｀────────';.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.'────────´
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;

足音の主は百枝だった

　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |:::| ﾄ'|::| |::::::::::::ヽ
　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽl ﾚヽl |:::::::::::::::|
　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〕〔:::::ヽl:::::::::::::: |
　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＿--―――――---､l
　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::＿　-―'''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　 　 j,-‐､＿＿ｒ‐''´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿-――---､＼
　　　/ /丶///: : :＼＿＿＿＿＿＿....---―ハ:lヽ: : : : : : ::|　｀ヾ ､
　　　| 　 　l/.ｌ: : : : :/ /､ｚ-―-､　｀ヽ/: /: : /,..-lｊ､|: : : : : ﾊ l＿＿ン
　　/:| i　　⌒|: :/l /l/ ｲ（::::::::）　＼ /／ｊ: :://:::::） j|: : :ﾄ; :l リ
　,/: :ヽ＼　　{|::| |:j　　 ヽ､＿＿,　　　 /／　ー―´lﾉ|::j ﾚ'
../: : : : ＼ヽ-' V　　　　　　　　　　　　　　､　　　　j　l/
/ : : : : : : ::ー‐､　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /
: : : : : : : : :l: :|　l　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ 　 /
: : : : : : : : j: ::|　 　 、 　 ＼＿＿＿＿＿＿ 　 ,ｲ
: :: :: :: :: ::/ : :l　　 　＼ 　　｀ー┴┴┴┴'　／::| ＼
:＿＿＿/ : ::j＼　 　 　＼　　　　 　　 　 ／／l |　　ヽ
:＼＿_ノ: : ::/::::::＼　　　　ヽ、　　 　　／∠＿j::|　　　 ヽ
: : : : : : : : /＼::::::::::｀ヽ、＿_/｀....ー＜: : : : : ::_ノ　　　　 |
..＼: : : ::ノ　　 ＼::::::::::::::::::::::::::::/　　j￣￣￣　　　　　 /}

百枝はダディの傍に座り込むと、バットをつかんだまま固まってしまったダディの手をゆっくりとほぐしていく

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…………　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／　　　　　　 :::::::＼
　　|　　 　 　 　 　 　 .::::|
　　|　 ／　 　 　 ＼　.;:::|
　　|　　ー,　　　ー　　::::|　　　　　…………
　　 ＼　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,.::::／
　　　／｀｀ｰﾆ=-'"一´＼
　　　　 .　,". ',.` .
　　　　.　　｡.　,

しばし奇妙な沈黙が続いたが、バットから外れたダディの手をマッサージしながら百枝が声を発する


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　気は済んだかしら？　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／:::::::　　　　　　 ＼
　　.|:::.　　 ''''''　　　''''''　 |
　　.|::::.,（一）,　　　､（一）|
　　.|::::::: ノ　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　|　　　　…………
　　 ＼:::::.ヽ｀-=ﾆ=- '　／
　　/ 　 ｀一｀ﾆﾆ´-,ｰ´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あんな無茶苦茶なスイングしてちゃ　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　打てるものも打てないわよ　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　どうしてそんなに焦ってるの？　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あなたはまだまだ若いんだし　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　焦る必要なんて…　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.　　　　　　　　　　　　　　　　,,　　　　　　　 　　　 　　,,. 　　 ,.　　　　.／::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: :　＼　　　　 　 ／::　 !　　　　　　　　　　　　　　　/ | 　 /|　／|　　　　 _,,.ｒ':/　 ／::|　　 ／::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!　　　　　　　　　　　　　　/:::::i　 /::i　|:::::i　 ./'''"´:::::/ .／:::::::|　 ./::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::　 _　　 　　　　　　_ 　 　 ',　　　　　　　　　　　　./::::::::i　 |::::! .i::::::i　/::::::::::,,./／:::::::／　 /::::::::::/
　　　　　　　　　 　　　　　 ,':ノ（　　´⌒＼,, ;、　　､､／⌒｀.i　　　　　　　　　　　　i::::::::::i　 i::::i　i:::::::i/:::;.r''" ／:::::::／　　/::::::::／
　　　 　　　 　　　　　　　.i::::⌒　 　 '''''''　　　　ﾉヽ　 ''''''' 　　!　　　　　　　　　　　i:::::::::i.　i::::i,/i:::::/'"´　.／:::::::／　　 ./::::::／
　　　　　　　　　　　　　　!:::. 　 　 　（◎　）, 　　　､（◎　）､　!　　　　　　　　　　　 i:::::::::i. i:::/::::i:::/　　／:::::::／　　　 /::::::/
　　　 　 　 　 　 　 　 　 |::::..　　 　 　´"''".　,,ﾉ(､_, )ヽ"''"´　 l　　　　　　　　　　　 i:::::::::i i/:::::::i/:| ／::::::::／　 　　　/::::::/
.　 　 　 　　 　 　 　　　　i;::::..　　　　 　 ./~""''‐- -‐ｧゝ 　　 !　　　　　　　　　　　 i:::::::::"::::::::::／ |:::::::／　　　　　 /::::::/
　　　　　　　　　　　　　　 ':;::::... 　 　 　 /t‐-. 　 　 ‐｛　　　/.　　　　　　　　　　　　i:::::::::::::::／　　i::／　　　　　　./::::::/
　　　　　　　 　　　　　　 　.＼:::::.....　 　ゝ'"￣￣￣"イ　／　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::／ 　 　 i/　　　　 　　 /:::／
　　　　　　　　　　　　　　 ,r''" ｀ゝ:::::........ 　　　　　......／ト､　　　　　　　　　　　　　 .i::::::::i　　　　　　　　　　　　/／
　　　　　　　　　　　　　　f!: : : : :: : :　　　　　　　　　　　　　ヽ.　　　　　　　　　　　　 i:::::::i　　　　　　　　　　　　^
　　　　　　　　　　　　　　i!: : : !: : : : : 　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　 i:::::::i　　　 　 　 　 　 　 　／i
　　　　　　　　　　　! i　./: : .i i: : : : :: : ;!ii:::i:　　　　　　:i:i　　　i　　　　　　　　　　　　.i:::::::i　　　　　　　　　　／::::::i
　 　　　　　 　　　　| i!i/: : : : !l|ｒ"-'"-i| i`i|‐､　　　　　:i'　　　 i,　　　　　　　　　　　 .i::::/　　　　　　　　　　i::::::／
　 　　　　　 　　　　|,ｲ|,,.．r''"!l|　　i!　　|ヽi　 `i　　　 :,./.　　　 ',　 　 / .　　 　 　 　 i/　　　　　　　　　　　i／
　　　　　 　 　　 ,ｒ'''! |i!　　　　　　 ii |　　| |`i　 i:　:／/　',　　　 ヽ.r"/.
　　　　i､　 　　 /　 !　　　　　　 ,,,,.i! l-ー|--i!､ .i:／ ./　:'i,'.,.,,,.r'"　/
＼　　 i ＼　　/i　　　　　,,.．r''"　 i! i. 　 !　 i! l .i　 ./::　;;ir''"　　/　ヽ　 .
　 ＼　!　 .＼/ .:i.　　 　　　　　 　　　　　|　　 i ヾ､./:r''"　　　　/　　　ヽ.
　　　`'　 　 / .::/　 　　　　　　　　　　　.!|,,.rヾ､,,ノ　　　　　　 /ヽ.　　　　ヽ、
.　　　　　　〈 .::::i　 i　　|　　　　,,.．-‐ ''"|i　　　i　　　　　　　/　　ヽ、　　 　.ヽ
　　　　　　　ヾ;::ヽ､i　　!　　　　　　　　　　　　/　　　　　　/,,,,....． -－''' "´
　―－―――ヾ;::::i 　 ! 　 !|i　　　　　　　 !|/ヾ;― =＝
　　　　　　　　　 ヾ:i, 　|i.　 !||　 　 i |i　,,.ｒ"!| 　 〉
　　　　　　　　　　 `i、 ||　　|i　　　i ||'"　　　　/
　　　　　　　　　　　 .ヽ||　　　　　　　　　　　i|'
.　　　　　　　　 　　　　 i'ヽ、　　　　　　,,.r''"!i
　　　　　　　　　　　　....:::::::::ヽ|i,,,,,|,,..r''":::::::.......

　 　 　/＼＿＿_／ヽ　
　 　／　 　 　::::::::::::::::＼
.　　|　/￣＼″／￣| .:::|　　　あんたに何が分かるって言うんだ
.　　|　､_(o)_,:　 _(o)_,　:::|
.　　|　 　 　::く 　 　 　 .::|　　　俺に残された時間はあと僅かなんだよ！
　 　＼　 /( [三] )ヽ ::／
　 　 ／｀ー‐--‐‐―´＼



　　　　_／ t＿
　　　／ 　　　::::::＼　　　伸び悩みを何年やってると思ってるんだ！
　　/::::　　　　　,‐‐ t
　　i::::::::　　　 :::,く o）(　　いつまで経っても二軍暮らしで、今年は構想外で二軍幽閉
　　|:::::::::::　　　　　 :::::>
　　i:::::::::::::　　　/( [こj　



　　　　/＼＿＿_／ヽ　 　ヽ
　　 ／　　　　::::::::::::::::＼　つ　　　　おまけに、訳の分からない女コーチの試金石に使われて…
.　　| 　,,-‐‐　 　‐‐-､ .:::|　わ
.　　|　 ､_(o)_,:　 _(o)_,　::|ぁぁ　　　　俺は今年駄目なら整理対象になっちまうんだよ！
.　　|　　　　::く　　　 　 .::|あぁ
　　 ＼　 /( [三] )ヽ ::／ああ　　　　結果が出なきゃあんたと一緒に解雇だ！
　　　／｀ー‐--‐‐―´＼ぁあ

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／､-―'　ﾞ､ー- ::＼　　　　いくら練習しても結果は出ねえし
　　|　（○）,　、（○）、:::|
　　|　　,,ノ(、_, )ヽ、,,　:::|　　　あんたは的外れ…　いや、違うな
　　|　 　 ,゛-=-'、 　 .:::::|
　　＼　　　'´`.:::　 .::::／　　　俺の状況にそぐわない指導ばかりしやがる
　　／｀ー‐--‐‐―´´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…………　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／､-―'　ﾞ､ー- ::＼　　　　　あんたの指導が理に適っているのは理解できる
　　|　（○）,　、（○）、:::|
　　|　　,,ノ(、_, )ヽ、,,　:::|　　　　だがな、それじゃあ間に合わねぇんだ！
　　|　 　 ,゛-=-'、 　 .:::::|
　　＼　　　'´`.:::　 .::::／
　　／｀ー‐--‐‐―´´＼

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／､-―'　ﾞ､ー- ::＼　　　　それによ、俺はもう自分のプロ野球選手としての限界が見えちまったんだ
　　|　（○）,　、（○）、:::|
　　|　　,,ノ(、_, )ヽ、,,　:::|　　　 もう高校の時みたいに主役になんてなれねぇ
　　|　 　 ,゛-=-'、 　 .:::::|
　　＼　　　'´`.:::　 .::::／　　　　それが分かっちまったんだよ！
　　／｀ー‐--‐‐―´´＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふ、ふ、ふ…　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　 　 ￣ヽ　 　 　 　 ＿|＿ヽヽ　 |　　＿|＿　 ＿＿ 　 　　l　 　 　 　　 |
　 　 　|　 　 　　 ￣　 ＼　 　 　|　 　 　|　 　 　　／ 　 -┼─　 　 　 |
　 　 　ヽ　 　 　 　 ＿＿＼　 　| 　 　 　|　 　 ／⌒ヽ 　　|　─-　 　 |
　 　/　　） ＼　 　/　 　 ￣　 　|　 　 　|　 　 　＿　| 　 　| 　 _|_
　 / 　_ノ　 　）　 　＼＿＿　 　 レ　　 ﾉ　 　 （＿_ノ　　　|　（丿ヽ　 ●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな切羽詰ってるんなら　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　なんで私のことを利用しないの！　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!


　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　 . |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.:::|　　　　…………
. 　 |.u　　 (＾ｰ＾>　 ｡.::::::|
　　 ＼ ﾟ　　⌒´　u .:::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､.


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　私が女だから言うこと聞けないってもの理解できる　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　それを承知でプロのコーチになったのよ　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　それぐらい覚悟してた　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

先ほどまでダディの焦りや不安から出る叫びを黙って聞いていた百枝はここから怒涛の問い詰めというか
心の内を全部吐出すようにダディに言葉をぶつける

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　あなたが私にとっての試金石なのも知ってた　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　結果が駄目なら私がクビになるのも知ってた　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　でも、そんなことなんて全く気に掛けたことなんてない　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!


　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　 . |（●）,　　　､（●）､.:|　　（胸倉を掴むな
　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.:::|
. 　 |.u　　 (＾ｰ＾>　 ｡.::::::|　　　あんた腕力凄いから怖いだろうが）
　　 ＼ ﾟ　　⌒´　u .:::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　いつだって、どうやったらダディ君が上手くなるか　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　どうやったら一軍で活躍できるか　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　そればっかり考えてきたのに…　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　どうして言うこと聞いてくれないの？！　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　どうして全然相談してくれないの？！　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　どうしてそんな大事なことを話してくれないの？！　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　 . |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.:::|　　　　　（くそ、なんでこいつここまで俺のこと…
. 　 |.u　　 (＾ｰ＾>　 ｡.::::::|
　　 ＼ ﾟ　　⌒´　u .:::／　　　　　　　どんだけ熱い奴なんだよ）
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　私はねえ！　クビになるのは覚悟してた！　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　それでもせめて来年以降あなたの為にと　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　色々アドバイスしてたのに！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　どうしてそんな切羽詰まってるって教えてくれなかったの！　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　　　　　　　　::＼　　　 都合がいいのは承知でお願いしたい
　　|　　─　　　─　　　|
　　|　（●）,　､ （●）､　|　　　 残り数ヶ月コーチの元で最後の悪あがきをさせてください
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､,,　.::::|
　　＼　　 ｒ‐=‐､ 　.:::／
　　／｀ー ｀ﾆﾆ´一''´ ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ダディ君…　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　もちろんＯＫよ　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その為に私がいるんだから　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　　　　　　　　::＼
　　| 　 　 　 　 　 　 　 :|
　　|　　 ノ　　 ヽ､　　　:|
　　|　（●）,　､ （●）､.:::|　　　　…すまない
　　＼　,,ノ(､_, )ヽ､,, ::／
　　／｀ー ｀ﾆﾆ´一''´ ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　今日から私とあなたは運命共同体　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　お互い遠慮なんてなしでいくわよ　　　　　　.,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　まずはその中途半端な敬語から…　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼　　　　　勘弁してくださいよ
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|　　　　俺敬語苦手なんすから
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|
　　＼　　｀ニニ´　 .::／　　　　あ、遠慮なしなんだから敬語もいいか
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 いいわ、敬語なしでも　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 さ、まずは…　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼　　　　まずは？
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|　　　（ラッキー、駄目モトでした提案が通った）
　　＼　　｀ニニ´　 .::／
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　晩御飯にしましょう　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　練習終わってから　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　ずっとあなたの居残りを見てたせいで　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　お腹ペコペコだしね　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

２人は練習場の後片付けを行うと、食事を共にするのだった
その食事風景は今までのギクシャクしたものとは対照的に、ぎこちなさは残るものの２人とも自然と笑顔が出たらしい


　　　　　　　　　↓心配で２人をずっと見守っていたヴァンプコーチ

　、＼＼　ヽ　　　　　　　　 　 -‐L.. ｣ﾆ＝‐- L_ 　 　 　 　 　 /　/　 　 ／　／
＼ヽ　＼＼　ヽ　 　 .　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀　 ､　　　　/　/　　／　／
. 　 　 　 ＼　　　　´　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ::::..、　 　 　 ／　　　　--‐‐
　ヽ、　 　 　 ／　　 _..　 　 -‐=＝＝=‐-　　 .._ 　 .:::::::::::ヽ　 　 　 　 　 　 __
.三二ニ＝=‐-=≦ __ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 __ ≧z二ﾆ＝-‐ =＝ﾆ二￣
ｰ-＝=ニ二三ﾆ二二三三三式 丁八三三三三三二ﾆ二三三三二ニ二￣
　　　 　 　 | ￣丁人　　　　 人:}　 ｉ:::人　　　　　人|　 丁//,丁￣￣
　　　 　 　 |　　 |　 　 ｰ-‐〃.:.::|　 |:::ヽ＼ｰ-‐＜::::::|　　|////|
　　　 　 　 |　　 !　　　　／　　｜　|::::::.ヽ ＼　 　　 | 　 |////|
　　　 　 　 |　　 !　　　　　　　　ｉ　 |::::::::.　　　　　　 } 　 |////|
　　　 　 　 |　　 ﾄ､　　　 　 / _,..　 j::ヽ::::::.... 　 U 　ﾉ 　 |////|
､__＿＿＿_|＿__|＿＿＿＿ゝ-､三r-ﾉ‐-::::::::....　イ!　　 |////|
　　　 　 ￣|￣ 丁¨　‐-―‐' 　 }　｢　ゝニ二ニニニ＝＝==…―‐　　　　　　　ぐ～ぎゅるるるる…
　　　 　 　 |　　 |　　　　　　⌒ヽ　'⌒　＜.::::::::::::::::|　　 |////l
　　　 　 　 |　　 |　　　く ―― ､_,. -‐- 　__ヽ:::::::::::|　　 |////|　　　　　　　　　　　　私も晩御飯にしようっと
　　　 　 　 | 　 ｜　　 　＼　　　　　　　　. イ:::::::::::|　　 l////|
　　　 　 　 |　　 | 、 　 　 /｀　 　 ‐--＜::::::(ﾉ::::::::::|　　 l////!　　　　　　　‐-＝ニ
　　　 　 　 L..　_|:::｀＞ ､　　　vwv　 　 .::::::::ニ=-‐|　　 l////!　　　　　　　　　 ‐-
　　　 ／　　＼__{／ | {::::＼　_川 {＿,.:::::／::::::i:.:.:.:lL　　ﾍ.///　　　　　　 　 　 、
,　 ／／　 -‐く.: :＼ | |::::　　 ｰ----‐＜::::::::::::}: : :|＼ー一 'ﾞ　　　 ＼　ヽ　、　 ｀　.
／／　/　　 ＼ヽ.: .:＼::::::.. 　ヽ　.:::::::::::::::::::::::/ : : ｊ 　 ＼　　　　　､＼＼　ヽ＼　　 ｀

ダディ・百枝のケツに火がついたコンビは３日間の休養を挟んだ後、１つの方針に向かって突き進むことになった

１つの方針
それは３日間の間に２人が徹底的に議論を交わして決まったもので
①器用貧乏を極めて使い勝手のいい選手に
②打撃は長打を捨てて小技中心に鍛える
③レギュラーではなく、スーパーサブになる

☆最終的な目標として便利なベンチ要員として一軍を目指す
というものだった



　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　　　　　　　　::＼
　　| 　 　 　 　 　 　 　 :|
　　|　　 ノ　　 ヽ､　　　:|　　　　すまんな、どうにも器用貧乏以上になれそうにない
　　|　（●）,　､ （●）､.:::|
　　＼　,,ノ(､_, )ヽ､,, ::／
　　／｀ー ｀ﾆﾆ´一''´ ＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　あら、今の状況では渡りに船よ　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　正直あなたの可能性を潰すことになるから　　　　　　　　 /:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　薦めはしなかったけど、プランも幾つかあるし　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

まずは使い勝手を極める為に外野・一塁も守れるように猛特訓を始めた
それと並行する形でバットを短く持ち、徹底的にしぶとさ、やらしさを追求した打撃を目指す

８月末には２人が目指す選手像がようやく形になりつつあった
外野の守備は打球判断に梃子摺ったが、なんとか及第点を取れるところまで仕上がり
一塁の守備は十分にこなせるレベルに到達した

打撃も一定の成果が表れつつあり、まだまだいやらしさが足りないもののそれなりに様になりつつある
２軍の試合では、ヴァンプのプッシュもあり２番打者として定着
バントに進塁打にと目立たないながら首脳陣からは好評を得ている


.
　　　　　　 /＼__　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　　　　　　＿／ヽ
　　　 　 ／''''''　 |　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼ 　 　 　　　 | '''''':::::::＼
　　　 　|（●）,＿|＿　　　 |（●）,　　　､（●）､.:|　　　　__＿|_､（●）､.:|　＋　新しい自分に脱皮成功？
　　　 　 ￣|＿ ,,ﾉ(､|_ 　 　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　＿|_, )ヽ､,,_ .::::|￣
　　　　　　　 |＿＿,ｒｴ|＿ |　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|＿|ｴｪ､＿_.::::::|￣　
　　　　　　　　 ＼ ￣ヽｒ | ＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／|-ｒｦ　.:::::／￣
　　　　　　　　　　￣,,二.イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､ ￣￣￣
　　　　　　　　　　　/:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　　　　　　　　　 /　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　　　　　　　　　/　　　　＞　　 ヽ. ハ　 | 　 |｜

９月も中旬を迎えたある日ダディにチャンスが巡ってきた
一軍選手入れ替えのチャンスが回ってきたのだ


　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　 /:::. :::::::::::::::::::::::::::::: ..::i　　　　　　　　　助っ人が帰国しちゃったから
　　　　 j::::::::::::::::::::: : ::i....:::::::::::|　　　　　　　　　レフトとサードが空いちゃった
　　　 　 }::::::／以/|;i:/Yゞﾄ::::::j
　　　　　ｆヾ',,, ＿_'iir'＿__ ,,ﾚ〈　　　　　　　　　２軍からこのポジションで活きがいいのちょーだい
　　　　　＼i`{:!;:ﾞ-丐{ヽﾞ::'j/ﾚ'、　　　　　　　　大きいの打てる選手や、打撃がいい選手がいいね
　　　　_,/::;ﾐ／／/7,.､￣'ｆﾐj::::＼
　-::''´:::::::::|/ / / /-／j/ﾐ/::::::::::::`:-.､_　　　　あと、怪我人多いから複数守れる選手も欲しいかも
::::::::::::::::::::/　' / /／／;:'ﾞ/:::::::::::::::::::::::::::｀
:::::::::::::::::::ｆi　i　　´ /''"　 ヽ:::::::::::::::::::::::::::　　　それと、ピッチャーで誰かいいのいない？

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓二軍監督

　　　　　　　　　　　　　　　 ,r'´　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　,r'´ T ヾ.:. :. . .＼
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ,．'´　/ 　 人　 !:.:.:.:.:.:.:. .ヽ
　　　　　　　　　　　,/　 　 　 ,ｨ´ ,　-‐{〈 ﾄ､戌ｲ j､.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
　　　　　　　　　　,/　　　　,ｲ'"´　　　 ヾ､ヽ1ﾚ /　＼:::::::::::::::::',
　　　　　　　　　 /　　　　,'　　　, ．-─ ｰゞ- ｲ-､､　 ヾ!:::::::::::::i
　　　　　　　　　/　　　　 ,'　,ｨr'´　　 ´ ￣￣￣￣ ｀`ヽ/i;:;:;::::::::|
　　　　　　　　 l　 　 　 ,ｲﾚ'"Tﾌゝ､ー - -　　　　＿__,ノ;:l;:;:;:;::::::!
　　　　　　　　　ﾞ､. . .:.:.:::l/ 　,j 　　ﾞ ｰ‘´フ"下≦ﾓｧｰ､Y;:;:;:;:;:::/
　　　　　　　　　　ヽ.:.:.:::j ､　 1　;: .　-‐'´　.::;j;;;:.ゞｰ- ''1j;:;:;:／
　　　　　　　　　　　`ｰi ,ｲl　　l､　　　　( r=ｭﾊ;;;.:. .: .: .:j,ﾊ"´
　　　　　　　　　　　　 |〈jk 　 ﾞi ', ,r'"´¨ 　　 ｀`ヾ,.:.:.:,ﾞ.:1!
　　　　　　　　　　　　　ヾｿ　　 ヾ;ﾞ　 _ ,,,,､､､､,,　　j.:.j.:.ﾘ′　　　　　　　　　　　クレクレ厨ＵＺＥＥＥＥ！
　　　　　　　　　　　　　　`ﾄ,　　 ''"ﾞ´　　　　　 ｀"'''.:.:.:.:!
　　　　　　　　　　　　　　 | ;　　､　　 ｰ;:;:;:.:.:.: .: ..:.:.:.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　　　　 |. ﾞ､　 ;.　　　. :.: .:. :.:.:.:.:.:,'.:./
　　　　　　　　　　　　　　_」_,,,ゞ　　,;:;:.::. :.:.:.:.: .:. :.:.:;:;:;L
　　　　　　　　　　　　　「　 ├-‐'''ﾞ「 i iｰ--‐'''"iﾞ´　　 i
　　　　　　　　　　　　　{三」,!　　　|　l |　　　　 |　　三1
　　　　　　　　　　　　 _」 ＿| ＿__」　| |＿ ＿_ ,L_ __ ,,」＿
　　　　　　　　-‐ '''"´　　　　　　　j　 7!　　 ﾆ二二 ,　　　 ￣ ｀''ー

二軍首脳陣は誰を上に上げるか散々悩んだ
何名かはすぐに決まったのだが、最後の１人が中々決まらない
候補は３人


①どんぐりーズ所属　八頭身モナー　　右投右打　内野手　（２５）

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧＿∧:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　（　´Д`）:::::　こう見えてアレなんですよ
　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 丶'　　ヽ:::::
　　　　　　　　　　　　　 　/ ヽ　　　 /　/::::
　　　　　　　　　　　　　　/　/へ ヘ/　/:::::
　　　　　　　　　　　　　 /　＼ ヾミ　 /|:::
　　　　　　　　　　　　　（__／| ＼___ノ/::::::

一軍での出場経験もあり、内野ならどこでも並程度に守れる選手
バットコントロールに光るモノがある



②キラ・ヤマト　左投左打　投手　（１９）

| ＿＿＿＿＿
|´::::::::::::::::::::::＜
|:::::::::::::::::::::::::::::＞
|::::ヽ:::::::;:::::::::::::ヽ　
|,ノ　∨从メｲ:::::ヽ　　
|●　,,,　 ● i:::ﾄ､:}　なんか今日やる気出ないや
|u　　ｏ　　ノ∨　｀
｛ゝ,__　 ~´）
| ヽ　　　/

今年入団した高卒ルーキー
調子のムラが激しすぎるという難点があるが、球威は一級品



③どんぐりーズ所属　ダディ・クール　右投両打　内外野手　（２２）

　　.／ ￣/〃＿＿〃　　　／ ￣/　　　　　　 /
　　　 ―/　　＿＿　＿／　　　./　――　/　/
　 　 ＿/　　　/　　　/　　　＿/　　　 ＿/　/＿／
　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／''''''　　　'''''':::::::＼
　 . |（●）,　　　､（●）､.:|　＋
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
. 　 |　　 ｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　+
　　 ＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　+
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､.
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　 　 ＞　　 ヽ. ハ　 | 　 |｜

外野もこなせる万能内野手
打撃では八頭身モナーに劣るものの守備・走塁で優れる

候補３名の情報は一軍に送られ、議論された結果…

　　　 　 　　 　 　　 　 _____
　　 　 　 　 ,. ‐''三ヾ´彡ｼ,=｀丶、
　　　　　／'".:=≡ミ_≧_尨彡三:ヽ、
　　　　/／.:;:彡:f'"´‐------ ｀`'ｒ=:l
　　 　/〃彡_彡′,.=､￣￣ ,.=､　|ミ:〉
　　　'ｙ=､､:ｆ´===tr＝=､.___,. ==､._ゞ{
　　　{´yﾍl'′　　 |　　 /⌒l′　 |｀Ｙ}
　　　ﾞ､ゝ) 　 　 　 `''''ﾂ_　 _;`ｰ‐'ﾞ:::::ｌ{
.　　 　ヽ.__　　　　　,ｨnmmm､　　 .:::|!　　　　ふぉっふぉっふぉっ
　　,.ィ'´ﾄ.´　　　　　´｀"｀"｀ﾞ″　.::::;'
イ´::ﾉ|::::l ＼ 　　 　 　　　"'　　　:::/　　　　　　ピッチャーは１人でも多く欲しいですが
::::::::::::|:::::l 　 ヽ、　　 　　　..::　 .:::/.､
:::::: ::: |:::::ヽ 　　 ヽ、.......::::／..:::／!＼＼　　　　この間入れ替えを行ったばかりですし…
::::::::::: |::::::::ヽ　　　 ｀`''‐--ｧt''′ |!:::ヽ:::＼
:::::::::::::|::::::::::::ヽ、 　 　 　 /i|iﾄ､　 |l:::::::ヽ:::::＼
:::::::::::::|::::::::::::::/:ヽ、　 　∧|i|i|i|〉. ||::::::::::ヽ:::::::＼


　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿_
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,.　´　　　｀ヽ.
　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣｀ヽ 　/　　, ‐ 、　, ‐'.
　　　　　　　　　　　　　/,　⌒ヽ　i ｜　　｀⌒　　⌒ｉ
　　　　　 　 　 　 　 　 { {　､__ノ ,ﾉ　|^v=｢ ￣｀H´￣}
　　　　　　　　　　　 　 い､　__ノ}:ｰｧ!　　ヽ＿_ハ__,ｲ‐.､
　　　　　　　　　　　　　,ゝ､　　,ｲ.:｜{`┐ ,. -‐～ｰ〈:.:. :.＼　　　　　八頭身もいい選手じゃが
　　　　　　　　　　　 ／. .:.:.｀ｉ＿}.: :ヽ｀ｰＶ : : :, へ.:.::',:.:. :. :.ヽ,
　　　　　 　 　 　 ／ . : .:.:./´ ＿}ヽ : ｀!7 : ／.:.::::,ﾊ.::}.:.:',:.ｌ.:. :.',　　　どっちかって言うと左が欲しいしのう
　　　　　　　 　 / :, -‐ァ´| 　＿｣丿: : !{／ｉヽ.:.::/: :ｌ/.:.:.:l/.:. : :′
.　　　　　　 　 / :/.:.:.:/　/ 、 ―j.:. .: .:i―┼‐∨.:. .:. .:.:.:l:. : : : :ｉ　　　迷いどころじゃな
　　　　　　　　|: : .:.:.:.i　｜　,ｌ￣l:.:. .: .:|＿_|＿_|:. :. :. .:.:.:|:. : : : :|
　　　　　　　　|: : .:.:.:.ｌ　 ｌ／ | 　|.:. .: .:| 　 | 　 |:. :. :. .:.:.:|:. : : .:/
.　　　　　　 　 ＼: .:.:.:＼ ＼,.| 　l.:. .: .:!＿_!_＿!:. :. :. .:.:.:!: : ／
　　　　　 　 　 　 `ｰ―→一'|　 l:. .: .:| 　 | 　 |:. :. :. .:.:.:|／
　　　　　 　 　 　 　 　 /: .:.:.:.|　 |: .: :,'―┼―',:. :. : : : :',
.　　　　 　 　 　 　 　 〈: .:.:.:.:.:l　 |: .: '　　∧　　',:. :. : : : :〉
　　 　 　 　 　 　 　 　 丶、.:.:l　 l: /　　/:::::',　　',:.:. .:.／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 丶i　 l/　　/ ::::::::',　 　,／

その知らせにダディと百枝は喜びに湧く
本来であれば、今年は二軍幽閉が決定していたのだ
それが覆ったのは夏以降のダディと百枝の頑張りが大きい

　　.／ ￣/〃＿＿〃　　　／ ￣/　　　　　　 /
　　　 ―/　　＿＿　＿／　　　./　――　/　/
　 　 ＿/　　　/　　　/　　　＿/　　　 ＿/　/＿／
　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／''''''　　　'''''':::::::＼
.　　|（●）,　　　､（●）､.:|　＋
.　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　ｍｊｓｋ？
.　　|　　 ´ﾄｪｪｪｲ｀　 .::::::|　+
　　 ＼　　|,ｒ-ｒ-|　 .::::／　　　　　+
,,.....イ.ヽヽ、｀ﾆﾆ´ーノﾞ-､. 　 　 　 　/＾)
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　iヽ　__ ‐┘（
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|´⌒　)二 　ﾄ､


　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |:::| ﾄ'|::| |::::::::::::ヽ
　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽl ﾚヽl |:::::::::::::::|
　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〕〔:::::ヽl:::::::::::::: |
　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＿--―――――---､l
　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::＿　-―'''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　 　 j,-‐､＿＿ｒ‐''´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿-――---､＼
　　　/ /丶///: : :＼＿＿＿＿＿＿....---―ハ:lヽ: : : : : : ::|　｀ヾ ､
　　　| 　 　l/.ｌ: : : : :/ /､ｚ-―-､　｀ヽ/: /: : /,..-lｊ､|: : : : : ﾊ l＿＿ン
　　/:| i　　⌒|: :/l /l/ ｲ（::::::::）　＼ /／ｊ: :://:::::） j|: : :ﾄ; :l リ
　,/: :ヽ＼　　{|::| |:j　　 ヽ､＿＿,　　　 /／　ー―´lﾉ|::j ﾚ'
../: : : : ＼ヽ-' V　　　　　　　　　　　　　　､　　　　j　l/
/ : : : : : : ::ー‐､　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /
: : : : : : : : :l: :|　l　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ 　 /　　　　ホントにダディ君が一軍昇格ですか？
: : : : : : : : j: ::|　 　 、 　 ＼＿＿＿＿＿＿ 　 ,ｲ
: :: :: :: :: ::/ : :l　　 　＼ 　　｀ー┴┴┴┴'　／::| ＼
:＿＿＿/ : ::j＼　 　 　＼　　　　 　　 　 ／／l |　　ヽ
:＼＿_ノ: : ::/::::::＼　　　　ヽ、　　 　　／∠＿j::|　　　 ヽ
: : : : : : : : /＼::::::::::｀ヽ、＿_/｀....ー＜: : : : : ::_ノ　　　　 |
..＼: : : ::ノ　　 ＼::::::::::::::::::::::::::::/　　j￣￣￣　　　　　 /}

２人の頑張りを首脳陣もしっかり見ていたのだ
選手が一生懸命頑張り、かつ結果を出している以上、その結果に報いなければならない
そう判断したのだろう



　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| |
　　　　　　　　　　　／ -─'┴‐- 、
　　　　　　　 ミー‐'──-- ｎ--─`‐=彡
　　　　　　　　｀7'''T卞二フﾉ |弋'フ'ｉi丁´　　　上が求める条件でならダディ君もいいんじゃない？
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　　 ',　 　 || |
　 　 　 　 　 　 |　 | :|　　　ﾉ,､,.〉　　|| |　　　　外野もかろうじて守れるようになったし
.　　 　 　 　 ｰ‐|─|‐抂─ノ‐ｖ-､‐刊┼─
　 　 　 　 　 　 |　 | :| }　｀ヾ`ｰ''フ ｆ||｜　　　　彼なら使い勝手がいいと思うんだけど
　 　 　 　 　 　 |　 | :| L　　´￣｀　｣||｜
　 　 　 　 　 　 Ｌ.⊥ﾉ＼＿__ｆｆｆ__／廴|
　　　　　　　／　　八　　 ヽ jｊii /　/　　＼

かくしてダディは入団後初めて一軍に登録され、代走・守備固めとして７試合に出場
打席には一度も立てずだったが、解雇寸前の状態からは大きく改善するに至った

　　　　　 　 　 　 ,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.
　　　　　　　 　 /: :　＼　　　　 　 ／::　 !
　　　　　　　　/::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!
　　　　　 　 /::::::　　　　　　　　 　 　 　 　 ',
　　　 　 　 ,'::::　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i
　　 　 　 .i::::　　　 　 '''''''　　　　 　　 ''''''' 　 !　　　　　　　　　いやぁ、一軍て凄いな
　　 　 　 !:::. 　 　 　（●　）, 　　　､（●　）､ !　　＋
　　　 　 |::::..　　 　 　 　　.　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　 　 l　　　　　　　　　こんな大勢の前で野球するの
　　 　 　 i;::::..　 　 　 　 　ﾉ　　　　　､ ゝ 　　!
　　　　 　 ':;::::...　　　　　　 ー‐ ==イ　　　　/.　　+　　　　　　高校の時の全国大会以来だよ
　　　 　 　 .＼:::::.....　　 　 　 ヽ--‐'　　　／　　　　 +
　　　　　　　　 ｀ゝ:::::........ 　　　　　......／　　　　　　　　　　　あと、一軍選手みんな濃いわ…
　　　　　　　 　　,ﾚ─── ､　　　　/
　　　　　　　　 _j＿￣￣＼＼ ＼ /
　　　　　　　　l　　￣ -- ､＿ー ､ ＞
　　　　　　 　/　　　　　　　＼ ヽ､　＼

ダディを一軍に送り出した百枝も、実績が評価されて契約が更新される
そして、翌年の２月にダディ以上の難物の指導にあたることになるのだった

　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |:::| ﾄ'|::| |::::::::::::ヽ
　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽl ﾚヽl |:::::::::::::::|
　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〕〔:::::ヽl:::::::::::::: |
　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＿--―――――---､l
　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::＿　-―'''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　 　 j,-‐､＿＿ｒ‐''´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿-――---､＼
　　　/ /丶///: : :＼＿＿＿＿＿＿....---―ハ:lヽ: : : : : : ::|　｀ヾ ､
　　　| 　 　l/.ｌ: : : : :/ /､ｚ-―-､　｀ヽ/: /: : /,..-lｊ､|: : : : : ﾊ l＿＿ン
　　/:| i　　⌒|: :/l /l/ ｲ（::::::::）　＼ /／ｊ: :://:::::） j|: : :ﾄ; :l リ
　,/: :ヽ＼　　{|::| |:j　　 ヽ､＿＿,　　　 /／　ー―´lﾉ|::j ﾚ'　　　　　　　　私の夢だった野球の指導者
../: : : : ＼ヽ-' V　　　　　　　　　　　　　　､　　　　j　l/
/ : : : : : : ::ー‐､　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　　　　　　　　　　　　まだまだこんなところじゃ終われないわ
: : : : : : : : :l: :|　l　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ 　 /
: : : : : : : : j: ::|　 　 、 　 ＼＿＿＿＿＿＿ 　 ,ｲ　　　　　　　　　　　　　抜擢してくれた碇監督の為にも頑張らないとね
: :: :: :: :: ::/ : :l　　 　＼ 　　｀ー┴┴┴┴'　／::| ＼
:＿＿＿/ : ::j＼　 　 　＼　　　　 　　 　 ／／l |　　ヽ
:＼＿_ノ: : ::/::::::＼　　　　ヽ、　　 　　／∠＿j::|　　　 ヽ
: : : : : : : : /＼::::::::::｀ヽ、＿_/｀....ー＜: : : : : ::_ノ　　　　 |
..＼: : : ::ノ　　 ＼::::::::::::::::::::::::::::/　　j￣￣￣　　　　　 /}

　　　　　　　　　　　 　 　 　 □
　　　　　　　　　　　　　　　 ┌─┐
　　　　　　　　　　　　　　　 └─┘
　　　　　　　　　　　　　　　┌───┐
　　　　　　　　　　　　　　　└───┘
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┌─────┐
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┌┼─────┼──┐
　 　 　 　 　 　 　 　 　 │└─────┘　 　 │
　 　 　 　 　 　 　 ┌─┼─────────┼───┐
　 　 　 　 　 　 　 │　 └─────────┘　 　 　 │
　 　 　 　 　 　 　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 │
　 　 　 　 　 　 　 └───────────────┘

やる夫の休憩時間を使って思い出話に浸るダディと百枝
そろそろ締めの会話に入ったところで、ダディが１つ質問を百枝に投げかける

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　 ／:::::::　　　　　　 ＼
　　.|:::.　　 ''''''　　　''''''　 |
　　.|::::.,（一）,　　　､（一）|　　　　　ほんと、あんたにゃ感謝してるぜ
　　.|::::::: ノ　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　|
　　 ＼:::::.ヽ｀-=ﾆ=- '　／　　　　　名コーチさんよ
　　/ 　 ｀一｀ﾆﾆ´-,ｰ´


　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|　　　　　で、ちょっと聞きたいんだが
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|　　　　　　今年の教え子の調子はどうだい？
　　＼　　｀ニニ´　 .::／
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そうねぇ…　　　　　　　 ´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　技術ゼロのへったくそだけど　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とてつもない才能の片鱗を見せてるわ　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|　　　ほう、こいつは頼もしいな
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|
　　＼　　｀ニニ´　 .::／　　　できればライバルは少ない方がありがたいんだが…
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　大丈夫とは断言できないけど　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　あなたとは全くベクトルの違う選手よ　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　打撃は凄いけど穴もあるし、守備は穴しかないし…　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　 /＼＿＿_／＼
　　／　⌒　　　⌒　::＼
　　|　（●）,　､ （●）､ ::|
　　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　 :::|　　ま、せいぜいやる夫が上に来ない間に
　　|　　　ト‐＝‐ｧ' 　 .:::|
　　＼　　｀ニニ´　 .::／　　控え選手としてのポジションを確立しておくとするさ
　　／｀ー‐--‐‐一''´＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=-´:::::!u' ,「i:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,:'": :￣｀: . ､::ヽ」::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{ : : : : : : : _: ゝ､::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　ええ、頑張ってね　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : : :, ´|:::::|　 vﾄ､:`:..､:::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀∨::'L_ |:::::|_ -=ﾆﾒ:::::::｀:.､=､:::::;'
　　　　　　　　　　私も早くやる夫君をモノにできるように頑張るわ　　　　　/:::::ｆ-rｪlﾊ:! 'kiﾘ _ , l::::::::::「i l::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':ﾊ:::iｰﾞ７　i!　￣xxx.|/i:::ﾄ!ﾋﾘ'{
　　　　　　　　　　そして、あなたのライバルに仕立て上げるから　　　　´　 Ｖl　 ヽ　　　　　 ´　V |!´::〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､　 _ ＿__ ノ　　 　　|､::::ｿ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　- 　 　 　 　 .| ヽ:::､:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:`:._　　,　'　　　　|　{::::::i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::ｿ:ﾉ￣|　　　　 __〉_;:-､::!

　　　　　　　　　　　　,ヘ　　　　　 　　 　 ,:ﾍ.
　 　 　 　 　 　 　 　/: :　＼　　　　 　 ／::　 !
　　　　　　 　 　 　/::::.....　　＼--―‐'.:.:::...　　!　　　　　　　　　　おうおう、言ってくれるね戦友よ！
　　　　　　 　 　 /::::::　　　　　　　　 　 　 　 　 ',
　　　　　　 　 　,'::::　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　ま、そんときクビになってなかったら
　 　 　 　 　 　.i::::　　　 　 '''''''　　　　 　　 ''''''' 　 !
　　 　 　 　 　 !:::. 　 　 　 （●）, 　　 　　 ､（●）､ !　　＋　　　　またあんたの世話になりたいもんだ
　　　　　　　　|::::..　　 　 　 　　.　,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　 　 l　　　　　　　　　　 　 _,-,.、
　　 　 　 　 　 i;::::..　 　 　 　 　ﾉ 　　 ___,,,:: -ｲ 　　!　　　　　　 i´ヽ 　 　い {,-ゝ.
　　　　　 　　 　':;::::...　　　　　　ヾ二--‐＜/ 　　/　　+　　 　 l　,人　__,!...!_}ゝ l
　　 　 　 　 ＿　 ＼:::::....　　 　 　 ヽ..＿_,,/ 　 ／　　　　+　 　 ヽ. '´　　　　｀ /
　　　　 ／　　　｀ヽ　｀ゝ:::::........ 　　　　　......／_ 　 　 　 　 　 　　/　　　 ｧ-- '
　　　　 i::.....　　　　;＼!..-ー 、 /⌒ヽ　　　　　 ､＼　　　　　　／　　　 .:/
　　　　　` '''''ｰ- ､::::/ ,..　.　 `/:::　 　〉‐ 、　　　＼ ＼　　　／ 　 　 ..::ﾉ
　　　　　　　　 　 .ｿ'　　　 :　/::.　 　/::　　〉　　　　 ＼＼,／ 　　 　 .:/
　　　　　　　　　/i:. 　 　 　 :,'::.　　 /:: 　./ヽ　　　　 　 ＼!　　　　 ..:;'
　　　　　　　　 / |:: 　 　 　 |ヽ.:..　　　　:'::／　　　　　　　＼　 　 .::/
　　　 　 　 　 /　 !::.　　　　i::.:.:`:‐"ｰ､_,ノ　　　　　　　　　　＼:::／
　　　　　　　/ ,／ヾ;:.... 　 /:.:.:.:.:／:::.:..　　　　　　　　　　　　　ヽ、
　 　 　 　 　| :i　　　`ー::':.:.::.:.:./＼:::::.:.:.　　　　　　　　　　　　 　 ':;

こうしてダディの開幕一軍を掛けた戦いが始まった
彼がこの先どうなるかは分からないが、ティーガースに新たな風が吹き始めたのは確かなようだ


　　　　　 　　 ＿＿＿
　　　　　　 ／　 　 　 ＼
　　　　　／　─　 　 ─.＼
　　　 ／ 　 （●） 　（●）　＼
　　　 |　 　　 （__人__）　 　　 |　　　　　（休憩時間が長く感じるお）
　 　　＼. ＿　｀ ⌒´　　　 ／
　　　　／ 　 ＼　　　　 　 ＼
　　 　 |　　　　 ＼, -‐- 、-‐- 、
　　 　 |＼　　　　 ＼.　　（"￣ .入
　　　　|　　＼　　　　" ￣￣￣　　）
　　　　|　　／ ＼,,＿＿＿＿＿__人
　　 　 |　　　　　　／＼　　　 ＼ 　＼
　　　　ヽ,_＿＿_／;__＿＼　　　 ＼,,_ ＼,,__
　　　　　　　　　　　　　　（＿＿＿＿__）＿__）

３回裏　終わり